神奈川県立図書館所蔵CD:グルダのベートーヴェンピアノソナタ全集6
神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はグルダのベートーヴェンピアノソナタ全集の第6回目です。
この第6集では、第18番から第22番までが収録されているわけですが、第2集を取り上げた時にも言及しましたが、第19番と第20番はソナチネに含まれ、実際は第3番と第4番の間にくる作品です。しかしさまざまな理由から第18番と第21番の間に来ることとなりました。
確かに、第22番が10分ほどしかないことから、演奏時間だけで見ればおかしくはないわけですが、こう番号順に聴きますと少しだけ違和感を感じる部分があるのは素人目にも明らかです。
ところが、グルダはそのソナチネをとても丁寧に弾いています。むしろ、第21番「ワルトシュタイン」では運指が追いついていない部分が散見されます。
この演奏をどう私たちは受け取ったらいいのでしょう。
私はこう考えています。番号順に弾いているのはベートーヴェンへのリスペクトだと述べました。そのテクストで考えれば、第21番は第19番と第20番がここに含まれていることへの抵抗である、と。
つまり、グルダは第19番と第20番が本来ここに来るべきではないのだがと、はっきり認識しているということなのです。恐らく本来は、グルダは作曲順に弾くのが相当であると考えている私は証拠だと思います。
そうでないと、丁寧な部分といい加減な部分が同居することなど、これまでのグルダの演奏を聴いて来れば説明がつかなくなります。グルダ程の演奏家が、ワルトシュタインをそれほど苦にして弾くでしょうか?あるいは、ワルトシュタインなどくだらない!などと考えるでしょうか。
その真逆だと考えれば、このワルトシュタインでのいい加減さは説明がつくのです。そしてグルダは、恐らくベートーヴェンのそうであったろうと考えているという意思表示なのではないでしょうか。
そして第22番では一転、第1楽章ではソナタ形式がないという作品であるにもかかわらず、グルダは手を抜いていません。ワルトシュタインでも、第2楽章以降はとても丁寧です。
私はグルダから「皆さんは、ベートーヴェンの気持ちを考えたことはありますか」と突きつけられているような気がしてならないのです。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノソナタ第18番変ホ長調作品31-3
ピアノソナタ第19番ト短調作品49-1
ピアノソナタ第20番ト長調作品49-2
ピアノソナタ第21番ハ長調作品53「ヴァルトシュタイン」
ピアノソナタ第22番ヘ長調作品54
フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)
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