かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:水のいのち ��田三郎作品集1

今回のマイ・コレは、��田三郎作品集1です。作曲者指揮、神戸中央合唱団、大久保混声合唱団他です。

このCDを買ったのは、以前ご紹介した第2集がきっかけです。

マイ・コレクション:��田三郎作品集2 ひたすらな道
http://yaplog.jp/yk6974/archive/793

これをきっかけに、では��田三郎氏の作品はどういったものがあるのかと買い求めましたのがこれでした。ちょうど同時期に合唱団で「水のいのち」(かわさき合唱まつり)を演奏したのもきっかけでした。

まず、アルバム名にもなっている、「水のいのち」です。

水のいのち
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A1

ウィキで書かれている通り、合唱界、特にアマチュア合唱団の間で根強い人気を持つ曲です。特に、混声合唱版は人気が高く、作曲者の死後今なお不動の人気を誇っています。

この曲ではフーガなどは使われておらず、オーソドックスな作りになっていますが、だからと言って簡単な曲だと思って歌いますと、失敗するでしょう。私が歌った時に何が一番難しかったかと言えば、その歌詞なのです。

合唱組曲水のいのちより
「雨」→「水たまり」→「川」→「海」→「海よ」
高田三郎:作曲 高野喜久雄:作詩
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/6654/18000.htm

まだ、「雨」は歌いやすいです。「水たまり」も。しかし、「川」でいきなり来ます。

何故 さかのぼれないか
何故 低い方へゆくほかはないか

え、なに?と思いますよね。上記サイトでは丁寧に解説してくれています。

・・・(川が下ることしかできないことを歯痒く思う部分が続いて)

そして

川は何かと問うことを止めよ
↑昇ることに焦がれながら下へ下へと流れることしかできない川を悔しがりつつも、それはそれで仕方が無いではないかと、開き直るような慰めるような歌です。はかない感じがいたします。

諦観、しかしだからと言って投げ出したりはしないというのが、「川」の命題なのです。それは、最後の行の言葉にあります。

川のこがれを こがれいきるもの

この意味を理解していないと、歌いきることができないのです。

最近、政府がなどと他人事のような批判が多いですが、この曲ではそんな甘っちょろいものは許していません。川はどうなのだ、上へ流れようともできないではないか。でも、人間は「上へ流れる」ことが出来る・・・・・

それが、最終曲「海よ」で明らかになります。

のぼれ のぼりゆけ
そなた 水のこがれ
そなた 水のいのち

のぼれ のぼりゆけ
みえない つばさ いちずな つばさ あるかぎり
のぼれ のぼりゆけ
おお

この全体のテクストが分からないと、つまらないどころかそもそも歌うことが出来ないのです。アンサンブルは崩壊し、アインザッツなどは全くつかず、アクセントはどこにつけていいのかわからず、となるのです。それはうまい下手以前に、歌唱として成立しません。

歌う方にも、それ相当の覚悟を要求する曲ですが、この曲が人気であるというのは、まだこの国に希望がある証拠だと私は思っています。

次の「心の四季」はそこまでを要求しない曲ですが、かといってこれもとても哲学的な曲です。

混声合唱組曲「心の四季」
http://sound.jp/green_foliage/index14.html

自然を人の心と照らし合わせて、その内面を問うものですが、それほど深くない分、歌いやすい曲だと思います。ただ、水のいのちと比べますと、ドラマティックな点がかけるので、その分水のいのちのほうが人気があるのだと思います(しかし、何度も言いますが、難度は水のいのちのほうが歌詞が難しい点で上です)。

演奏面では、まず神戸中央合唱団です。教会の聖歌隊から出発しただけあって、演奏が真摯で基本に忠実。それでいてドラスティックさをも表現できる、プロも含めて日本のトップ合唱団の一つです。「水のいのち」を担当していますが、曲が持つ厳しさと希望が十二分に表現されています。

次に、大久保混声合唱団です。辻ファミリーと言われる集団を代表する合唱団で、ここも実力は日本トップクラスです。「心の四季」が持つ、繊細で美しい世界をこれも豊かな表現力で歌いきっています。

そして、強調したいのは、どちらもアマチュア合唱団なのです。もちろん、補助金ももらっていません。手弁当です。それでも、心が震える、素晴らしい演奏を私たちに提示してくれます。

考えさせられる演奏です。



聴いているCD
��田三郎作曲
混声合唱組曲水のいのち
混声合唱組曲「心の四季」
高田江里(ピアノ、「水のいのち」)
菊池百合子(ピアノ、「心の四季」)
��田三郎指揮
神戸中央合唱団(水のいのち
大久保混声合唱団(心の四季)
(日本ビクター VICG-40191)



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