かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:コア・アプラウスの「ドヴォルザーク スターバト・マーテル」を聴いて

今回は再びコンサート雑感をお届けします。この時期の私の恒例行事と化している、コア・アプラウスのコンサートです。今年はドヴォルザークの「スターバト・マーテル(哀しみの聖母)」でした。

ドヴォルザークは昨年も取り上げており、2年連続でドヴォルザークとなりました。

音楽雑記帳:コア・アプラウスの2010年コンサートを聴いての雑感
http://yaplog.jp/yk6974/archive/483

コア・アプラウスは毎年年末に演奏会を行っていますが、ホールは杉並公会堂というのが基本となってきているようで、今回も杉並公会堂でした。

合唱団は昨年と同じく後方座席に位置しました。中央大学音楽研究会混声合唱部とは今年も異なりました。

音楽雑記帳:中央大学学友会文化連盟音楽研究会混声合唱部第九演奏会を聴いての雑感
http://yaplog.jp/yk6974/archive/490

それでも、音が上へあがっていくのは同じでして、全体としてはそれがとても気持ちよかった演奏でした。

まず、合唱団ですが、発声は昨年以上によかったと思います。アンサンブルも例年通り素晴らしいですし。助っ人が入っているとはいえ、常に冷静さを失わないその姿勢は、完全な演奏となって表れたと思います。最後(第10曲)で失敗したとコンサート後団員からききましたが、気にならないレヴェルですし、私は問題とは思いませんでした。

さらに力強くしなやかな点が素晴らしく、特に印象に残ったのは、第3曲「Eia, Mater, fons amoris(さあ、御母よ、愛の泉よ)」の「fac, ut tecum lugeam.(あなたと共に悲しませてください)」でして、facが力強く豊潤な色彩を持っていたことです。普通アマチュアであれば単に力任せになってしまうところが、きちんと悲しみが表現されているのが素晴らしかったです。失敗したという第10曲「Quando corpus morietur(肉体が滅びる時には)」のフーガもとても力強かったですし、表現力も豊かでした。

次にソリストですが、全体的に今年は素晴らしいアンサンブルでした。特に、合唱指導もされているソプラノは例年肩に力が入ってしまうのですが、今年は素晴らしかったです。高音部での力強さとしなやかさは抜群!恐らく、自分が切り込み隊長、つまり初めに歌わないせいだとは思いますが・・・・・それでも、よく「情熱と冷静の間」が取れていたと思います。

最後にオケですが、はじめはちょっとそろわない部分が若干あったのですが、合唱団が入ってからピリッとしたように思います。砂川氏は軽めの演奏を心がけていらっしゃったように思います。とくにそれが出たのが第9曲「Inflamnatus et accensus(焼かれ、焚かれるとはいえ)」でして、力強くかつしなやかな演奏になっていました。室内オケの編成であることもそうなった理由なのでしょうが、それ故、この曲が確かに宗教曲であるということがはっきりしたと思います。

スターバト・マーテル (ドヴォルザーク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)

この曲は昨年のレクイエムとはちがい、実際にドヴォルザークが子供に先立たれるという深い悲しみが作曲の動機となっている曲です。その点が、第9曲で単に力任せではない演奏を現出させることによって絶妙に表現されていましたし、そのために室内オケという編成を選んだのも素晴らしいと思います(予算の関係もあるでしょうが、多くの合唱団が巨大編成を好む中でこの決断は素晴らしいです)。まさしく、モーツァルトの時代は室内オケがミサ・ソレムニスなどを演奏したのですから。

実は、宗教曲には使わない楽器というのがありまして、普通その分編成はコンパクトになるものなのです。そういった点を砂川氏は知っているという、何よりの証拠なのです。

それは合唱団のしなやかで力強い演奏にもつながっていると思います。今年はその上で、ソリスト、特にソプラノが素晴らしかったことが全体的に私の中では高評価につながっています。それが現出する効果は、音が確実にホールの上方へあがり、全体を包み込むという、まさしく昨年同じホールで中央大学学友会文化連盟音楽研究会混声合唱部がやり遂げた「美しさ」です。

ですので、一つ注文を付けるとすれば、ぜひ舞台へと「降りてきて」欲しいですね。実際、合唱団員の数はコア・アプラウスのほうが中央大学混声合唱団よりも少ないのです。人数的には確実に乗れるはずなので、後は発声だけだと思いますし、その実力は確実に持っていると、私は判断しています。来年こそ、それを実現してほしいと思います。来年はフォーレの「レイクエム」とハイドンの「戦時のミサ」なのですから。



聴いてきたコンサート
杉並公会堂開館5周年記念事業共催公演 コア・アプラウス2011コンサート
アントニン・ドヴォルザーク作曲
スターバト・マーテル 作品58
稲見里恵(ソプラノ)
内藤明美(アルト)
征木和敬(テノール
長谷川顕(バス)
ザ・ポート・フィルハーモニック・オーケストラ
砂川稔指揮
コア・アプラウ

2011年12月11日、東京、荻窪杉並公会堂



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