かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ全集1-2

神奈川県立図書館所蔵CDベートーヴェンヴァイオリンソナタ全集の今回は1-2として、メニューイン/ケントナーのコンビのものの第2集を取り上げます。

収録曲は第7番と第8番、そして第10番が収録されています。第7番と第8番は作品番号30の2と3、第10番はベートーヴェンの最後のヴァイオリン・ソナタになります。

第1番から第3番までを第1集で取り上げたのだから、第2集は第4番から始めるほうがいいのでは?と思われるかもしれませんが、第1集の最後が第6番(作品30-1)だったため、この第2集は第7番(作品30-2)から始まっているのですね。

そのため、初期の作品を聴いたらいきなり最後のほうの作品へと移る格好になっています。ただ、曲調の変化はこの第2番から始まります。その意味では、この編集は番号順ではないのですが、とてもいい編集だなあと思います。

なぜかは具体的には次の第3集で取り上げるつもりなのですが、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全体を俯瞰するとき、実は第10番以外は1800年前後に書かれているという点が見逃せません。第1番が1798年で第9番「クロイツェル」が1803年と、1800年前後の5年間でベートーヴェンはヴァイオリン・ソナタのほとんどを作曲してしまっているのです。

もっと言えば、弦楽四重奏曲以外の室内楽の作曲はこの1800年前後の10年間にほぼ集中しています。おそらくその点が、三重協奏曲の評価につながってしまっているのだと思います。ただ、その三重協奏曲が作曲されたのが実は「クロイツェル」が作曲された1803年ということは、私たちは時系列の中で大事にすべきでしょう。

この時期を経て、ベートーヴェン交響曲の作曲へと移っていくのです。ピアノ・ソナタが初期に多いのもそのせいです。ただ、それがすべてではないところが、ベートーヴェン楽聖たるゆえんだと私は考えています。

それを知ることができるのも、この音源の素晴らしい点だと思っています。第8番の次に「クロイツェル」ではなく第10番を持ってきているのがその証拠だと思います。作品30を分けるのであれば、別に第1集で順番通り第4番を第3番の次に持ってきても時間的には全く問題ないですし、また第4番は作品番号からして独立していますから、まさしく適しています。

それをあえてせず、第6番を持ってくるのはなぜかと言えば、時系列からすれば室内楽から交響曲へという歩みになるわけですが、ベートーヴェンの作曲姿勢として「交響曲で実験し室内楽に反映させる」というのがある点を考慮しているとしか考えられません。

このセッションを聴きますと、決してピアノは通奏低音的な伴奏ではなく対等です。ですからセッションしているとしか言いようがない、素晴らしい演奏です。その会話は本当に楽しく、気品があり、そして気高いものです。表情のつけ方もヴァイオリン、ピアノどちらも豊かで、その掛け合いを楽しむことが出来ます。ですから、作品の魅力をストレートに出していると思います。

メニューインのネームバリューだけでこの演奏を聴いてしまうと、編集の意図や、ピアニストの素晴らしさなどが漏れるような気がします。ぜひともそういった点をもこういった全集では注目してほしいと思います。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリンソナタ第7番ハ短調作品30-2
ヴァイオリンソナタ第8番ト長調作品30-3
ヴァイオリンソナタ第10番ト長調作品96
イェフディ・メニューイン(ヴァイオリン)
ルイス・ケントナー(ピアノ)


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