かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:カリンニコフ 交響曲第1番・第2番

今回のマイ・コレは、カリンニコフの交響曲第1番と第2番のCDを取り上げます。この二つの演奏では名盤の誉れも高い、ネーメ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏です。

このCDを買いましたのは10年ちょっと前になるかと思います。今でこそ、ナクソスをはじめとする輸入廉価盤によって数多くの埋もれた作曲家の名まえがクラシックファンの間では人口に膾炙するようになりましたが、そのきっかけとも言うべき作曲家と言ってもいいのではと思います。

このCDはシャンドスレーベルで、いまでこそこのレーベルはメジャーですが当時はようやく日本で認知され始めたと言ってもいいくらいです。

カリンニコフのCDと言えば、このシャンドスかナクソスかと当時言われ、私はシャンドスを選びました。価格は当然シャンドスのほうが高かった(ナクソス1000円に対してこれは2600円しました)にも関わらず購入したのは、まだ当時は解説のある国内盤重視の姿勢だったことが一番大きな要因です。

もちろん、このシャンドスはご存じの方ならお分かりですが、輸入盤がほとんどで、それに日本語解説がちょっとついているといったものにすぎません。しかし、それがほしくて私はこのCDにしたのです(当時、どちらがより素晴らしいかという論争があり、当時はナクソスの演奏だと言われていた時代です)。

なぜなら、カリンニコフの音楽や作品、人となりについての解説は、文献はほとんどなく(総合音楽事典程度)、ネットにもほとんどないという状態だったからです。今なら、もしかすると私はナクソスにしたかもしれません。親切にウィキに解説があるからです。

ヴァシリー・カリンニコフ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95

カリンニコフは若くして死去した作曲家ですが、作品が属する時代区分は後期ロマン派の、「国民楽派」です。モスクワ音楽院に学んだこともあることから、自然とその音楽はロシア風を追求するものとなっています。

特に交響曲第1番はその傾向が強い作品です。一番最初の交響曲だったということもあるのでしょうが、第1楽章では評価してくれた恩師チャイコフスキーの第1番や第2番などで出て来るような旋律を主題に使っています。ですが献呈はリムスキー=コルサコフというのがいかにも彼らしいなと思います。第4楽章では第1楽章の第1主題をもう一度使うなど、独創的な点も見逃せません。

交響曲第1番 (カリンニコフ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95)

続く第2番はさらに音楽的に深化し、単にロシア的なものを追求するだけでなく、それを自分流に消化して提示するということをやってのけています。彼がたんなるナショナリストではなく、むしろチェレプニンのような「ナショナルであることこそがインターナショナル」ということを念頭においているような、遡ればモーツァルトに必ず辿り着く、そんな作風です。まさしくウィキのこの記述を理解するのに適切な曲だと思います。

「カリンニコフの作風は、おおむねチャイコフスキーに倣って西欧的な楽曲構成法を採っていながらも、旋律や和声法に民謡や民族音楽の影響が自明であるように、国民楽派(「五人組」)からの影響も無視できない。このようにカリンニコフは、モスクワ楽派とペテルブルク楽派のいずれかに与するのではなく、その両方の伝統の美点を折衷した作曲家であった。」

作風と作品
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95#.E4.BD.9C.E9.A2.A8.E3.81.A8.E4.BD.9C.E5.93.81

交響曲第2番 (カリンニコフ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95)

ウィキでは印象がやや薄いと書かれていますが、いやいやどうして、とてもカリンニコフらしい音楽だと私は思いますし、シャンドスのブックレットも同じような評価です。ですので私は、シャンドスの評価を取ります。

演奏面では、実はパソコンとデッキとで聴き比べてみました。この演奏はナチュラルな音が再現できる再生機のほうが素晴らしく聴こえるでしょう。ヤルヴィらしい端整さはどちらでも素晴らしいですが、パソコンでは残響がやや再現できていないように思います。これはそのデッキの設定の問題なのであながち安いからとかは言えません。恐らく、高いパソコンであっても筐体内部のアンプやスピーカーの設定が音の形を浮かび上がらせるほうに設定されていれば、私と同じように感じるはずです。

コンポのほうは以前ご紹介しましたがナチュラルな再現にこだわっているせいか、音の伸びがよく、特に金管は美しく聴こえます。これぞカリンニコフのロマンティシズムという音を味わうことができます。

それはまさしく、奇をてらわないヤルヴィの姿勢にあるのでしょう。音楽は淡々と過ぎていくのに、ダイナミズムもありますしロマンティシズムもあります。かつては一日中聴いていた音源です。

今ではそれほど頻繁に聴くことはなくなりましたが、それでも、この演奏はなぜか気になるものなのです。今は聴かないけれど、ちょっと経った頃に聴いてみようかな・・・・・そんな想いを抱かせる演奏です。端整な演奏とは、そういった不思議な魅力を持つものです。



聴いているCD
ヴァシリー・カリンニコフ作曲
交響曲第1番ト短調
交響曲第2番イ長調
ネーメ・ヤルヴィ指揮
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
(Chandos MCHAN9546)



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