かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クララ・シューマンピアノ作品集

今回の神奈川県立図書館ライブラリのコーナーは、クララ・シューマンの作品集を取り上げます。

クララ・シューマンはクラシックファンの方ではあのロベルト・シューマンの妻ということで有名かと思いますし、私もそのように考えておりました。しかしこのCDは、クララがシューマンの妻である「由縁」を教えてくれています。

クララはそもそも、当時名ピアニストとして有名でした。

クララ・シューマン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3

ウィキの生涯の欄にある「1828年 プロデビュー、ゲヴァントハウスでモーツァルト・ピアノ協奏曲のソリストを務める。」とあるように、モーツァルトの協奏曲をいきなり弾くだけの実力者だったということなのです。同じ年、ロベルト・シューマンが彼女の父に師事します。シューマンももともとピアニストですから。

二人の出会いはそこでありました。そして、情熱的な恋愛になり、父の大反対の中その父と裁判で争ってでも彼女はロベルトを取り、結婚します。シューマンはクララのどこが気に入ったのかと言えば、一番大きかったのは芸術家としての側面だったと言います。つまり、同じ芸術家としてお互い尊敬しあえる間柄だったというわけです。

では、ロベルトが恋した彼女の音楽を聴いてみたいというのは、実は10年くらい前からありました。それを決定づけたのがmixiの某コミュで確かピアノ三重奏曲が取り上げられたことだったと思います(それはこのCDの2曲目になります)。それ以来、本格的にクララの作品を聴いてみたいと思うようになりました。そんな折、ちょうど図書館の棚で見つけたのがこの音源だったのです。ちなみに、元音源はナクソスになります。

こういった音源はやはりナクソスですね。図書館でもいくつかナクソス音源があります。目の付け所がさすがと言いますか、ある意味当然と言いますか・・・・・

私がこう述べる背景を知っていただくためには、図書館法を呈示するのが一番いいでしょう。

図書館法(昭和25・4・30・法律118号)
(図書館奉仕)
第3条 図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
1.郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。
2.図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。
3.図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。
4.他の図書館、国立国会図書館地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。
5.分館、閲覧所、配本所等を設置し、及び自動車文庫、貸出文庫の巡回を行うこと。
6.読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること。
7.時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供すること。
8.社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。
9.学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。

http://www.houko.com/00/01/S25/118.HTM

特に第3条第6項に関して、実はこのCDを借りた時にクララを含めたシューマン夫妻の鑑賞会をやっていました。私は参加できませんでしたが、こういった活動を図書館がしているということは知っておいていいのではと思います。神奈川県立図書館はその時しっかりとクララを紹介していた、というわけなのです。その点で、私がこの音源を借りることが出来たのはとてもラッキーでした。

さて、クララの作品ですが、まずピアノ協奏曲です。1834年にまず第3楽章が、35年に全楽章が完成しました。いきなり第2楽章と第3楽章がアタッカとなっている点が彼女の才能の高さをうかがわせます。実際、この作品のオーケストレーションは素晴らしく、夫ロベルトが手を貸しているとはいえ、適度な重厚感と形式美を持ちます。カデンツァがないのは革新的と言えますが、ロベルトがベートーヴェンを意識していたということを考えますと、恐らく「皇帝」が頭にあったのではないかと考えることもできますので、下記ウィキの記述はその点では信用に劣ります。それ以外はウィキの記述通りの革新性(チェロとピアノとの掛け合い)を持つと思います。

ピアノ協奏曲 (クララ・シューマン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)

ウィキでは全体がアタッカであるとされていますが、第1楽章と第2楽章はアタッカというほどつながってはおらず、第2楽章と第3楽章が完全につながっている形となっています(実際第1楽章と第2楽章が完全にアタッカであれば、リッピングした時に気付いているはずなので。今聞きましても失敗したとは思えないほど分かれていて自然です)。楽譜を確認してみませんと何とも言えませんが、恐らく休符だけで次に行っているのではないかと思います。

この演奏は実はこのウィキでも触れられている、ピアニスト以外はすべて女性という録音なのです。しかしだからと言って何か珍しいものがあるわけではありません。それがないのです。それは実は素晴らしいことだと思います。このピアノ協奏曲にしても何ら遜色ない演奏をしています。アンサンブルやアインザッツ等、まったく安心して聴いていられます。

アンサンブルの点ではもしかすると全員女性というのは有利なのかもしれませんが・・・・・とは言っても、次のピアノ三重奏曲が特段何かあるのではありません。むしろごく普通の演奏です。だから女性では・・・・・などという言葉も聴こえてきそうですが、そうでしょうか?男性だけでも駄目な演奏は星の数ほどあると思いますが。その点では本当に素晴らしい演奏です。

さてそのピアノ三重奏曲ですが、1846年に作曲された作品で、ピアノ協奏曲とは異なり初演時が分かっておらず、彼女がピアノを担当したかどうかまではわかっていません。しかし、こういった作品が当時いきなり公衆の面前で演奏されるはずはありませんから、恐らく初演時のピアノはクララであった可能性が高いと思います。彼女はそれほどのピアニストだったのです。

ピアノ三重奏曲 作品17
http://clara-schumann.net/works/chaindex.html

このサイトでも、流産しても演奏会を開いていると書かれている通り、家計のためとはいえそれだけ有名なピアニストだったということなのです(有名でなければとっくにロベルトの収入に頼っていたことでしょう)。そんな彼女のピアノ三重奏曲はとてもシンプルでかつ気品をもつ曲です。楽器間の掛け合いも素晴らしいですし、全体のバランスが取れています。こういった素晴らしい作品であるにも関わらず、日本では彼女の作品はなかば「なかったもの」とされている点があるかと思います。しかし、それは上記サイトのこの言葉(それはクラシックの歴史上重要な作品たちに繋がる)と矛盾する行為なのです。

メンデルスゾーンブラームス、ヨアヒム、そしてローベルトはクララのピアノトリオを尊敬し賞賛し、演奏会ではローベルトのトリオと共に頻繁に演奏されることとなりました。」

彼女の作品はもっと紹介されるべき音楽だと思います。それだけの品質は持っています。それを「女性だから」ということだけで退けるのは、サッカーにおけるなでしこは世界一となったが男子は未だということと同じ結果を招くのではないかと危惧しております。



聴いている音源
クララ・シューマン作曲
ピアノ協奏曲イ短調作品7
ピアノ三重奏曲ト長調作品17
フランチェスコ・ニコロージ(ピアノ)
ロドルフォ・ボヌッチ(ヴァイオリン)
アンドレア・ノフェリーニ(チェロ)
ステファン・リナルディ指揮
アルマ・マーラー・シンフォニエッタ



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