かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

音楽雑記帳:洋の東西で共通する「聖なる数字」

音楽雑記帳、今回は数字のお話をしたいと思います。

丁度今、上野の東京国立博物館で「空海密教美術展」を開催しています。

空海密教美術」展
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1393

仏教で数字が関係するのかという意見もあるかも知れませんが、実はその美意識と密接な関係があります。

例えば、この展覧会でも出展されている、両界曼荼羅ですが、3の倍数がその構成のかなめです。

両界曼荼羅
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E7%95%8C%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85

特に分かりやすいのが金剛界だと思います。9つの四角でもって全体が構成され、しかもその四角の中は9つの仏で持って構成されています。

金剛界曼荼羅
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E7%95%8C%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85#.E9.87.91.E5.89.9B.E7.95.8C.E6.9B.BC.E8.8D.BC.E7.BE.85

また、仏教には儀式で使う法具というものがありますが、その法具も密教では奇数です。

金剛杵
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%89%9B%E6%9D%B5

さらにそれを鈴にあしらったものも基本的に同じです。

http://www.buddha-art.com/hougu/goods/hg47038.htm

なぜなのかと言えば、それが安定して美しいからです。特に曼荼羅は経典で述べられている世界観を図案化したものと言われ、胎蔵界は地上世界を、金剛界は宇宙を表わしているという説すらあります。

実はこれ、クラシックでも同じであるということに気が付かされます。たとえば、3部形式がいろんな形となっています。ソナタ形式スケルツォ、ロンドといったものは3部形式の発展形です。

さらに、大まかに奇数となると、バッハの鏡像カンタータが浮かびます。奇数の中間曲を中心として、シンメトリーに楽曲が配置されているという構成です。奇数では必ず中心がありますから、必ずシンメトリーになります。ですから、安定した美しさになるのですね。

密教という仏教の根本世界と、キリスト教において成立した、バロックや古典派の音楽が、ともに美意識において共通したものを持つ・・・・・果たして、これは偶然なのでしょうか。私としては必ずしもそうは思いません。仏像はそもそも、ヘレニズム文明と出会って成立しました。古代において東西文明が美意識においても相互に影響を与え合ったことは想像に難くありません。

密教
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%86%E6%95%99

以前、モーツァルトのミサ曲を特集した時に、三位一体祝日のミサを取り上げたことがあったと思いますが、その「三位一体」もじつは東方からもたらされたものとされています。それが、キリスト教において教義を説明するものとへと変わっていった歴史を持ちます。

モーツァルト ミサ曲 ハ長調K.167「聖三位一体の祝日のミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/175

三位一体
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BD%8D%E4%B8%80%E4%BD%93

三位一体の意味と神秘
http://www.new-immanuel.jp/3alpha_j/alpha-12.htm

三位一体の主日
http://www.geocities.jp/hs_ocd/dm_20060611.html

両界曼荼羅でも、3の倍数の仏がいることによってこの世界が安定していることを指していますし、一方でキリスト教では、「神という本質は一つですが、父と子と聖霊という三つの位格(ペルソナ)があるという教え」が三位一体です。いずれも、3つという数字が安定と美を表わす数字として使われるのです。

宗教は違っても、その美意識にはあきらかに共通するものがあります。その源流が古代中東世界であり、それがシルクロードなどを伝わって、一方ではクラシックとなり、一方では密教美術となった。そう考えるのが自然でしょう。

この展覧会は一見クラシックと関係ないものですが、私はこの点でお勧めです。なぜ古典派においてソナタ形式が成立し得たのか、その理解の一助になるように思います。

なぜなら、ロマン派でもソナタ形式が基本となったのですから・・・・・それが打ち破られるのは現代音楽ですが、その歴史を俯瞰してみると、実に日本でも鎌倉新仏教が成立した時の状況によく似ているからなのです。

人間というものは、洋の東西を問わず、似たものなのであるなと痛感させられます。



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