今月のお買いもの、まずはハイドンから参りましょう。ハイドンのバリトン三重奏曲集です。このCDは4枚組なので、一枚ずつご紹介することとします。
まず、一枚目をご紹介する前に、バリトンという「楽器」をご紹介します。そう、人声の「バリトン」のことではありません。ハイドンの時代にあった、コントラバスの前身とも言える楽器です。
バリトン (弦楽器)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%B3_(%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%99%A8)
この楽器を、ハイドンが使えていたエステルハージ公が好んでいました。そのため、ハイドンはエステルハージ公のために175曲のバリトンのための曲を書き、そのうち126曲がバリトン三重奏曲です。そして現在この楽器のための曲として残っているのは、ほとんどこのバリトン三重奏曲であると言っても差し支えないでしょう。
実はこの曲集は、以前から狙っていました。全集か、それがかなわなければ一部でもいい、是非とも聴きたいと思っていました。そんな矢先、横浜関内の輸入クラシックCD専門店「プレミア・ムジーク」で見つけたのがこの4枚組のCDです。この4枚組でも全集ではないのです!ちなみに、ブリリアント・クラシックスですが、全集も出ているようです。
今回はこの4枚組のものしか手に入らなかったのですが、どうやらこれは全集から後半の曲を集めたものであるようです。
第1集は第32番から第38番までが収録されていますが、それぞれすぐ終わってしまう小品ばかりです。どれも3楽章制を取っている点も注目ですが、さらに注目なのは、どの曲も第1楽章は緩徐楽章になっている点です。これはハイドンが交響曲でもよくやったやり方ですが、さてこれをどうとらえるかです。緩徐楽章を序曲的なものととらえることもできそうですが、聴きますと基本的にはやはり弦楽四重奏曲で緩徐楽章とメヌエットをひっくり返すことが多かったことをここでやっているととらえるほうが正確だと思います。
その点では、エステルハージ家時代のハイドン作品らしさが前面に出ている作品たちでもあるわけです。
このバリトン三重奏曲というのは、ヴィオラとチェロ、そしてバリトンによって演奏されるのですが、バリトンの存在感が圧倒的です。役割としては通奏低音なのでメロディラインを追ってしまうとなかなかわかりづらいですが、グイっと弦を弾いたときの音の深さは、とても印象的で味があります。その深い音のサポートを受けたヴィオラとチェロの掛け合いは、とても微笑ましく感じます。
演奏しているのはエステルハージ・アンサンブル。実はたまたまこのアンサンブルにかかわるサイトを見たことから、私の興味は始まっているのですが、このアンサンブルの本当に息のあった演奏は、この三重奏曲たちに合っているように思います。それでいてそのレヴェルは高く、のびのびとしていてかつ力強さを持ち、さらにしなやかさも備えるというもので、高く評価されていいのではと思います。
順番に並んでいますので、その変遷をみることもできる非常に優れた曲集なので、そんなあたりも注目していきたいと思っていますが、まだこの第1集では最初と最後にそれほど差はみられません。ネットでは解説がなく、さらにはブックレットの英語の解説にも一曲ずつの解説がないので何とも言えませんが、交響曲や弦楽四重奏曲の例からして、短期間にある程度の曲を書いているでしょうから、差がないのも当然であると思います。
次の一枚がとても楽しみになるような三重奏曲です。そこが、ハイドンの不思議な魅力でもありますね〜。
聴いているCD
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲
バリトン三重奏曲第32番ト長調
バリトン三重奏曲第33番イ長調
バリトン三重奏曲第34番ニ長調
バリトン三重奏曲第35番イ長調
バリトン三重奏曲第36番ニ長調
バリトン三重奏曲第37番ト長調
バリトン三重奏曲第38番イ長調
エステルハージ・アンサンブル
(Brilliant Classics 94022/1)
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