かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト管楽協奏曲集1

今回から3回に分けて、神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、モーツァルトの管楽協奏曲集を取り上げます。まず最初は、クラリネット協奏曲とフルートとハープのための協奏曲です。

これを借りましたのは、モーツァルトの管楽器の協奏曲にとても親しみを覚え始めていたことと、小学校の下校時の音楽がなんであったか、決着を見たいという願望があったからなのです。

このブログでも、コメントなどで折に触れ述べ、そのたびに裏覚えな感じであった、私の小学校時代の下校時の曲。本日、それがはっきりします。

はっきりと断言します。そして、以前のコメントが間違っていましたら、これが決定なので誤ります。そう、その曲は第1曲目の、クラリネット協奏曲だったのです!

下校時に使われていたのは第1楽章でした。主題展開部くらいまでしかいつもかからず、全体が聴きたいと小学生の時からあこがれていたのが、このクラリネット協奏曲です。それにしても、私の卒業した小学校はなんと素晴らしい曲を下校時の音楽としてかけていたのでしょうか。この曲はモーツァルト最後の協奏曲にして、かれの協奏曲の中でも最高傑作と呼ばれるものなのです。

クラリネット協奏曲 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

作曲年代は1791年ですから、実は最後のピアノ協奏曲である第27番と同じ年なのです。第27番やその前の第26番にはある種の達観した、美しすぎてさみしいくらいの第2楽章などの曲がありますが、このクラリネット協奏曲には一切そういった点がありません。もちろん、小学校の下校時の音楽に使っても遜色がないことから、いわゆる何から去ろうとするような気分がないわけではないのですが、その音楽はあくまでも暖かくかつさみしくないのが特徴で、だからこそ逆に下校時に全く遜色がないとも言えるわけです。明日もまた元気に登校しましょうというナレーションが、この曲がかかりますととても似合います。

それはバセット・ホルンの名手、アントン・シュタードラーのために書かれた曲であるということも影響しているのかもしれません。彼は同時にクラリネットの名手でもあり、ほぼ近い二つの楽器を使いこなす、まさしくヴィルトォーソでした。そんなシュタードラーのために真摯に書いたのがこの曲だったとなると、シャイな彼のことですから、簡単には本心を明かすような曲は書かないでしょう。

それにしても、気品を保ちかつ優美な曲です。そのせいでしょうか、実はこの曲、いま人気の某ランキング番組の料理番付のコーナーで、Kシェフがスマイルを出した時のBGMとしても使われています。あそこで使われている音楽は結構センスがいいなあと以前から感じていました。それは第3楽章で、優美な急楽章。ロンド、アレグロと指示があるこの楽章は、一方で影の部分も持ち、特に転調部分では違う雰囲気にもっていってくれます。

先日取り上げましたクルーセルクラリネット協奏曲も本当に素晴らしいですが、当然彼もこの曲を念頭に置いて書いたことでしょう。この曲がウェーバーにまで影響を与えたことを考えますと、クルーセルはこういった果実を食べた結果であったということを再認識させられ、モーツァルトという作曲家の素晴らしさを改めて認識させてくれるとともに、クルーセルの作品のようにその裾野の広さを痛感させられます。

次にフルートとハープのための協奏曲です。実はこれを当時狙って借りたということも有るのです。丁度この曲は借りた年に御柱へ行く道すがら、かかっていたカーラジオがNHKの「音楽の泉」で、そこで一番最初にかかったのがこの協奏曲でした。というより、そろそろ中央道に乗るというタイミングだったので交通情報が聞きたいと思ってNHK第一をかけましたら、この曲が流れていたのです。たぶんモーツァルトだろうと思っていましたらあたっていました。この曲は干支から言いますとほぼ一回り近く前の1778年にパリにおいて作曲された曲です。そう、パリ旅行の時の作品です。

フルートとハープのための協奏曲 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

それにしても、ギーヌ公とその娘のレッスン秘話は、逆にモーツァルトがいかに私たちの想像以上に努力を惜しまない人であったかを教えてくれます。手紙でそこまで罵倒するということは、さすがのモーツァルトもそうそう何度もあることではありません。面白おかしく書くということはないわけではありませんが、あからさまに○○と書くのは、よほどモーツァルトが怒りを通り越してあきれている様子を物語ります。

曲はとても古典的な、あるいはもう少し古くさいと言いましょうか、二つの楽器の演奏時にはオケが入らず、それが終わったらオケが入るという、とてもオーソドックスな作りをしています。アマチュア向けとは言いながら、音楽としてはかなり練習しないとメロディーラインだけでも外してしまいそうですし、そもそもハープはかなり動き回るのです。モーツァルトがいかに力を入れて作曲したのかがうかがえます。第2楽章ではハープが単なるソリストという役割だけでなく、フルートに対する通奏低音のような役割をしつつ、ソロも担当するという事もやらせていますから、もしかするとウィキが言うよりもモーツァルトは初めから「これが本当に演奏できるのかな?」とにやりとしながら作曲していたかもしれません。いずれにしても、モーツァルトが手を抜いて作曲したという代物ではないことは事実です。

それにしても、カデンツァが消失しているというのは残念ですね。この時期は必ずモーツァルト自身が書いていますから、必ずしもフルートやハープの専門家ではない(特に、フルートは苦手な)モーツァルトがどのように書いたのか、興味がわくところです。一応、この音源で演奏されているものは全く自然です。

演奏ですが、この二つは全く違うソリストとオケ、指揮者でもって演奏されていますが、どちらも音の一つ一つをとても大切に演奏しています。そのため、聴いていまして安心しますし、また心地よくも響いてきます。決して名の知れた演奏家、オケではありません。しかし、これだけ音をしっかりと出している演奏も珍しいです。たしかに古典派ではさほど込み入った音楽はないでしょうが、それでもここまで音の一つ一つがクリアな演奏はあまりお目にかかれるものではありません。こういった演奏に出会えるのが、図書館の魅力でもあります。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
クラリネット協奏曲イ長調K.622
フルートとハープの為の協奏曲ハ長調K.299
ハルメン・ド・ブール(クラリネット
レフ・マルキス指揮
アムステルダムシンフォニエッタ
マルク・グローヴェルズ(フルート)
ジゼル・ヘルベルト(ハープ)
ベルナール・ラバディ指揮
レ・ヴィオロン・デュ・ロワ



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。