神奈川県立図書館所蔵CDハイドン交響曲全集の今回は第16回目。第54番と第55番をとりあげます。
今回も以下のサイトを参照しています。
ハイドンの交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn
この第16集の特徴としては、収録曲が2曲であるということです。それだけ、1曲の時間が長くなっていることを示します。そして、この2曲とも時期区分としては「聴衆への迎合を実験」期の作品であるということです。さらにこの二つはそれぞれ連続して作曲されているもの特徴です。
まず、第54番から見ていきましょう。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-54
1774年の作曲です。この作品はこの年から始まった新しい「聴衆への迎合と実験」期の一番最初に当たる曲なのです。第1楽章はアダージョの序奏から堂々たるプレストへというコントラストが気品を湛えています。第2楽章も落ち着いた楽章で、「軽妙」という言葉はみじんも感じられません。
フルートとトランペット、ティンパニは後からくわえられたようですが、この演奏では加えられたままの版で演奏されています。なしでも問題はないと思いますが、あったほうがよりいいですね。こういった曲は確かにその前の時期の作品にはなかったような気がします。拡張性と言えばいいのでしょうか、そんなことを念頭に置いて作曲されている、そんな気がします。
つづく第55番「校長先生」です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-55
これも1774年の作曲です。編成を見てみますと確かに第54番からフルート、トランペット、およびティンパニが抜けたものになっているわけで、これからもハイドンの非凡さが見て取れます。
名前の由来は、第2楽章の規則的なリズムにあります。
交響曲第55番 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC55%E7%95%AA_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)
それにしても、だから校長先生というのもまた面白いネーミングですけれど・・・・・もっとほかにそんな存在はいただろうにと思います。だれがこのネーミングをつけたのでしょうか?確かに、厳しいという点では当たってはいますが、では、ほかの先生は怠け者だったとか?
ただ、たしかに音楽としては気品さを湛えていますから、普通の先生ではなく校長先生なのでしょう。
この2曲はハイドンの第3期の冒頭を飾る曲ですが、この2曲はそれまでの曲とは幾分雰囲気が違ってきています。気品だけではなく気高さも備えつつあります。その点ではモダンのこの演奏はそれを前面に出している演奏になっています。モダンだからこそ感じているのかもしれませんが、もしそうなのだとすれば、意外にもハイドンもベートーヴェンのように、かなり未来の演奏まで考えて作曲していたことになるのですが、果たして・・・・
こんな点を考えさせてくれることも、この全集の優れた点だと思います。
聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第54番ト長調Hob.I-54
交響曲第55番変ホ長調「校長先生」Hob.I-55
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリカ
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