神奈川県立図書館所蔵CDハイドン交響曲全集の今回は第15回目、第51番から第53番までをとりあげます。
今回も以下のサイトを参照しています。
ハイドンの交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn
今回の3曲は第52番までが「シュトゥルム・ウント・ドランク」期、そして第53番が「聴衆への迎合と実験」期の作品となります。
まず、第51番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-51
1773年初頭に作曲されたこの曲は、冒頭の動機がとても印象的で、それがはっきりとソナタ形式の中で展開されて行きます。そこに美しさが存在します。
第2楽章はまさしくホルンがとても印象的なフレーズを奏で、しかもそれがまたあれ?というような音楽になっています。こんなところにもハイドンの「びっくり箱」が隠されています。
この音源では全体的に端整に演奏されているだけあって、均整のとれた美しさというのが前面に出る格好になっています。
次に第52番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-52
作曲は1771年なので実は第51番よりも古いことになります。ハ短調という調性のせいか気品と気高さを感じるとても堂々たる第1楽章となっています。
第2楽章はハ長調なのに、いつの間にか短調になっていきます。前衛作曲家ハイドンらしい音楽だなあと思います。
第3楽章は再びハ短調のメヌエット。どこかしらモーツァルトの雰囲気もするのが、かえって気品を湛えています。
第4楽章もハ短調の急楽章。この曲に関しては気高さを随所に感じるのですが、こんな曲こそもっと紹介しなければならないあと思っています。ハイドンだってこんな曲を書いていますよ、と。いや、もしかするともともとこんな曲が書きたかったのかもしれません・・・・・
この音源では急楽章と緩徐楽章のコントラストがテンポの上でもはっきりとしていて、それが一層この曲の気高さを深めています。
次に第53番「帝国」です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-53
上記サイトでは全く説明がないのですが、じつはさりげなくこの曲の特徴を語っています。それは、備考欄です。実はこの曲はハイドンの生前とても人気だったようで、何度も演奏されていくうち、どれがオリジナルなのかわからなくなってしまったそうです。
http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/imperiale.html
現在でも第4楽章は二つのヴァージョンがあり、オリジナルは既作品の序曲からの転用とのことです。
http://oekfan.web.infoseek.co.jp/note/haydn/sym53.htm
いずれにしてもこの作品は1778年から79年にかけて作曲された、いわゆる「聴衆への迎合と実験」の時代の作品です。それゆえか軽妙さがあるのにとても気品を湛えています。形式的にも私たちが古典派的だと思うものがすでに完全に備わっているものです。ただ、この曲に関してはその時代の呼び方が正しいのか疑問に思うほどです。それほど迎合というようなネガティヴなものではないのではないかという気がします。
恐らくこの曲に関しては、最終楽章がすでに作曲していた序曲からの転用ということがそれにあたるのでしょう。しかしそれならモーツァルトは完全に迎合なのですが・・・・・いち早くモーツァルトの才能を見抜いたハイドンですから、これはもう少しいろんな著作を当たるなどして判断したほうがよさそうです。
これもとても端整な演奏であることが、なおさら気品を漂わさせています。
このあたりからハイドンの音楽に特に気品と気高さを湛えるようになります。その点を勘案しますと、全集も「作曲順」の編集というものを出しても面白いかもしれません。
わたしのように図書館で借りてきて、パソコン上で編集するなんて、ほとんどいないでしょうから・・・・・
いや、そんな聴き方もアリなのですが、果たしてどれだけの方がそれをやっていただけるのでしょうか・・・・・
私はそれも面白いということだけ述べるにとどめたいと思います。
聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第51番変ロ長調Hob.I-51
交響曲第52番ハ短調Hob.I-52
交響曲第53番ニ長調「帝国」Hob.I-53
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリカ
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