かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン交響曲全集14

神奈川県立図書館ハイドン交響曲全集の今回は第14回目。第48番から第50番までをとりあげます。

今回も以下のサイトを参照しています。

ハイドン交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn

まず、第48番「マリア・テレジア」です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-48

題名の由来は、彼女がエステルハージを訪問した時に演奏されたことによるのですが、作曲はそれよりも4年前の1769年とされています。恐らくもともとはたいそうな題名の割にはエステルハージ家のサロンで演奏するために作曲されたものでしょう。それにしてもなぜこの曲が選ばれたのかはわかっていません。

この曲は雰囲気だけは軽妙さに満ちていますが、形式的にはむしろもう少し後の時代を先取りするようなものになっていまして、ギャラント様式よりも古典美のほうが勝っています。

次に第49番「受難」です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-49

1768年作曲と、この3曲の中では一番古いものです。少なくともこの曲は受難曲などとの関係はありません。ネット上ではなぜそのように言われるようになったのかはあまりわかりませんが、調性のせいだと私は思います。

ヘ短調
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E7%9F%AD%E8%AA%BF

当時としてはやや古くさく、さらにマッテゾンの「何かしら絶望と関係があるような死ぬほどの心の不安を表わす」というような当時の人々の感覚を反映したことによるのだと思います。つまり、ヘ短調はこの時代かなり珍しい調性であるということが「受難」と言わせしめたと考えます。そうはいっても、参照したウィキに並んでいる曲からしますとかなりその後でもヘ短調の曲は書かれているんですけどね。恐らくウィキにも出ていますが、「ソナタ形式では第一主題がヘ短調の場合、慣例的に第二主題を変イ長調にすることになっていたため、冒頭楽章に二つとも響きの暗い、若しくは響きの悪い主題を持ってくるのをためらったためと思われる。」ことから、ヘ短調は珍しいものだったのだと想像します(あくまでも、ハイドンの時代はです)。

それにしてもこの曲は唯一と言っても過言ではない第1楽章がアダージョなんですね。そして第2楽章に急楽章がくるという構成です。これも面白いものとなっていまして、まるで第1楽章は序奏のような形です。果たしてハイドンはなぜこんなことをしたのか?興味深いですね。それにしても、メヌエットは暗く、舞曲系であるなんてことを忘れてしまいます。

最後は第50番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-50

1773年の作曲で、参照しているサイトには記述がないですが、この曲もマリア・テレジアの御前で演奏された曲です。

交響曲第50番 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC50%E7%95%AA_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)

この曲は急楽章にきちんとアダージョの序奏をもつ曲となっています。ならば初めからそのように作曲すればいいものを、なぜハイドンは第49番ではエキセントリックなことをやるのでしょう?楽章をひっくり返すことは室内楽ではかなり当り前ですし、実際交響曲でも普通に彼はやっていますが、第1楽章と第2楽章でやるとベートーヴェン以降の形式が定まった時代の音楽を聴きなれている私たちからしますと驚きですが、いや、実際ほかの作曲家も同じだったので、驚かせてやろうとしてやったのであれば、そんな必要ないほど素晴らしい音楽ばかりなのになあと思います。

実際、この第50番の第1楽章はまさしくマリア・テレジアの御前で演奏するにふさわしい気品を備え、かつ堂々としています。この曲は明らかにマリア・テレジアの御前で演奏することを前提に作曲したのでは?と思います。どこにも記載はないですけどね・・・・・第48番よりははるかにその印章を受けるものとなっています。

それにしても、ドラティとフィルハーモニア・フンガリカのコンビは絶妙です。アンサンブルも、アインザッツもともに秀逸。疾走感を感じながら緩徐楽章での優しいタッチは、ハイドンの音楽をより気品あるものにしています。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第48番ハ長調「マリア・テレージア」Hob.I-48
交響曲第49番ヘ短調「受難」Hob.I-49
交響曲第50番ハ長調Hob.I-50
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリ



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