神奈川県立図書館所蔵のドラティ指揮のハイドン交響曲全集、今回が第9回目となります。収録曲は第33番から第35番までの3曲です。
この第9集は珍しく作曲順で並んでいますが、もちろんこの3曲がつづけて作曲されたわけではありません。
今回も以下のサイトを参照しています。
ハイドンの交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn
まず第33番は1761年から62年にかけて作曲されたもので、4楽章となっています。第1楽章がヴィヴァーチェとなっている点が珍しいですが、かといって4楽章の構成である急〜緩〜メヌエット〜急はしっかりと維持されています。それ故に古典的美あふれる曲です。ただ、第1楽章は比較的短く、重きを第1楽章に置く形にはなっていません。
この第33番は図書館のは音飛びが激しいのですね〜。せっかくいい演奏なのに〜。たしかにサイトの言うとおり急楽章ながら落ち着きもあるこの第1楽章が、最後まできちんと聞けない・・・・・一体だれがこうしてしまったんだ〜TOT
それ以外は文句のつけようがありません。
次の第34番も実は第1楽章がやや読み取りが不安定。しかし第33番に較べればしっかりと聴くことが出来ます。その第34番は1763年後半に作曲されたとされています。4楽章ですが第1楽章がアダージョなのが変わっています。しかしその第楽章は古典的に長いのも特徴です。ただ、全体的には4楽章で使われる急、緩、メヌエットはすべて使っていますので、順番を変えることで目先を変えようとしたものと思われます。こんな曲を聴きますと、私などはベートーヴェンの第九がいかに考え抜かれて作曲されているのか感心してしまいます。
3曲目である第35番は作曲が1767年12月1日と初めて日付がはっきり出てくる作品です。その上、時代区分としてもいわゆる「シュトゥルム・ウント・ドランク」期(文学でいうものとは若干時期が異なりますのでご注意を)、つまりエステルハージ家の楽長に就任した後の作品です。そのせいか、第1楽章はかなり堂々としていまして、管楽器が鳴り響き、オーケストラの各パートがいかんなく演奏されています。疾走感があり、わくわくしてきます。その開始から始まって各楽章も各々通常の4楽章のものになっている点が形式美を引き立てます。第4楽章はサイトで言及されている通りあれ?って終わり方で、この時代では聴衆をあっと言わせたことでしょう。
この第9集ではすべての交響曲が4楽章となっていますが、ハイドンの交響曲はこの第35番が作曲された時期からほとんど4楽章のみとなります。いや、すべてと言ってもいいくらいです。実際、3楽章形式のは翌年作曲した第26番のみなのですから。
この点がモーツァルトとハイドンの決定的な違いなのです。モーツァルトは晩年まで結構3楽章のものも書いていますし、番号が付けられているものだけでなくそうではないものまでそれはわたっています。それを考えますと、ハイドンはエステルハージ家の楽長に就任してから後は、たった1曲しか3楽章のものを書いていないという事実が存在するのです。もしかするともう1曲ある可能性はありますが、それも楽章数としては4楽章になっていますので、現段階ではたった一つしかないと申し上げていいでしょう。
考えてみれば、モーツァルトはどこかのオーケストラの楽長になったわけでもありません。生前はむしろピアニストというヴィルトォーソとして有名だったわけで、その点が委嘱者の判定を異なったものにした可能性はあるだろうと思います。ハイドンは確かにヴィルトォーソとしてはモーツァルトよりも低かったでしょうし、また作曲家としてもハイドン自身が認めているようにモーツァルトにはかなわなかったでしょう。しかし、実直な性格から彼は努力して地位を得ました。そのことが4楽章を固定させたものと私は考えます。ですのでシュターミッツなどの作品にも今は興味が向いているというわけなのです。
ドラティがシンフォニア・フンガリカと全集を残してくれなかったら、わたしはその点に着目したかどうかわからないなと、この第9集を聴くたび思うのです。
それだけに、音飛びが残念・・・・・もしかすると、そんな風に考えている人が多いのでしょうね。だからどこかで盤面が傷ついた・・・・・・
そういうことなのでしょう。
聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第33番ハ長調Hob.I-33
交響曲第34番ニ短調Hob.I-34
交響曲第35番変ロ長調Hob.I-35
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリカ
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