今日のマイ・コレは、ベートーヴェンの序曲集の第2集です。ナクソスから出ていたシリーズです。十数年前、職場近くの山野で購入しました。時には合唱だけでなく管弦楽も聴きたかったですから!
あれ、第1集は?とおっしゃるかもしれません。もちろん当時ナクソスから第1集も出ていました。しかし収録されている内容がほとんどすでに持っているものと重複していたため、そちらは購入しなかったのです。
マイ・コレクション:ベートーヴェン 序曲集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/332
ここで取り上げたものとほとんど、いや、まったく同じだったと思います。ヨッフム/バンベルクと比べてしまいますと、あまり聞きなれないオケの演奏を聴くとなるとちょっと抵抗があったのは事実でしたので、ふつうとりあげられることのない曲が入っているこちらを購入したというわけなのです。
ある意味、これは私の「珍曲好き」が買わせた一枚なのです。
さて、その内容はと言いますと、まず「献堂式」作品124です。そう、ミサ・ソレムニスと第九の間の作品なのですね。この二つの巨大作に挟まれているせいか、著作・ネットそうほうなかなか解説がないのが実情でして、唯一きちんとした解説がこれであると思います。
「献堂式」序曲 ハ長調 作品124
http://homepage1.nifty.com/mfujimot/music/Beethoven/House/
こけら落としに使われた曲であるということは私も知っていました。しかし、実はこの曲が単なる演奏会序曲ではなく事実上の「アテネの廃墟」の序曲だったとは、驚きです。しかも構造的にも対位法を駆使したソナタ形式風というのも驚きです。確かに聴きますと完全なるソナタ形式ではないのですが、しかしそう思ってしまうくらいそれが自然です。第九やミサ・ソレムニスと同等、もっと評価されてもいい作品だと思います。
それにしても、この解説を読みますと、ベートーヴェンもバッハやモーツァルトがやった「使いまわし」をやったのだなと思います。しかしそれを責めてはいけないでしょう。晩年の彼は甥のカールのこともあり、入用だったのですから。むしろ、私は完全にアテネの廃墟を持ってくるのではなく、構造的に同じであるが全く違う「献堂式」を持ってきたことが素晴らしいと思います。そしてここに、彼にもある「人としての常識」が見て取れます。こけら落としに「廃墟」では・・・・・そこで、もっと堂々とした曲にしてそれを「献堂式」とした、と考えれば、果たしてベートーヴェンは人を寄せ付けないような気難しい人という側面だけだったのだろうかと思うのです。
2曲目は「命名祝日」序曲です。オーストリア皇帝フランツ2世のその祝日にちなんでということ・・・・・ではないのですね、これが。
序曲 『命名祝日』 作品115
http://beethoven.7music7.org/music/ouverture/op115/
もともとは「狩り」という題名だったとは・・・・・
上記サイトの説明からは「どれだけ長い曲なのか」と思うかもしれませんが、7分ほどの曲です。そんなに長い曲ではありません。もしかするともともとの「狩り」という題名のほうがふさわしい気もします。快活で明るい曲です。
つづく第3曲目と第4曲目が実はこのCDを購入する決めてになったのですが、レオノーレ序曲第1番と第2番です。そのうち購入を決定させたのが第2番です。上記私が以前書いたエントリではすでに第3番が収録されており、さらには第1番そして正規の「フィデリオ」序曲も入っています。これによっていわゆるオペラ「フィデリオ」に関する序曲がそろったことになるからです。
第1番はすでに持っていますが、それと比べますと演奏はすっきりって感じで、むしろそれが興味深かったのですが、やはり第2番となると違ってきます。第2番は第3番にかなり似通った音楽となっています。しかし第3番とは違うのですね。さて、みなさんはどちらが好みなのでしょうか?私は長らく第3番でしたが、最近は第2番もいいなあと思っています。
できれば、このレオノーレの第1番から第3番までと「フィデリオ」序曲を順番に並べて聴いてみるというのも面白いかもしれません。いずれそんなこともやってみましょう!その前にそんなCDが出るとまた面白いのですけどね〜。
なぜ面白いのかと言えば、ベートーヴェンはフィデリオに付ける序曲を3回書き直しているのです。その紆余曲折をたどることができるので、面白いのです。しかし、最後に落ち着いたのが一番短い曲でしかもその音楽は実はオペラと関係ないというある意味思いっきり「前衛」音楽になるとは・・・・・そういった点が見て取れるからこそ、面白いのです。
第5曲目は「シュテファン王」序曲です。これもなかなか解説がなくてこまる曲なのですが、こんなブログで解説してくれていました。
初心者のクラシック
「シュテファン王」序曲
http://blog.goo.ne.jp/classic-k/e/9f26fd47f06a2b6536282f9df0928610
劇音楽も聴いてみたい気もしますが、これもまたレアなようで・・・・・ほとんど演奏は序曲のみという状況です。
6曲目は「騎士バレエのための音楽」です。WoO番号の栄えある第1番のこの作品は、1791年ボンで作曲されたものです。ドイツの伝統的な装束を身に着けて踊るバレエを「騎士バレエ」と言いまして、そのために作曲され、ワルトシュタイン公に献呈された曲です(ナクソス英語解説から)。ベートーヴェンにしてはゆったりとしたユーモラスな曲でもありまして、ベートーヴェンのイメージがガラッと変わる曲だと思います。
7曲目は劇付随音楽「レオノーレ・プロハスカ」から葬送行進曲です。これは実はピアノ・ソナタ第12番の第3楽章を管弦楽曲に編曲したもので、私はその編曲のほうを先にきいてしまったのです。ですから図書館から第12番を借りてきたときに「これ、どこかで聞いたことのある曲だなあ」と思って検索してみましたところ、「レオノーレ・プロハスカ」だったというわけなのです。
ピアノソナタ第12番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC12%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)
最後はこれも劇付随音楽「タルペイア」より「勝利の音楽」です。題名らしい堂々とした音楽です。解説は音楽としてはネットは全く、ナクソスにも少し触れられているだけでほとんどわからないのですが、劇そのものの解説はネットでありました。
タルペーイア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%82%A2
いろんな伝承がありましてどれをベートーヴェンが参考にして音楽をつけたのか、調査不足でわかりませんが、熱烈に愛する女性がいたことは確かですからそんな彼の女性観に基づいていると想定できます。いつしかご紹介できればいいなあと思います。
オーケストラである「ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア」はとてもあっさりとした演奏に終始していまして、名前らしい演奏だと思います(エステルハージとは神奈川県立図書館コーナーでご紹介している、ハイドンが仕えた貴族のことです!)。この演奏では多少あらもありますが、それが後年ガラリと成長を遂げるのですが、それはまた別の機会に・・・・・
ベートーヴェンの違った一面を聴かせてくれます。
聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
付属音楽「献堂式」序曲 作品124
「命名祝日」序曲 作品115
「レオノーレ」序曲 作品138
「レオノーレ」序曲 作品72
付随音楽「シュテファン王」序曲 作品117
騎士バレエのための音楽WoO.1
付随音楽「レオノーレ・プロハスカ」より葬送行進曲WoO.96No.4
付随音楽「タルペイア」より「勝利の音楽」WoO.2a
ベーラ・ドラホシュ指揮
ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア
(Naxos 8.553431)
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