かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン交響曲全集3

神奈川県立図書館所蔵CDハイドン交響曲全集の今回は第3集。交響曲第9番から第12番をとりあげます。

今回も以下のサイトを参照しています。

ハイドン交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn

ハイドン交響曲は5期に分けられるわけですが、そのうちの「交響曲様式の模索」の時期に当たりますが、実はこの時期も二つに分けられまして、モルツィン伯爵家時代とエステルハージ家時代に分けられます。前回まではそれぞれの時期に当たったわけなのですが、今回は両方のものが混在しています。これも「番号順」であるがためです。

その意味では、番号順だけでなく成立順で録音しても面白いのかもしれません。まあ、ハイドンはまだまだ史実が覆る要因がたくさんありますので、あくまで現時点でという但し書きが必要でしょうが、しかしそれをすることで何か面白いものが見えてくるかもしれません。

実は、一度そんなことをこのブログでやろうかな〜なんて思っていたりしますが・・・・・

それができるのも、図書館で借りてデータで保有してあるがゆえ、です。

さて、今回は「番号順」に収録されたこの音源について語りますので話を戻しますと、まず第9番はエステルハージ家の副楽長時代の作品で、1762年の初頭に成立したと考えられています。さて、上記のサイトではどのように説明されているかといいますと、ギャラント的という言葉があります。実にこのサイトを作成した方はこの時代の音楽に詳しい方だなと思います。

ギャラント様式
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%E6%A7%98%E5%BC%8F

バロックのいわゆる装飾音が多用されるものではなく、もっとすっきりとした音楽を目指したものなのですが、一言ではなかなか言い尽くせない様式です。この時代の有名な作曲家としましては、大バッハの息子達やテレマンクープランといった人たちがあげられるでしょう。確かに、特にこの第3集ではそういった人たちの影響を大なり小なり見ることが出来ます。ただ、私はこの第9番ではそれほどギャラント様式を感じることは出来ませんでした。

むしろ、第10番以降にそれを感じるのです。特に第10番と第11番はモルツィン伯爵家時代に書かれたもので、第10番が1758年から60年ごろの成立、第11番が1761年から62年の成立となっていまして、ともに第9番よりも古いのです。特に第11番が一番ギャラント様式の影響を感じる曲でして、ところどころカール・フィリップエマニュエル・バッハのような音型が聞こえます。その意味では、大バッハだけでなく、その息子達の音楽に耳を傾けることがハイドンの音楽を理解する近道のような気がします。

実は、このハイドンを聴いたからこそ、私はいわゆる「大バッハの息子達」へと興味を向けましたし、そのことによって視野が広がったことは間違いありません。だからこそCDも買いました。

今月のお買い物:カール・フィリップエマヌエル・バッハ 弦楽のための交響曲wq182
http://yaplog.jp/yk6974/archive/408

このほかにエントリとして協奏曲もありますが、いずれにしてもハイドン交響曲がそのきっかけになっているのです。

ところで、第11番が特に面白いのです。この中で唯一の4楽章なのですが、はたまた第5番同様第1楽章は緩徐楽章なのです。またまたひっくり返しのびっくり箱なのかなと思いきや、それだけではなくどうやらハイドンは本気でこの緩徐楽章を前奏としているようで・・・・・

それにしてはハイドンさん、長すぎですから〜!このドラティ指揮のタイムで言いますと、第1楽章が7分39秒、第2楽章が3分23秒と、前奏にしては長すぎなのです。つまり、タイムから言えば明らかに急楽章と緩徐楽章をひっくり返した形であるのは間違いないのですが、音楽的には明らかに長ったらしい前奏部があって、短い主題部があるという形をとっているんですね。いやあ、こんな手の込んだことしますか!

確かにハイドンは「前衛」ですね、こりゃ・・・・・

そうなると、第11番は4楽章ということになってはいますが、実際ハイドンは3楽章のつもりで書いているのかもしれません。となると、ベートーヴェンがピアノ・ソナタであれだけいろんな楽章数を試しているのも、なんとなくですがうなづけるんですよね。

第12番はふたたびエステルハージ家副楽長時代の作品となり、第9番より後の作品となります。それゆえか、幾分やはりギャラント的なものは後退します。むしろもっと以前のバロックで多用された「シチリアーノ」を使用していまして、まさしく「交響曲様式の模索」に心血を注いでいることが分かります。それでもかなりカール・フィリップの影響が見て取れますけどね。特に第3楽章に・・・・・

ハイドン交響曲を聴きますと、ベートーヴェンもさることながら、モーツァルトや、あるいは時代がもっと下がって、シマノフスキスクリャービンなどの交響曲が聴きたくなりますから不思議です。

演奏はこれも重厚なのに疾走感があり、アンサンブルも素晴らしいです。もしかするとそれは「フィルハーモニア・フンガリカ」ゆえなのかもしれません。そういえば、エステルハージ侯爵は今のハンガリーにある土地の領主で、ハイドンは一生のうちの大部分をそこで過ごしてもいるのですね・・・・・

そんなことへのリスペクト、なのかもしれません。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第9番ハ長調Hob.I-9
交響曲第10番ニ長調Hob.I-10
交響曲第11番変ホ長調Hob.I-11
交響曲第12番ホ長調Hob.I-12
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリ



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

被災地の一日も早い復興を祈っております。