かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト ヴァイオリン協奏曲全集1

今回の県立図書館所蔵CDは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集です。クレーメルのヴァイオリン、アーノンクール指揮、ウィーン・フィルです。

2枚組でして、今回はその一枚目のご紹介です。一枚目にはヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲、第1番と第2番が収録されています。

まず、協奏交響曲ですが、このききなれない曲は、ロココの時代によくはやった形式でして、基本的には現在のヴィルトォーソ協奏曲と考えていいと思います。ヴィオラは、キム・カシュカシャン。それとクレーメルのヴァイオリンが会話するのがとても気持ちいいです。

それがとても端正で、私は五島みどり今井信子とのにくらべますといまいちスピード感に欠けるのが不満ですが、かといってだめというわけではなく、アンサンブルは本当に素晴らしく、サポートするウィーン・フィルはさすがの豊潤な音楽を聴かせてくれます。

特徴的なのが、主題提示部および再現部での八分音符の処理の仕方で、はねています。以前は気になりましたが、改めて戴冠ミサを聴きますと、それはあまり気にならなくなります。

第1番、そして第2番はともにクレーメルの艶のあるヴァイオリンが光ります。それと協奏交響曲を比較しますと、クレーメルは相手にあわせて演奏をする人なのだなと思います。ヴァイオリン協奏曲での自在な演奏と比べますと、少し個性がないように思えます。ただ、それはもしかするとこの時代の「協奏曲」に対する認識が、私たちが考えているのと少し違うからなのではないかという気がします。

そう考えますと、このクレーメルの姿勢はとても評価できるものです。これがどちらも一緒だとすれば、それはそれで素晴らしいですが、果たして、その「一緒」というのは可能なのかどうか・・・・・それは、ほかの時代、特に後期ロマン派を聴いてみないと判然としない点でしょう。少なくとも、私はこの演奏ではクレーメルならばどの時代の作品でも問題なかろうと思っています。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は次の2枚目で終わりなので作曲数は少ないですが、どれも聴き手を飽きさせない名曲ばかり。ピアニストだったわけですから数が少ないのはとうぜんでしょうが、それにしてもこれほど素晴らしい作品を数多く作曲しているなかでたたき出すとは・・・・・脱帽です。



聴いている音源
ヴォオルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364(320b)
ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調K.207
ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調K.211
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
キム・カシュカシャン(ヴィオラ
ニコラウス・アーノンクール指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団