かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

友人提供音源:N響のショパンとチャイコフスキー

今回の友人提供音源は、FMで放送された、N響定期演奏会からショパンのピアノ協奏曲第1番とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。なお、ショパンは第1493回定期演奏会チャイコフスキーは第1495回定期演奏会です。

ショパンといいますと、ピアノ独奏曲のほうが有名ではありますが、コンチェルトも素晴らしいです。それを教えてくれたのが、この演奏でした。

ピアニストは、ユンディ・リ。2000年のショパン・コンクールで優勝したピアニストですが、それにしても、ユンディ・リの流れるピアノ、そしてそれと会話するN響が素晴らしいです。

この演奏につきましては、実はすでにほかのサイトで言及がなされているんですが、そこで言われているように技巧的な部分へ走った感もぬぐえませんが、ただ、このコンチェルトは間違いなく「会話する」音楽なので、私はその点は素晴らしいと思いました。私が聞いた限りでは、彼だけが突出してヴィルトォーソしているわけではなく、しっかりとN響と音楽を作っています。

その点こそ、この演奏は注目すべきだと私は思っています。協奏曲はあくまでもソリストが主体ですし、その分ではリが技巧的に走っても何ら問題ないと私は思いますし、むしろそれをサポートできないN響を責めるべきとわたしは思いますが、それも責めなくてはならないほどではないと私は考えています。

この曲は後で私も自分で県立図書館でアルゲリッチで借りてきていますが、はっきり言いまして彼女よりはきちんとオケとアンサンブルしています。この点は高く評価すべきだと思います。

ショパンがこのようなコンチェルトを書いたことが私は新鮮で驚きでした。決してヴィルトォーソに走ることなく、でもヴィルトォーソ的な部分もしっかりあって、ピアニストの技量とアンサンブルするバランス感覚とが試されれる曲だと思います。ピアノの詩人といわれるゆえんは、そこにこそあるのかもしれません。そう考える理由は、彼の独奏曲を全部聴いたことがきっかけでした。

だからこそ、私はこの演奏がとても素敵でたまりません。

一方、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリニストはアナスタシア・チェヴォタリョーワ。全体的にはとてものびやかで、文句のつけようがないと思いますが、第1楽章の最後はあの音形処理はどうなんだろう?と首をかしげてしまいます。この点は楽譜を見なければ評価はできないでしょうね。これも参考にしたサイトでは手放しでほめちぎっていますが、私はその点が気になりました。

ただ、それはあまり問題ないのかもしれません。というのも、映画「オーケストラ!」のBGMで使われた音楽も同様の処理をしていたためで、この辺りはもっとほかの演奏を聴いてみる必要があると思います。もしかすると、自分が持っているチョン・キョンファのほうがおかしいのかも知れませんから。

N響のサポートも素晴らしいです。このチャイコフスキーは明らかにヴィルトォーソに偏っている曲ですが、それにしっかりと寄り添っています。本当はそれこそN響モーツァルトを聴くべきだと思います。結構それなしにN響をほめたりけなしたりすることが多いのが、私はちょっと妙に思っています。会話する音楽のほうが意外と難しいのに、それをもしN響が世界のオーケストラの中でもしっかりやっているほうだとすれば、批判はおかしいことになりかねないからです。

一度、N響モーツァルトの初期ピアノ協奏曲、特に一桁台を聴いてみたいと思います。N響の世界の中での評価は、すくなくとも私はこの演奏を聴きますとそれからではないか、と思います。



聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
ユンディ・リ(ピアノ)
アナスタシア・チェヴォタリョーワ(ヴァイオリン)
阪 哲朗、飯森 範親指揮
NHK交響楽団