かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ぺライアとブレンデルのモーツァルトピアノ協奏曲モダン演奏

今回の県立図書館所蔵CDは、CDの紹介というよりは、それをわたしのほうで組み合わせたもので紹介する、という形になります。

事実上、これはぺライアのものの第6集になるのですが、ぺライアはその第6集、つまり第16番で収録が終わってしまいます。つまり、それ以降がないんですね。

これはモダン演奏を全曲集めたかった私としてはちょっとこまった事態でした。このあたりが、借りて済ますことの一つのリスクといっていいと思います。当時、私はCD−Rに焼いていました。ですから、順番に入れないとモーツァルトのピアノ協奏曲を順番に聴けないという事態に陥ってしまうわけです。

まあ、実際はモーツァルトのピアノ協奏曲は番号順に作曲されたわけではないので(第12番と第11番は作曲順が逆)、それにこだわる必要がないといえばそうなのですが、やはり私の心にはアルバン・ベルク四重奏団スメタナ四重奏団がベートーヴェンの弦四でやったように、番号順で聴きたいという気持ちがありましたので、それを実現したいという思いがありました。

そのため、非常に困ってしまったわけなのです。そこで、考えたのがほかの演奏と組み合わせる、ということだったのです。そこで目を付けたのが、図書館にあるモーツァルト全集でした。

実際、もっと早くそれに気が付いていればなあと思っていますが、ただ、ぺライアの演奏から学んだことはたくさんあり、それは結局いいことだったのですが、できれば同じ演奏者で全部聴きたいところです。ピリオドは同じ演奏者で持っているわけで、それを考えますと比較ができないわけです。音楽という感覚の問題であっても、同じ条件でない限りそれは科学的ではなくなりますから。

ですから、私は「バランス」という点だけを問題にしている、ということでもあるわけなんですが・・・・・・

もとに戻りますが、そのモーツァルト全集で演奏しているのは、アルフレッド・ブレンデル。指揮はネヴィル・マリナー、オケは聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー、つまりアカデミー室内管弦楽団です。そう、名盤と言われた、それです。ところが・・・・・

17番が、モーツァルト全集では抜けていたのです。しかも、その抜け方は以後のカップリングにCD-Rへの収録時間の関係上多大な影響を及ぼすことがわかったのです。さあ、どうする?

そこで、以前に第20番と第24番をすでに買っていた経験がものを言いました。ならば、マッケラスのがあるじゃないか!

探しましたら、ありました、マッケラスのが。しかも、探していた番号のものだけがマッケラス。つまり、ブレンデルの新しい全集ですね。オケはスコットランド室内管弦楽団。私はモーツァルトのピアノ協奏曲をそのメンバーで初めて聴きまして、とても感銘を受けましたので、とっさにそれを考えたというわけです。

すでに、ぺライアでは続かないですし、モーツァルト全集も第17番がない以上、どこかで別の演奏者を加えるしかない。ならば、ここから先はどんな演奏者でもありにして、全集としてまとめてしまおう、と考えたわけです。

実際、モーツァルト全集も宗教曲に関しましてはいろんなタレントを使っていますから、その判断はあながち間違っていなかったということになります。

それにしても、図書館がそういう集め方をした背景には、おそらく現在モダンの演奏で全集が手に入りにくいという状況があったと思います。確か、マリナーの物は20年位前であれば普通にレコード店でCDが売られていました。実際、私も銀座の山野でなんどか見かけています。ところが、今では全く見なくなりました。マッケラスのものもいまだ全集としては店頭にないように思います(分売の形だと思います)。

となると、いろんな演奏を集めて全曲が聴けるようにするしかない・・・・・私が考えたのと同様に、苦渋の決断だったと思います。

しかし、それはまた新たな楽しみを与えてくれます。それは、この一枚でオケの表現を聴き比べることができるという点です。イギリス室内管弦楽団と、スコットランド室内管弦楽団という、同じ「グレート・ブリテン」の、おなじ室内オーケストラの表現力を聴き比べることができます。ちょっと重々しいイギリス室内管弦楽団、そして軽めのスコットランド。どちらがよりモーツァルトの音楽をよく表現しているかは、皆様次第です(って、くどいですね、私も)。

私としては、スコットランド室内のほうがお気に入りですし、よりモーツァルトらしいと思っています。モーツァルトは私は八分音符の表現の仕方がカギだと思っていまして、スコットランドはそれをとても軽やかに表現しています。それが、よりこの時期のピアノ協奏曲の特徴をよく表しているのではないかと思っています。

できれば、マッケラス/スコットランド室内、ブレンデルのものは買いたいですね。この演奏から言っても、その価値は十分あると思います。私としては、旧盤であるマリナー/アカデミーを超えたと思っています。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ピアノ協奏曲第16番ニ長調K.451
ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453
マレイ・ぺライア指揮、ピアノ
イギリス室内管弦楽団
サー・チャールズ・マッケラス指揮
スコットランド室内管弦楽団
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)