かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

友人提供音源:ウィーン・フィルの「ベートーヴェン ミサ・ソレムニス」

今回の友人提供音源は、かつてNHK-FMで放送しました、ウィーン・フィルベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」です。

この時すでに私はこの曲に関してはCDをもっていましたが、それは2枚組なのです。ところがこの演奏は一枚で収まってしまっています。

だからといって特別テンポ的に速い演奏ではないのですが、引き締まった演奏であることは確かです。

合唱団およびソリストは前回の第九同様不明ですが、ともに力強い演奏を聞かせてくれます。

グローリアでテノールの飛び出しが甘いのが玉にきずですが、それはFMだからしかたがないとあきらめるしかありません。だからといって上述しましたが力強さがないわけでもないですし、それでいてやわらかさもしっかりと表現されています。

オケもウィーン・フィルですからわるかろうはずもなく、すでにあるCDとともに気に入っている演奏です。

オケ伴奏の合唱曲はオケもさることながら、やっぱり合唱団の表現力がものを言います。ただ、それを引き出すのはオケの役目。ですから、さすがウィーン・フィルだと言えましょう。

その点が日本人ですとどうしてもごっちゃになる場合が多いかと思います。特に、合唱曲に対して偏見があるように思います。しかしながら本場は合唱曲こそ聖なる音楽。もともと楽器は人間の声を物理的に表現するために作られ、発展してきたものであるという歴史を考えるとき、果たして日本人のその視点は正しいのか、この演奏は問いかけているように思います。

では、なぜオケが伴奏なのか・・・・・別にオケを差別しているわけではありません。その歴史からは歴然です。人間の声が「最上」であるからこそ、合唱が主体ですし、合唱やがメロディーを担当するわけです。

だからと言ってオケは従としては扱われていません。特にベートーヴェンのこの曲の場合、オケとソリストはまるで協奏曲のようにアンサンブルしています。それはモーツァルトのミサ曲も変わりなく、私はミサ曲を聴くたびに交響曲が聴きたくなります。それはつまらないからではなく、むしろその構造をきいてしまいますと交響曲の魅力がわかってくるからで、それが楽しいのです。

もともと、交響曲管弦楽でアンサンブルすることから始まっています。ミサ曲は編成が少し小さくなりますので、実はオケの音が聴きやすいのです。そんな点に注目しますと、宗教曲が単なる聖書にテクストをとったものではないという事実を知ることとなり、管弦楽を聴くのが面白くなるのです。

オケも合唱もソリストも素晴らしい・・・・・そんな演奏にミサ曲で出会ってしまいますと、第九ですらかすんでしまいます。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ミサ・ソレムニス ニ長調作品123
F.W.モスト指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ほか