かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:C.P.Eバッハ フルート&オーボエ協奏曲

今月のお買い物の二つ目は、大バッハの三男、カール・フィリップエマヌエル・バッハのフルートとオーボエの協奏曲集です。指揮はトレヴァー・ピノック、フルートはシュテファン・プレストン、オーボエパウル・グッドウィン、オケはイングリッシュ・コンサートです。つまり、古楽ということになります。フルートもフラウト・トラベルソ(バロック時代のフルート)と言ってもいい音色で、恐らく木管フルートなのではと想像されます。ちょっとリコーダーの音色に近いですね。

私にとってはじめての「大バッハの息子」の一枚です。これは先日聴きに行きましたフルート・デュオ・コンサートがきっかけになりましたのは言うまでもありませんが、実はそれ以前から彼の音楽は物色していました。その念願がようやくかなったものでもあります。

頭文字をとってC.P.Eと略されることが殆どですが、私はここでは面倒なので「カール」と呼ばせていただきます。カールはまた父ヨハン・セバスティアンの音楽を忠実に受け継いだ人でもありますが、一方で新たな「古典派」の時代をきりひらいた人でもあるのだなということを、このCDでは認識させてくれます。

実は、大バッハの二男と三男は、有形無形古典派に影響を与えています。11男ヨハン・クリスティアンモーツァルトに、そしてカールはハイドン及びベートーヴェンにそれぞれ影響を与えたどころか、それぞれに面識もありまして、それは多大なものでした。さらに、モーツァルトクリスティアン、カールどちらとも面識があり、クラヴィーア曲にその多大な影響を見ることが出来ます。

そういう知識は実は私は合唱をやっているときからありまして、特にこのカールはハイドンに、そしてクリスティアンモーツァルトにというのはミサ曲が好きな人たちでは有名どころか常識です。そういうこともあり、以前からこの二人の宗教曲は探し回っていました。特に、モーツァルトのミサ曲からハイドンのミサ曲へと関心が移っていた私は特にこのカール・フィリップを探していたのでした。

それが、980円という安価で売っていましたので、買って来た次第です。宗教曲ではありませんでしたが^^;今ではそんなことはどうでもいいのです。

さて、曲を簡単に解説しましょう。

・フルート協奏曲イ短調Wq.166

作曲は1750年ごろといわれており、同時期に同じ調性でチェロおよびチェンバロでも書かれています。どれが一番最初なの?といわれますと私も不勉強でどれとはお答えしかねます。チェロが最初というのが定説のようです(実際、これを書くために参照しましたウィキペディアではチェロ協奏曲と紹介された上で、フルートとチェンバロのヴァージョンありと書かれています)が、第1楽章はフルートを念頭に入れているように聴こえますし、第2楽章はチェロ、第3楽章はチェンバロをそれぞれ念頭に置いているように私は聴こえました。

協奏曲の基本である急-緩-急で構成されています。第1楽章はソナタ形式、第3楽章はメヌエットと、すでにモーツァルトの時代とその構成上はさほど変わりありません。父大バッハの音楽を継承しつつも異なるものも持ち合わせています。それによる洗練された音楽も聴き所だと思います。

・フルート協奏曲ロ長調Wq.167

これにも全く同じ調性でチェロとチェンバロのヴァージョンがあります。その三つとも1751年に作曲されたといわれています。全体的にはゆったりとした音楽が支配し、協奏曲の急-緩-急というのは感じにくくなっていますが、第3楽章の速さからかろうじてその構造となっています。第1楽章ではソナタ形式の萌芽が見られます。

この曲はウィキペディアではまずチェロ協奏曲と紹介されていますが、どうなんでしょう・・・・・フルートが先と考えてもいいくらいだと思うくらい、ゆったりとしてかつ動き回る構造です。

オーボエ協奏曲変ホ長調Wq.165

1765年に作曲され、これはもとからオーボエのための協奏曲として書かれたものです。急-緩-急を基本として作曲されています。が・・・・・

第1楽章ではさりげなくこの曲が普通ではないことを伝えています。オケと一緒にオーボエが出ているのです!

これは古典派初期でもなかなかありません。上二つの曲は、まずオケが出てその後ソリストが出るのですが、この曲はいきなりです。

当時の人は驚いたでしょうね。下賎な言葉を使えば、間違いなく「ぶっ飛んだ」ものと思われます。それじゃあ、フリードリヒ大王の下をさるわけだわなあと思います(ウィキペディアの「カール・フィリップエマヌエル・バッハ」の項参照)。大バッハの息子でそれを忠実に継承しているとはいえ、彼も自分の父とは違う感性を感じていて、それに自信を持っていたことをうかがわせます。だからこそ、父大バッハの継承者としか見ないプロイセン王宮ではなく、ハンブルクテレマンの下へと走ったと思われます。

勿論、この一曲だけでそれは語れませんが、このエピソードを裏付ける一つの材料であることは確かであると思います。

全体的には、フルート協奏曲は例えばモーツァルトのような流れる音楽を期待しますとあれって思いますが、そこがまた面白いです。さらに、フルートの音色がまた独特で、さわやかなんですが温く、金管とはまた違った世界をつむぎだしています。オーボエは音域が低くとも歌う旋律が素晴らしく、また温かいと思います。

そういう意味で、私にとってはカールは結構音楽的に共感が持てる作曲家だと思います。父親に隠れさすにはもったいないですね〜。少しずつですが、追いかけていきたいとおもいます。


聴いているCD
カール・フィリップエマヌエル・バッハ作曲
フルート協奏曲イ短調Wq.166
フルート協奏曲ロ長調Wq.167
オーボエ協奏曲変ホ長調Wq.165
シュテファン・プレストン(フルート)
パウル・グッドウィン(オーボエ
トレヴァー・ピノック指揮
イングリッシュ・コンサート
(audior 480 2436)