かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ34

今月のお買い物は、実は一点しかなかったんです〜

それほど欲しいものが、今月はなかったですね。まあ、正直言いますとなかったわけではありませんでしたが、ちょっとだけ予算が・・・・・

ただ、それは来月か再来月には買いたいと思いまして、今月はいつもの通り、BCJのバッハカンタータ全曲演奏シリーズを買ってきました。

今回は第34集で、収録されているのは、第1番、第126番、そして第127番です。第126番と第127番は連番ですが、実際に連作となっています。どれも2月から3月に演奏されるために作曲されたものです。

まず、第1番ですが、栄えあるカンタータの第1番です。事典によりますと、これは旧全集でそうなっていたのをそのまま踏襲したもので、実際にこの曲がバッハのカンタータの第1作目であるわけではありません(実際の第1作目は第150番といわれています)。

初演は1725年3月25日。実はこの時期は通常受難曲が演奏されるのでカンタータは演奏されませんが、この年はさまざまな関係で3月にカンタータが演奏されることになりました。そのために作曲されたのがこの第1番「輝く曙(あけ)の明星のいと美わしきかな」です。

一応、コラール・カンタータとしてはひとまずピリオドを打つ作品(東京書籍「バッハ事典」P.35)であり、バッハの作品のうちでも区切りの作品でもあります。構造的にはまるでヴァイオリンコンチェルトのような独奏ヴァイオリンの使用に合唱そして独唱を絡めて行くというもので、シンプルながらまるで天空を想像させるような、味わい深い作品です。

また、明るいのもとても聴き手を安心させる部分で、つい引き込まれていきます。バッハの、特に宗教曲って堅いというイメージがあるかと思いますが、そんなことはないという証明の作品です。もちろん、生真面目ではありますけれど^^;

それは、この曲が基本的に神を賛美する内容であることが理由でしょう。バッハのカンタータは例えば全曲すべてフルオケでというものではなく、楽章ごとに使われる楽器が異なる、という点に特徴があります。このカンタータでもチェンバロだけであったり、ヴァイオリンだけであったり、フル演奏であったりと、ヴァリエーションもさまざまです。

第126番「主よ、われらを汝の御言葉のもとに留めたまえ」では一転、冒頭合唱はイ短調となって厳しい音楽になります。反福音主義との戦いへの結集を促すものであるせいか、とても攻撃的な音楽です。プロテスタントの持つ、激しさと厳しさをここで味わうことが出来ます。この部分は、ちょっと日本人では難しいかもしれませんね。実際、私もそれを理解しようとするのにはやはり事典の力を借りなければなりませんし、それをもってしても完全ではありません。

それでも、耳を傾けますとカトリックとの対立を説く音楽の持つ厳しさというものが伝わってきます。

この曲ではかなりこったつくりになっていて、第2曲目では「もろもろの主をすべたもう主、強き神」の3回の呼びかけが反復の一音ずつあがっていきますし、第3曲目はカウンターテナーテノールが交替で担い対旋律をそれぞれ歌うというもので、そのあたりもバッハがこの曲に込めた思いを感じる部分です。

第127番「主イエス・キリスト、真の人にして神よ」は受難曲的な内容をもつ曲で、死と復活の意義を題材にしたものです。第1曲目では楽譜上、器楽には付点がつけられ、キリストが鞭打たれる様を形容しています。そう、この曲はまさしくゴルゴタの丘に貼り付けられた十字架上のキリストを題材とするものなのです。

それは全曲で貫かれており、第2曲目では休符がうめき声を形象し、第3曲目では二本のリコーダーのスタッカートと通奏低音のピチカートが死の鐘を描写し、第4曲目ではついにトランペットが登場して「最後の審判」を告知します。そして最終曲ではコラールが祈りそのものとして扱われています。

このCDは聴きますと、いわゆる「受難週」までの時期はカンタータが信者の気持ちを盛り上げていくものでもあったということがよくわかる内容になっています。ちょうど受難週直前ではどのような音楽が流れているのか、私たちに教えてくれます。

これは単にカンタータをつまみ食いするのでは全くわからない点だと私は思います。さすが、キリスト者である鈴木氏ならではだと思います。



聴いているCD
バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ34
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第1番「輝く曙(あけ)の明星のいと美わしきかな」BWV1
カンタータ第126番「主よ、われらを汝の御言葉のもとに留めたまえ」BWV126
カンタータ第127番「主イエス・キリスト、真の人にして神よ」BWV127
キャロライン・サンプソン(ソプラノ)
ロビン・ブレイズカウンターテナー
ゲルト・テュルクテノール
ペーター・コーイ(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(BIS SACD-1551)