毎週金曜日の「友人提供音源」コーナー、今回から5回シリーズでベートーヴェンツィクルスをお届けします。指揮はフランス・ブリュッヘン、オケは18世紀オーケストラ。つまり、ピリオド、古楽オケですね。
これをいただいたのは、せっかく古楽がすきなのならと、ちょうどブリュヘンが来日したときに演奏したツィクルスがFMで放送があり、それをCD−Rでいただけることになったものです。
まず一枚目は、交響曲第1番と交響曲第6番「田園」です。どちらもブリュッヘンらしく快速演奏。古楽らしくサクッ!と過ぎてゆきます。それが1番は心地良いですが、6番が・・・・・
これは、べーム叔父さんの弊害?というべきでしょうか。叔父さんの指揮があまりにもすばらしくて、そのイメージで聴いてしまうといまいち盛り上がりに欠ける感じです。粘りがないというか・・・・・
いや、アンサンブルだってすばらしいですし、アインザッツも充分強いです。特に、第3楽章からはそれがいい方向で出ています。
今でも古楽オケでの演奏は盛んですが、しかしベートーヴェンでははっきりとその評価が分かれてきますね。それは私も専門家の方々が仰るとおりだと思います。そんなことを感じるのが、ちょうどこの演奏だと思います。
ベートーヴェンの時代は楽器が進化した時代で、どの楽器がとあげればきりがありません。それほど時代が動いていたのです。ですので、ベートーヴェンに関しては私はそれほど古楽演奏を実は評価していません。でも、その中でもいいなと思うのはやはりエンシェントと18世紀オーケストラ、そしてBCJ(合唱に限る)です。
モーツァルトからすでにそうなのに、ベートーヴェンでも古楽?という意識は以前からあります。ただ、それはアプローチ次第なんじゃないかと思っています。どんな解釈をして、どのように演奏するのか・・・・・
それがはっきりとこの一枚から聴き取ることができます。1番は成功、6番はやや失敗気味、という感じでしょうか。それほど、ベートーヴェンは未来志向で音楽を書いていた、ということの証明でもあります。
当時の楽器の技術レヴェルからはみ出した音楽を書き、それを頑として貫き通したベートーヴェン。だからこそ、彼の交響曲は番号が後ろに行くにしたがって古楽では用意周到な準備がないとモダンとは比較にならないと思います。
これを聴きますと、改めてべームのような大指揮者のすばらしさを逆に感じることができます。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
フランス・ブリュッヘン指揮
18世紀オーケストラ
※非売品