今回の友人提供音源は、まさしくFMエアチェックそのものです。N響の第1470回定期演奏会のCD-Rです。
FMファンの方なら、ああ、あれか!とご存知だろうと思いますが、この定期演奏会はメインがマーラーの「巨人」なのですが、それは実はスヴェトラーノフが振る予定でした。ですが、スヴェトラーノフはこの世を去ります。その追悼のコンサートとなりました。
そのため、第1曲には彼のピアノ協奏曲が収録されています。このピアノ協奏曲が一見するとラフマニノフのように見えますが、実はラフマニノフ以上にとてもロシア的な旋律で、かつメロディラインもしっかりしていて、スヴェトラーノフという人が寄りたっていたスタンスというものを知識さえあれば解説なしに感じることができます。
2楽章構成という個性的な構造を持ちます。その第2楽章がラフマニノフと見まごうような旋律ですが、けれどラフマニノフではない、けれどラフマニノフの路線は引き継いでいるスヴェトラさんのいわゆる「西欧派」としてのスタンスを見て取ることができます、
その点は、私はこの音源をいただいたときにはその重要性に全く気づいていなかったなと思います。ラフマニノフのピアノ協奏曲を全曲聴いてから、この曲の価値に気がつくようになりました。
メインであるマーラーの「巨人」は語るようなものではありません。といっても別にその演奏を批判するわけではありません。マーラーという大作曲家の作品が、今になってかすむほどこのスヴェトラさんのピアノ協奏曲が存在感を増している、ということなのです。「巨人」はアンサンブルのN響と言われるようにとても弦がそろっている演奏で、すばらしいものですが、ある意味それくらいしかいうべきことがないとも言えるかと思います。
それよりも、この前座であるスヴェトラさんのピアノコンチェルトのほうが、今では私の心を捉えています。いただいた当時もかなり印象はよかったのですが、やはりメインのマーラーの方が気になったものです。しかし今では全くそれは逆になっています。
まさしく、このコンサートはスヴェトラさんの追悼だったのだな、と今となっては思います。
スヴェトラさんがどれほどの作品を残されたのかはわかりません。しかしいかにも西欧派であるその音楽は、もっと広まってもいいような気がします。ただ、先日山野でCDを探しましたら全くなかったのが残念です。
機会あるごとに彼の作品を探し、顕彰してゆく。そういう努力を、ちょっとでもしてみようかなと私は思っています。
スヴェトラーノフのピアノ協奏曲については、幸運にもウィキペディアに解説がありましたので、そちらをご覧くださいませ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%95)
聴いている音源
エフゲニー・スヴェトラーノフ作曲
ピアノ協奏曲ハ短調
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第1番「巨人」
他
ヨアフ・タルミ指揮
NHK交響楽団
横山幸雄(ピアノ)
※友人提供のCD-R、非売品