かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ブラームス 交響曲第1番

毎週月曜日と火曜日に掲載の「マイ・コレクション」、今回は2回とも筆者の都合により土曜日に掲載いたします。

今週のマイ・コレはロマン派の巨匠二人の作品です。まず今回はブラームス交響曲第1番です。指揮はリッカルド・シャイー、オケはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団です。

このCDを買ったのは、いくつかきっかけがありますが、大学に入って初めてまともな値段で買ったCDです。それも、大学の生協で。それでも、生協ですからある程度安かったからこそ買ったと記憶しています。

まず、カップリングが大学祝典序曲なのです。この曲、実は確か大学の入学式で演奏されたと記憶しています。私の出身大学は入学式に必ず音楽研究会管弦楽部が演奏を披露します。入学式が大学祝典序曲で、卒業式がフィンランディアだったと思います。

その大学祝典序曲は、知っている方も多いと思いますが、受験関係深夜放送の番組のテーマ音楽だったのです。旺文社が提供といえば、私くらいの年齢層の方であれば「ああ、あれか!」とわかるはずです。それを、入学式で演奏したのですから、私は大変驚いてしまったのです。

それ以降、私はこの曲のCDが欲しいと思うようになりました。このCDではさすがプロオケ、しかもCOAですからアンサンブルも全体的なバランスもすばらしいですが、聴いた大学オケはやはりアマチュアです。どうしても粗が出てしまいます。でも、この曲はもともと好きでしたから、生演奏ですっかり気に入ってしまったのです。

そして、この交響曲第1番というのがやはりベートーヴェンの第九をモティーフに作曲されている部分がある、ということを知ったという点も大きかったです。すでに何枚か第九を持っていましたし、それにこの時期大学オケを聴いたことで後期ロマン派へ興味もわいていた時期です。そんな経緯の中、このCDにめぐり合いました。

今では、このCDよりも好みの演奏がないわけではありません。しかし、やはり今でも基準となっている演奏はこのCDです。かといって、これを名盤と呼ぶにはそれほどすごい演奏ではないことは事実だと申し上げましょう。可もなく不可もなくというべきです。

しかし、アンサンブルはすばらしいですし、まず端正です。この時点ですでに私としてはストライクゾーンど真ん中でした。理性的ですし。ただ、多少緊張感に欠けるかもしれません。その点ではすでにすばらしい演奏にいくつか出会っています。

ただ、この演奏は私にブラームスのすばらしさを教えてくれたものに間違いありません。重厚ですが、しかしベートーヴェンと違いやはり何か歌うような部分を感じますし、長い時間かけてベートーヴェンの亡霊と戦いながらたどり着いたブラームスの個性をそこかしこに感じることができます。はっきり言ってベートーヴェンの第10番ではありません。やはりブラームスの第1番なのです。

それは後に、私を彼の室内楽へと導き、そして交響曲のチクルスを完成させるというところまでたどり着くこととなるのです。

その理由はこの指揮がシャイーであるという点もあるのかもしれません。チャイ5で聴いた生き生きとした演奏。それがこのCD購入へとつながったことは間違いありませんし、このCDでも特に第4楽章、ベートーヴェンの第九をモティーフにした部分で感じることができます。そのことが、私にブラームスはとっつきやすいよと教えてくれたのです。そのブラームスの音楽は、多感な学生時代の最後の大学生という時期の私に、ブラームスのとても自己的な部分を前面に出す音楽もすばらしいと教えてくれたのです。

このCD以降、次にブラームスを買うのは社会人になるまで待たねばなりませんが、それでもこの演奏が私にブラームスの音楽を強烈に印象付けていたのは間違いありません。その社会人になって買ったCDが、やがて正式に私の心に火をつけるのです。そのきっかけになったのがこの演奏であることは間違いありません。



聴いているCD
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第1番ハ短調作品68
大学祝典序曲 作品80
リッカルド・シャイー指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(ロンドン F32L-20200)