かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」・第6番・変奏曲作品44

今月のお買い物、2枚目は最近私がはまっているベートーヴェン室内楽から、ピアノ三重奏曲第5番、第6番、そして変奏曲作品44です。演奏はスーク・トリオです。

本当に、もっと早く彼の室内楽に出会っていればよかったと思います。これほど軽快で、楽しいものだったとは!

第5番は「幽霊」と標題がついていますが、それとは裏腹に主調はニ長調です。何と楽しいのでしょう!

それに、第5番の第1楽章はどことなく彼のピアノ・ソナタ第7番の第1楽章に似ています。思わず、私はピアノ・ソナタ第7番も一緒に聴いてしまいました。確かに似ている・・・・・

それがどうしてなのかは、不勉強でわかりません。しかし、主題提示部は本当によく似ています。ただ、ソナタ形式上の展開は全く違います。その点は、勿論全く別な曲になっていますが。

ピアノ・ソナタ第7番成立が1798年。そして、この「幽霊」が1808年。その十年の間に、彼は何と作品番号で60以上もの曲を世に出しています。その間に、彼は聴力を失うという悲劇に襲われ、この作品を作曲したときには立派な障害者。

その差が、音楽に出ているのかどうか、そこまで断定するわけには行きませんが、この曲ほどスコアを見たいと思った曲はありません。実際、見れるサイトがあるのですが、今はパソコンが非力なため、そこまで手が回りません。うー、見たい!

見れる方は是非見ながら聴かれると、この曲は面白いと思います。できれば、同時にピアノ・ソナタ第7番の楽譜も見ながら。

いやあ、わたしはそこまでできませんが、しかし冷静に見比べたいなとこの曲ほど思った曲はありません。

このアルバムに収録されている、第5番と第6番は、作品70なのですが、どちらも楽しい曲です。これほど楽しい曲を、1808年という時期のベートーヴェンが書いているか!と思いますとほほえましく思います。ベートーヴェンさん、ごめんなさい!私はあなたに対する印象をはっきりと間違って考えていましたと、ひれ伏して謝りたい気分です。

勿論、彼独特の高貴さも持ち合わせていますが、これほど楽しい曲を書いていたとはと、驚きの連続です。

ベートーヴェンは、かつては道徳の時間でも取上げられるほど、努力の人、障害を乗り越えた人とイメージされますし、私もたぶんにそういう印象を持っていますが、確かにそれは事実ですが、それ以外にもとても楽しい部分を持ち合わせた人であるということを、室内楽を聴くたびに印象付けられます。

ああ、あの時、高校2年生のとき、選択を間違えていなければ・・・・・・と悔やんでも仕方ないですが、そんな気分にもさせてくれます。にくいですよ〜、ベートーヴェンさん、そしてスーク・トリオの面々。

こういう曲を聴いてしまうと、本当にもっと彼の室内楽が聴きたくなりますね。

変奏曲は・・・・・かなり彼の変奏曲が好きな人向けな気がしますが、最近彼のピアノ曲、例えばディアベッリ変奏曲を聴いた私などは、この曲は興味深く聴きました。決まった転調による変奏を、いくつも重ねて展開していきますが、それがとても味がありますね。こういう曲は本来私は好きなはずなのに、どうして今まで食わず嫌いだったのだろうかと思います。

地味だから、かもしれません。もともと、交響曲のような大規模で歌舞伎で言えば見栄を張る曲が好きだったためかもしれません。しかし、それだけではいけないなと感じさせるだけのものを、この曲とこの演奏は持っています。

こういう曲こそ、もっと私は聴くべきだと思いましたし、また聴かれるべきだとも思います。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ三重奏曲第5番ニ長調作品70-1「幽霊」
ピアン三重奏曲第6番変ホ長調作品70-2
変奏曲変ホ長調作品44
スーク・トリオ
(DENON COCO-70919)