かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

友人提供音源:ロミオとジュリエット

金曜日の「友人提供音源」コーナー、今回からしばらく友人から譲り受けたFM音源シリーズのうち、5枚組みのものを取上げます。第1回目の今回はまず第1枚目のロミオとジュリエットと名のついたCD-Rです。

ロミオとジュリエットとついていますが、実際にはそれだけではなく、ベルグのルル組曲、そしてエルガーの愛の挨拶、チャイコフスキーくるみ割り人形からトレパックの4曲が収録されています。

指揮はユリ・テミルカーノフ、演奏はサンクトペテルスブルク放送交響楽団です。こういう手のものを紹介されるのが、この方の特徴といえましょう。

テミルカーノフ。名前は知っていますが、実際どのような指揮をされるのかはまったくわからなかった時代です。というより、私自身がこれをもらった当時チャイコフスキー以降のロシアの作曲家をあまり好まなかったのです。ロミオとジュリエットもチャイコではなく、CMや「のだめ」で有名になったプロコフィエフです。

この音源は、実は私の初プロコフィエフになります。それくらい、後期ロマン派以降のロシアの作曲家というのはあまり興味がなく、後はナクソスの「バトル・ミュージック」というアルバムで2名程度と、ハチャトウリャンの「剣の舞」、そしてショスタコーヴィッチの交響曲が2曲位しかありません。ですから、当然ロシアのオケや指揮者というのにあまり興味がなかったのです。

それは、私が国防オタクであったことと決して無関係ではありません。つまり、戦前風に言いますと「敵性音楽など、聴けるか!」という感じだったのです。それが、徐々に解けていったきっかけがペレストロイカです。

それ以降、私は徐々にチャイコフスキー以外のロシアもの、あるいは旧ソ連ものを聴くようになっていました。ただ、それ以前から全く興味がなかったわけではありません。それは来週のマイ・コレで取上げますが、既に大学時代にショスタコーヴィッチの交響曲第5番を聴いているからです。それを買った理由は、ショスタコーヴィッチが国家から受けた仕打ちを知っていらっしゃる方であれば、5番と聴いただけでお分かりだと思います。

つまり、人権や軍事に興味があるからこそ、ショスタコーヴィッチの5番を買ったのであり、プロコフィエフのこの演奏をいただいたのはその延長線上でもありました。

それと、実はロミオとジュリエットチャイコフスキーで持っていたということもあげられます。それが結構好きだったということもあり、いただきました。しかし、それでも5枚というのはちょっと大変でしたが・・・・・

つまり、合唱団でのレファレンスのために聴く曲あり、自分の好みあり、さらにはこんなご紹介いただいた曲ありと、当時仕事上では企業年金の大激変期で忙しかったのに、私はプライヴェートでも休む暇がないほど音楽を聴いていました。半分義務でです。

その中で、ある意味「義理」で聴く音楽というのは、たとえ自らが望んだことであっても時間を割くのは大変なことでした。なぜなら、いただいたからには聴いて感想を述べるという「義理」を果たさねば、相手に対して失礼だからです。特に、私の場合それが早くないと気がすまないタイプでして^^;

ですから、体力的にきつくても、無理して聴いてしまうという、完全にストレスをためやすい性格です。それがきつくても、ある程度穏当な言葉を選べる性格でもあります。それゆえに、5枚は正直きつかったです。

しかし、この一枚目はとてもすばらしいものだと今聴いて思います。でも、当時はやはり記憶している限りでは2枚目と3枚目を評価していたと思います。この一枚目はそれほどでもなかったように思います。まだ、マーラーの5番の呪縛もありましたし。

でも、今はそんなことが微塵もありません。それよりも、「お、ここマーラーのようにいきなり出てきやがるな」なんて、冷静に聴くことができますし、それほどいやな感じもありません。特にロミオとジュリエットの4曲目、最後の部分になりますが、何となく二人の死を予感させる部分がわかったり、その後死して結ばれる部分での長調への転調などは、すばらしいと感じています。

それは、もしかすると母国オケと指揮者だからかもしれません。テミルカーノフとサンクトペテルスブルク放送響というコンビが、祖国愛から奏でるからこそ、私の心に突き刺さるのではないかと思います。それでいて、彼らの音楽は冷静さも欠きません。そのあたりが私の好みど真ん中であるということに、いまさらながら気がついています。

さらには、ベルグのルル組曲。これはもうバリバリの現代音楽ですが、これも余裕で聴けるのはもしかしますとそれなりに人生を生きてきたからなのかもしれません。酸いも甘いも経験してきたからこそ、かもしれません。

後の2曲はもう人口に膾炙する曲ですから、言うまでもありません。

そのすばらしさを理解するにしばし時間がかかった演奏です。



聴いている音源
プロコフィエフロミオとジュリエット」他
ユリ・テミルカーノフ指揮
サンクトペテルスブルク放送交響楽団
(FM音源からの非売品)