かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:スメタナ 弦楽四重奏曲第1番・第2番

今週だけ、変則で火曜日と木曜日に「今月のお買い物」を入れさせていただきます。今日はスメタナ弦楽四重奏曲第1番と第2番です。演奏はスメタナ四重奏団。これまでもベートーヴェンの弦四で述べてきましたカルテットです。

実は、このCDを買うのは念願だったのです。スメタナ四重奏団というより、むしろ第1番が欲しかったのです。

第1番は「わが生涯」という標題がついています。随分前ですが、私はこの曲を聴いて電流が走りました。それ以来、いつかはと思い続けてきた1曲です。それが、しかも名演の誉れ高いスメタナ四重奏団で、しかも第2番とのカップリング。予算と相談でしたが、今月は上積みしたこともあり、即決でした。値段も1050円と安かったですし。

この二つの作品を作曲した当時のスメタナは、既に聴力が衰え、第2番の時には完全に聴力を失い、かつ精神分裂や幻聴・幻覚という精神病特有の症状が出て、すでに作曲できる状態ではありませんでした。そんな中で努力の末生み出されたのがこの二つの作品です。

その作曲家の名前を掲げるカルテットらしく、ベートーヴェンの弦四とはまた一味違った鋭さと精神的に高い演奏は、聴くものをぐいぐいと引き込んでゆきます。

構造的には精神病の症状があちらこちらに出ていてまとまりがないですが、それでも次々と移り変わる音楽は一つとしてつまらないものがなく、スメタナがこの曲に託した思いが伝わってきます。

第1番には各楽章ごとに詳しいスメタナによる「解説」がついているらしく、それは私も楽譜を見たことがないのでなんともいえませんが、そうだとしますと、やはり母国のカルテットらしい部分が、特に精神性の部分で感じられます。

第2番はつらつらと述べられている音楽をひたすらに奏でることで、せつなさが伝わってきます。悲しみの中にあって、それでも何か伝えたいことがあるような、そんなスメタナのメッセージを感じ取られるように私には思えました。

全体的に、ベートーヴェンの時に述べましたように温かみがある一方で、アインザッツはかなり強めで、それが高い精神性につながっています。その点は、アルバン・ベルクと共通するように思います。勿論、アルバン・ベルクのほうがアインザッツははるかに強いですが・・・・・

いい感じに枯れている、という表現のほうが適当かもしれません。スメタナ最晩年の作品。何となく涙が出てくる一方で、じんわりとした感情が込みあがってくるのは私だけなのでしょうか。

ようやく買えた一枚。これからどんどん聴いてゆきそうです。


聴いているCD
ベルドジヒ・スメタナ作曲
弦楽四重奏曲第1番ホ短調「わが生涯より」
弦楽四重奏曲第2番ニ短調
スメタナ四重奏団
(COCO-70435)