かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

モーツァルト 3台のクラヴィーアのための協奏曲ヘ長調K.242

今日はモーツァルトの第7番を取上げます・・・・・って、どこにも7番って書いてないじゃん!ていう、ア・ナ・タ。仰る通りでございます。今日取上げますのは、3台のピアノのための協奏曲K.242です。しかし、この曲はモーツァルトのピアノ協奏曲の中では第7番に数えられています。そのため、今日はこの曲を持ってきました。

クラヴィーアという表記は、東京書籍「モーツァルト事典」に基づきましたので、ピアノ協奏曲と考えてください。しかも、この曲は3台ピアノを使うという、かなり大掛かりな曲なのです。

しかし、実際聴いてみますと、3台で演奏している感じを受けません。2台までは聴き取れるのですが・・・・・

この曲を初めて聴いたのは、ガーディナー指揮のピリオド楽器ででした。で、散々申しておりますが、ピリオド楽器だとピアノの部分が弱いので、そのせいかなってはじめ思ったのですが、実はモダン楽器ではそれほど録音がなく、私は神奈川県立図書館と銀座の山野楽器で探したのですが、県立図書館では一枚だけ、山野楽器では全集でのみ見つけることができました。

結局、予算の関係で県立図書館で借りることにしました。その盤はマリナー指揮、アカデミー室内という名演奏(ピアニストの一人はブレンデル)ですが、実は2台だけなんですね。そして、クレジットを見てみますと、モーツァルトによる2台編曲版と出ているのです。

そこで、事典を調べてみますと、どうやら初演の演奏者の技量の関係で、3台ある効果が出ていない作品に仕上がってしまったと言うのです。それで納得しました。確かに、ピリオド楽器とはいえ、3台あるわけですから、結構目立つ場面だってあるわけですが、そういう部分でも2台位しか感じられないのです。借りたCDの解説には、楽譜上は3台目は半分かそれ以下しかウェイトが置かれていないと書かれてあり、そのため編曲がなされたようだとありました。

実際、2台でもまったく遜色ありません。もともと2台だったのではないかと思うくらいです。

形式的にはほぼ協奏曲としての形が整ってきていますが、それでもソナタ形式での繰り返しはないですし、まだ発展途上の音楽です。しかし、そんなことをまったく感じさせないのがモーツァルトの音楽のすばらしい点です。当時の社交界の要請だったとはいえ、とても上品かつ明るい曲です。軽さもあり、まさしくモーツァルトです。この軽さと言うのはとても重要で、モーツァルトの音楽の特徴です。特に八分音符の使い方がすばらしく、私も歌っていたときには八分音符の扱い方には非常に神経を使いました。その八分音符こそ、モーツァルトの音楽の軽さの源泉なのです。

この曲も初演の様子がわかっていませんが、その後に行われた演奏の記録がかなり残っている曲で、そのせいか、ピリオド楽器でもさほど遜色なく聴けます。ピアノ、つまり弱音部分が弱いのは相変わらずですが・・・・・

この曲を聴きますと、ピリオド楽器での演奏はかなり注意を要するという感をまた強く覚えます。ピアノが副数台あるからこそオケに負けず聴こえるわけで、モダンの演奏ではそのあたりを考慮した演奏になっていまして、そのあたりはうなってしまいます。

あまり出回らない曲ですが、見かけたらゲットをお勧めします。FMで流れるときにはエアチェックを。

私も、ブレンデルの新全集で出ましたら、買いたい曲です。