かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:メモリーズ 白川毅夫

さて、その月に買ってきたCDをご紹介する「今日の一枚」シリーズですが、今月は予算の関係で3枚の予定だったんですが・・・・・

マイミクさんでもあります、クラリネット奏者の白川毅夫さんがアルバムを出されましたので、つい衝動買いをしてしまいました!

それが、この「メモリーズ」。温かい音楽があふれるアルバムです。

曲目は、

モーツァルト ケーゲルシュタット・トリオK.498
ブルッフ 8つの小品作品83
シューマン おとぎ話作品132
・白川毅夫 メモリー

の4曲。最後の曲はアルバムのタイトルにもなっている、オリジナル曲です。

白川さんと知り合いましたのは、free MLのメーリングリストででした。もうかれこれ7年くらいのお付き合いになります。といってもネットがほとんどですが^^;

しかし、コンサートも2度ほど聴かせていただきまして、実際にお話しもさせていただいている間柄でもあります。

そして、いつしかmixiでも活動されるようになり、マイミクさんとして仲良くさせていただいております。本当に感謝しています。

最近は私の仕事が休日中心になったことからなかなかコンサートに行けず、悶々としていたところへ「アルバムを出しましたので、是非!」と言われ、即答で「はい!」と答えました。

全体的には、音がとてもよく、パソコンで聴きましてもとても臨場感があります。録音の場にいるかのような錯覚に陥ります。ご本人もそれを意識してレコーディングされたようで、その意思がひしひしと伝わって来ます。そして、三人のアンサンブルの絶妙なこと!本当に室内楽に関しましては、海外の演奏家にまったく引けを取らないくらい日本のレヴェルは高くなっているように思います。

まず、注目はケーゲルシュタット・トリオです。モーツァルトの音楽って、どうしても交響曲のようなきらびやかさ、美しさがよく言われますが、本来彼はシャイな性格で、なかなか自分の気持ちを出しません。まあ、だからこそあの時代にケッヘル番号だけでも600を超える曲を書けるほど需要があったわけですが・・・・・

彼の室内楽を聴きますと、本来彼が持っている性格が良くわかります。とても繊細でかつやさしい。だからこそその反面として短調は激しい。ベートーヴェン同様意外な一面を見ることができます。その典型が、私はケーゲルシュタット・トリオだと思っています。

ケーゲルシュタット・トリオはクラリネットとピアノ、ヴィオラのための曲なのですが、そのクラリネットがとても温かいのです。もともと、白川さんの演奏はその「温かさ」を大事にされておられるのですが、それがこのケーゲルシュタット・トリオにぴったりのように思います。

もともと、ケーゲルシュタット・トリオ自体がある個人宅での演奏のために書かれたもので、初演はモーツァルトヴィオラを弾いています。それがためか、とても楽しい、温かい曲に仕上がっています。モーツァルト交響曲やピアノ協奏曲を聴きなれている方は、かなり驚かれるのではないでしょうか。

二つ目がブルッフなのですが、私としましては恐らくヴァイオリン協奏曲しかもっていない作曲家だと思います。この作曲家ももう少し作品が聴かれてもいい方だと思っていますが、私自身もなかなか食指が動かない、いや他に聴きたい作曲家がいるので動けない作曲家です。

特徴としましては、寂しさの中に温かみがあるという感じの曲を書かれます。白川さんもその点を拾い上げようとしているようで、聴いていますと気持ちが優しくなってきます。ヴァイオリン協奏曲では味わえない、もっと深い部分の人間の優しさが伝わってきます。アルバムの半分近くを占める結構長い作品で、白川さんのこの曲に対する想いが伝わってきます。

この8つの曲全てが演奏される機会は少ないそうで、是非耳を傾けてみましょう!作品は20世紀にかかる時期に書かれた曲ですが、とてもそんな時代とは思えないほどメロディラインがしっかりした曲です。

三曲目はシューマン。おとぎ話というだけあって、愉快で温かい音楽が流れます。作品は1853年とブルッフよりは古い作品ですので、いかにもロマン派という作品ですが、それがまたとても聴きやすく、心が落ち着きます。ここでもアンサンブルの温かいこと!白川さんのクラリネットは勿論、ピアノとヴィオラもとてもいい感じです。

最後の曲は白川さんのオリジナル。いつもコンサートの時にはご自身のオリジナルを演奏されるのですが、クラリネットの温かさが伝わる曲ばかり。今回もクラリネットを中心に、メンバーの仲のよさが伝わってくる作品で、聴いているこちらが楽しくなります。いかにも楽しい思い出という感じで、題名そのもののように感じます。

首都圏では銀座のヤマハや山野楽器で購入できますが、下記のサイトからも注文できますので、是非一度聴いてみてくださいませ。室内楽の魅力がいっぱいです。

http://www2.ttcn.ne.jp/~takamaru-cl/memories.html

聴いているCD
モリーズ 白川毅夫
白川毅夫(クラリネット
橋本とも子(ヴィオラ
川辺千香子(ピアノ)
(JMCC-20210)