かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第10番変ホ長調作品74「ハープ」

今日は、弦四第10番「ハープ」を取上げます。標題はハープが使われているからではなく、第1楽章に現れる、弦をはじく奏法である「ピツィカート」がハープのように聞こえるからです。

この曲はのびのびしています。いや、決してラズモフスキーがそうでなかったというわけではありません。しかし、あの曲は委嘱作品であり、この曲はベートーヴェンが個人的に作曲したものであると言う点が違います。おそらく、それがこの曲に前三曲とは異なる雰囲気をもたせている原因でしょう。

これぞ、musiker氏のいう「ベートーヴェンの遊び心全開」である曲だと感じています。

この曲も第3楽章と第4楽章がつながっていて、しかもちょっといったん音楽が止まり気味で次へ行くという形を取ります。ただ、この曲は最初スメタナリッピングしたときにはさすがに失敗しました。ですので、このブログを書くにあたって、再度トラックをつなげてリッピングしなおしたものを聴いています。アルバン・ベルクはそれがあって最初からつなげてあります。

そして、その第3楽章と第4楽章がすばらしいのです。特に、第3楽章のトリオ部分のフーガはすばらしいです。

私は、ラズモフスキーから作風ががらっと変わったなと思っています。その特徴として、楽章がつながっていることと、第3楽章のトリオ部分にフーガが使われ始めているという点です。それが絶妙の効果をあげているように思います。美しく、また高貴で。その上やさしさがあふれ、明るい部分はまるで太陽のようです。

このハープも、そんな内容を持ち、第2楽章の哀愁と温かみが交差する音楽は最高です。なんと癒されるのでしょう・・・・・

それが、第3楽章から一転、激しい音楽へ変わります。すばらしいスケルツォです。転調してトリオが始まるのですが、そのフーガが見事です。ウィキペディアには「チェロとヴィオラに現れる2本の旋律がポリフォニックに展開する。」と表現されています。

しかも、それが2回あるという、まるで「運命」を彷彿とさせる構成です。確かに、テーマの音形は似ていますね。作品としてはこの曲のほうが運命より後ですが・・・・・

もしかすると、これぞ「運命」で実験をした後、思いっきり展開したのでしょうか?musiker氏なら、そう書きそうです。実際、私もそう思います。

そして、知らないうちに第4楽章へ。これがとてもまた暖かい楽章で、聴いていて楽しいです。ウィキペディアによりますと、ベートーヴェンの弦四唯一の変奏曲形式だそうで、そうだったかなあ、と。確かに、ここまではまったくありません。そういう点も、この曲が遊び心にあふれていることを示しています。

今回も、スメタナアルバン・ベルクどちらも聴いているのですが、甲乙つけがたいですねー。どちらもすばらしく、一方で決め手を欠きます。これこそ、「どっちでもいいんじゃないの〜」って思います。どちらを買われても、損はないと私が断言します!

ただ、カップリングがどちらもラズモフスキー第3番なので、お勧めはスメタナになってしまいますけどね。でも、ハープはどちらでも本当に損はしないと思いますよ!あのアグレッシヴなアルバン・ベルクでさえ、この曲ではちょっと肩の力を抜いています。それゆえに、とても温かみのある内容になっています。さすが、どちらも金字塔といわれる演奏だけあります。

やや、アルバン・ベルクの方が歌っている、かもしれません。そういう演奏がお好きな人なら、この曲に関しては、アルバン・ベルクで決まり!かもしれません。