かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番ハ長調作品59-3「ラズモフスキー第3番」

ちょっといろいろあって間があきましたが、再開します。今日は、第9番「ラズモフスキー第3番」です。

この曲は作品59群の最後の曲になります。冒頭は暗めで始まり、まるで弦楽器によるファンファーレのようですが、それが一転して明るい、ノリノリの曲へと変わります。

ゆったりとして少しばかり憂鬱な感じの第2楽章、メヌエットと少し回帰主義的な第3楽章、そしてフーガがすばらしい第4楽章と、聴き所はもう全てと言っていいくらいです。

第2番で人を失った悲しみを表現したと思ったら、今度はなんとも楽しい曲をもってきました。ここに、ベートーヴェンの難聴という障害を負ったゆえのやさしさがあるようにわたしには聴こえます。

この曲ではどこにロシア民謡が隠れているかが良くわかりません。かろうじて、第2楽章ではと思います。実際、ウィキペディアではそのようなアプローチ(正確には第2楽章ではそれに触れていないのですが)です。しかし、私が持っているスメタナ四重奏団のブックレットには、第2楽章がロシア民謡あるいはスペイン民謡と、意見が分かれていると書かれています。

このあたりは本当のところどうなのかよくわかりません。私たちは現代のソ連プーチンロシアを考えますから、露スケのことだから絶対に自分の国の民謡を取り入れるようにベートーヴェンに命令したのだろうと考えてしまいがちですが、それははたして正しいのか、私には疑問です。

当時の国際情勢と文化的影響度を考えますと、ことはかなり複雑です。政治的にはフランスは敵でオーストリアはロシアと同盟を組んでいますが、文化的には同じく共にフランスロココ時代の影響を受けています。そういう状況下で、私はいくら依頼主の方が立場が上であるとしても、それは難しいと思っています。

ベートーヴェンに頼むなら、初めからラズモフスキー伯爵は恐らく頼んでいないと思うのです。一国の外交官が、むしろ開明的な思想に共感しているベートーヴェンに曲を頼むわけがありません。恐らく、ベートーヴェンがナポレオンを嫌っていた(皇帝になったので)と言うことと関係があることだと思っています。ここだけは現代のものの考えを押し付けるわけには行きません。

そんなことはさておき、この曲は実は第3楽章と第4楽章はつながっているわけなのですが、実はスメタナアルバン・ベルクどちらもファイルが切れていてもまったく違和感がありません。「あ、そういえばつながっていたね」くらいのものです。その理由は、第3楽章最後にフェルマータがあることにあります。

私はmp3で聴いていますから、本当に切れ目なしなら、リッピングするときにつなげています。そうしませんと、mp3にしますと1秒ない間ですが無音状態が生まれますので、必ず音が切れます。ですので、聴いていて不自然になります。ところが、「失敗してしまった!」という感じがないのです。

ウィキペディアでも、スメタナ四重奏団のブックレットでも切れ目なしと書かれていますが、恐らく借りてきたときにはアルバン・ベルクには切れ目なしとはかかれていなかったのかもしれません。実際、最後の最後まで私は自分の耳で聴いてオーディオチェックを行った上で、図書館へ返しますから、それで問題なしとしたのだと思います。実際聴いていて、不自然ではありませんから。

フェルマータがついているということは、実はまったく切れ目がないと言うことではなく、一瞬だけ音楽が止まることを意味します。ですから、恐らく問題がないのだろうと思います。実際は、WAVEファイルをCDにして、その後ファイルをmp3にするわけなのですが、最終段階のWAVEファイルからCDに焼いた後のオーディオチェックの時には、焼くソフトには必ず1秒間のギャップが入りますので、必ず1秒間無音部分が生まれます。それでも違和感がなかったと言うことなのです。

ですので、この曲は第3楽章と第4楽章は正確に言うと切れ目がある、といっていいのではないかと思います。ただ、音楽的にはその無音部分がアタッカなのでは?と思います。こればかりは楽譜を見てみないとわかりません。タダでネット上で手に入るようですが、ちょっとそこまで手が回らないので、今回はご勘弁ください。

さて、今回もスメタナアルバン・ベルクを聴きくらべながら書いているのですが、この曲に関しましては、まず第1楽章はアルバン・ベルク、第2・第3楽章はどちらとも言えず、第4楽章はスメタナ、ということができるかと思います。これは私としては何度聴いても動かせません。ただ、全体としてはどちらともいえません。これもまたこの曲に関しては動かせません。ですので、ラズモフスキー全体としましては私はスメタナを勧めます。ただ、演奏技術としては、恐らくアルバン・ベルクが全体としては上だと思います。このあたりは好みになるかもしれません。セッションなんかやられていらっしゃる方は、アルバン・ベルクが好みだったりします。確かに、それは聴いていて思わずうなってしまいます。その演奏水準のすばらしさは、他の追随を許しません。

それでも、私は全体的にスメタナを押すのは、やはりその雰囲気にあります。室内楽というサロンで楽しんだであろう雰囲気を壊していないのは、スメタナのほうだからです。特に、いろんな精神状態でも聞けるスメタナは、ちょっと心が病んでいる方にはお勧めです。アルバン・ベルクは激しすぎます・・・・・

具合が良くなったら、アルバン・ベルクを聴いてみましょう。それでもう病みつきになれば、恐らく具合は良くなっていますよ。私もそうなので。