かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ オルガン作品全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、バッハのオルガン作品全集を取り上げていますが、今回はその第4集を取り上げます。

第4集はコラール特集となっています。いよいよ本格的にコラールが登場してくるってわけです。

バッハの宗教音楽にとって、コラールは非常に重要な地位をしめています。それは前回や前々回でも述べたとおりです。さらに付け加えるなら、そのコラールが重要な地位を占めるというのも、実は祖先から受け継いだものである、ということなのです。

バッハといえば、ここでも取り上げているヨハン・セバスティアンが最も有名なのですが、彼の父や祖父も名のしれた作曲家であり、ヨハン・セバスティアン同様、コラールから様々な作品を紡ぎあげた職人たちだったのです。

ですから、これらコラールを題材とした作品たちはまず、バッハの家内制手工業であったと同時に、プロテスタントとしての精神世界でもあったわけです。ですから、バッハに取っては空気のようなものだと言えるでしょう。

それ故でしょうか、さすがにこの第4集に収録されたものはどちらかといえば音圧の強いものが多いのです。それでもイゾワールは極めてしなやかに演奏しています。それがよく分かるのが、後年メンデルスゾーン交響曲第2番「宗教改革」でも使ったコラール「われらが神は堅き砦」BWV720です。

もともとユダヤだったメンデルスゾーンが自身もピアニストということで、やはりバッハの音楽が頭にあったことだろうと思います。そこで「神は我が櫓」がすっと使われているんだと思います。バッハの音楽はそんなところにも大きな影響を与えています。メンデルスゾーンの時代でもまだ、プロテスタントの宗教世界はしっかりと息づいていたためです。教会の力が弱くなり世俗の力が大きくなったとはいえ、当時のドイツは神聖ローマ帝国を事実上引き継いだドイツ帝国の時代だったということを想起する必要があるのです。

神聖ローマ帝国
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E8%81%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E5%B8%9D%E5%9B%BD

だからこそ、プロテスタントは社会の精神であったわけなので、メンデルスゾーンもすっとコラールが出てくるってわけなのです。その音楽的基礎を築き上げた一派が間違いなくバッハ一家だと言えますし、その最後の巨匠がヨハン・セバスティアンだったということなのです。

ですから、コラールが特集されるということは特段不思議なことではなく、当然のことだと言えます。が、演奏しているのはフランス人であるイゾワール。フランスは基本カトリックです。けれどもここにはそんな宗派の違いを超えた、先達バッハへの共感に満ちています。時として力強く、時として繊細であるのは今まで通りですが、その「力強く」という部分で幾分多少強めになっているんですね。それはイゾワールの共感がとても強い部分であろうと判断できるかと思います。

これを聴きますと、バッハの作品がプロテスタントというキリスト教のいち宗派であるにもかかわらず、如何に普遍性を持つかがわかろうものです。昔、某指揮者から「ドイツ物はフランス人の演奏で聴け」とよく言われましたが、このバッハの演奏を聴きますと、その意味が何となくわかる気がするのです。ドイツものだとして構えるドイツ人の演奏もいいが、肩の力を抜いたフランス人の演奏もまた、その作曲家の魂を反映しているものなのだ、ということを・・・・・私はようやく、その意味に至れたのだと、喜びに満ちています。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
プレリュードとフーガ イ短調BWV543
フーガ・スープレ「いと高きところには神にのみに栄光あれ」BWV716(偽作?)
フゲッタ「幼子イエスはわが慰め」BWV702
ファンタジー ト長調(オルガン曲「Piece d'Orgue」)BWV572
コラール「わがことを神にゆだね」BWV708(偽作?)
コラール「わがことを神にゆだね」BWV707aと707b(偽作?)
コラール「われらが神は堅き砦」BWV720
コレッリの主題によるフーガ ロ短調BWV579
コラール「いと尊きイエスよ、われらはここに集いて」BWV731
コラール「いと尊きイエスよ、われらはここに集いて」BWV730
レグレンツィの主題によるフーガ ハ短調BWV574
コラール「われらに救いを賜うキリストは」BWV747(偽作?)
アラ・ブレ―ヴェ ニ長調BWV589
プレリュードとフーガ ホ短調BWV533
マニフィカート「わが魂は主をあがめ」BWV733
アンドレ・イゾワール(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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