かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:アノニマス4が奏でる、イングランドの聖母マリアを讃える13、14世紀の単旋律聖歌とポリフォニー音楽

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はイングランドの13、14世紀の単旋律聖歌とポリフォニー音楽を収録したアルバムをご紹介します。

この手は好き嫌いがはっきり分かれるジャンルだと思います。宗教音楽だからではなくて、むしろその音楽そのものを受け入れるか否かという問題なのですね。特に19世紀後期ロマン派の音楽がバリバリ好きな人達にとっては・・・・・

私からすれば、素朴で好きなんですが、その素朴さがつまらないって評価になるわけです。それはそれで他人の評価ですからいいんですが、問題はその個人の受け取りの問題が全体の問題となっていること、だと思います。

このアルバムに収録されている作品はどれもグレゴリオ聖歌のように作曲者が不明であるものばかり。しかしその美しさは絶品です。「美しいこと」が神への「捧げ物」であるわけですから、当然だと言えるでしょう。

そこが、日本人にはというより、村祭が廃れた現代日本ではというべきだと思いますが、理解しにくい部分なんですよね。せっかく神道は古い歴史を持ち、古い伝統も残っているとはいえ、息づいていないのでこういった作品がなぜ欧米では残り、理解され、演奏され続けているのかが理解できないんです。

日本では、神道であろうが仏教であろうが、「奉納」というものがありますよね?こういった宗教音楽はまさに「奉納音楽」なんです。こう言えば、納得できる部分は、むしろ地方に住み村祭などに携わる人達のほうが理解できるのではないかって私は思います。

ですから、こういった音楽を聴く人たちを、地方の人たちは是非とも排他的に扱わないでほしいなって思います。キリスト教音楽を聴く人たちには二通りあります。キリスト教徒だから聴く人と、クリスチャンではないけれど魅力を感じる人、です。私は神道と仏教なので、後者に当たります。特に大学時代、寺院を巡り仏像に触れてきたからこそ、こういった宗教音楽にはとても魅力を感じます。

かく言う私も、以前はこういった宗教音楽に拒絶反応を持っていた一人です。特に合唱団に入った20代前半までは、「なんでキリスト教の音楽を」って思っていました。けれども聴けば聴くほど、そしてその背景を知れば知るほど、大学時代、たとえば聖林寺の十一面観音の前で額づいていていた自分とダブるんです。そこから共感することが多くなり、拒絶反応はなくなっていきました。

ここに収録されているのは、聖母マリアを称える作品が主です。その意味では、キリスト教は多分に多神教である我が国神道のほうに近い宗教だと言えるでしょう。勿論、仏教とも共通するものがあり、単純に仏教徒は違うとは言えないんですが、この聖母を称えるとう点においては、神道のほうに近いんじゃないだろうかって思います。たとえば、我が国の神話はとても親子の関係が多いですよね。それと同じで、こういったキリスト教においても、親子、特に父性が強いはずの西洋で母子という視点を持っているのは、父性のみの我が国神道なのに、実は母性が重要視されてきた我が国の宗教観似もにているのではないかって思います。

その意味では、他のアジア諸国に比べキリスト教音楽がなぜ我が国では都市部を中心に受け入れられているのかは、当然の結果だと言えるんじゃないでしょうか。その部分で我が国すごい!って番組を私は見たことがありません・・・・・

演奏するは、アノニマス4。設立から幾度かメンバーは変わっていますが、取り上げるジャンルは変わっておらず、確固とした地位を今や築き上げたアカペラ・グループで、CDも多く出しています。

Anonymous 4
https://en.wikipedia.org/wiki/Anonymous_4

英語版ウィキしかないって点が、我が国での知名度の低さを物語るのかなって思いますが、じつに実力派揃いだと思います。ディスコグラフィの中で1998年にハルモニア・ムンディから出ているA Lammas Ladymass: 13th and 14th Century English Chant and Polyphonyというのが今回取り上げているアルバムで、じつに美しい!特に第1曲めの「喜べ、挨拶を受け給いし処女よ」で4声部が揃ったときのアンサンブルの美しさは絶品です!なのに、グループ名は「アノニマス4」なんですよね〜

え、なんでそこで「ね〜」なんだって?アノニマスとは、日本語訳しますと「無名の」という意味なんです。実力があり発声もしっかり通っている4人がです、自分たちは無名の存在ですって言うんです。宗教音楽をとりあげる「覚悟」というものを、このネーミングからは感じます。

神という「自分を超えた大きな力」に対し、謙虚に額づき、しかししっかりと自分たちの実力をアンサンブルで出していく・・・・・これって、そもそもバロックまでの演奏家の基本姿勢でした。そういった古來にに立ち返るという意味もあるように思います。それぞれが自立しつつ、しかし無名の存在として讃美する・・・・・その姿勢もすばらしいですし、そのすばらしさはしっかりと芯がありつつ美しいアンサンブルとして現れていると思います。

こういった、時として掘り出し物をを持っている小金井市立図書館って、本当に不思議な図書館だって思います。図書を見るとありきたりな市立図書館だなあって思いますけれど、いざCDとなると、Jpopなどではありきたりなライブラリも多い中で、クラシックはありきたりなだけではなくふと見れば掘り出し物があるんですから・・・・・・その数は少ないとしても、小金井市民の方々は是非とも、足を運んでほしいって思います。地方図書館が変な資本に乗っ取られないよう、市民が使うことで守ってほしいって思います。このような真に意味のある掘り出し物がまっさきに切り捨ての対象になるのですから・・・・・




聴いている音源
�@プロローグ:喜べ、挨拶を受け給いし処女よ
�A多声歌曲:天の女王、汝に祝福あれ
�B入祭唱:めでたし、贖い主の御母/めでたし、弱き者の光/めでたし、棘のない薔薇/めでたし、聖なる聖母
�Cモテトゥス:輝ける黄金の光は/光と栄光
�Dキリエ:恵み深き女主人よ、憐み給え
�Eグロリア
�Fモテトゥス:聖霊と慈しみ深き保護者よ/喜べ、挨拶を受け給いし処女よ
�G歌曲:驚くべき降誕により
�H昇階唱:汝は祝福され給いし尊ぶ御方
�Iアレルヤ唱:いざ、喜びの心もて/敬虔なる心もて/アレルヤ、汝によりて
�J続唱:天より遣わされ給いし
�Kプローザ:喜べ、恵み深き処女よ(聖歌)
�L多声歌曲:めでたし、処女のなかの処女
�M奉献唱:真に幸いなる御方(聖歌)
�Nサンクトゥスとベネディクトゥス
�O続唱/歌曲:イエス・キリストの優しき御母
�Pアニュス・デイ:聖なる力により
�Q聖体拝領唱:何と幸いな御胎(聖歌と歌曲)
�Rロンデルス:高貴なる光
�Sイテ・ミサ・イスト
㉑賛歌:幸いあれ、海の星
アノニマス4
 ルース・カニングハム
 マーシャ・ジェネンスキー
 スーザン・ヘラウエア―
 ジョアンナ・ローズ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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