かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜レールウェイ・ダイナミックス 力闘 加太越え 関西本線のD51

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介します。今回はクラシックではなく、SL、蒸気機関車の音を収録したアルバムを御紹介します。

小金井という町は、かつて国鉄の官舎が有った街で、今でもJRの住宅が立っています。武蔵小金井には中央線の車庫もあり、そういった事情から、このアルバムがそろったのだと思います。正直、神奈川県立図書館より充実していますから・・・・・

しかもです。収録されているのは、日本で最も多く製造された、D51、なのです。これは以前神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーでもご紹介した形式です。

国鉄D51形蒸気機関車
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84D51%E5%BD%A2%E8%92%B8%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A

では、多く製造されたから小金井市立図書館でも持つようになったのかと言えば、私は必ずしもそのように思っていません。吹奏楽もけっこう充実しているライブラリを見れば、そんな単純な理由ではなく、むしろ地元にゆかりがあるから持っていると判断したほうがいいと思っています。実は、中央線に投入されたDLのほとんどは、中央線が山岳路線であるゆえに、D51だったからです。

しかし残念ながら、中央線の様子を収録したアルバムはあまりありません。そこで、SLを撮る、録るのに当時のマニアの中で1位、2位を争った、関西本線の加太越えのものが採用されたのだと思います。

さて、そうなると、関西本線という路線がどのようなものかを説明する必要があるでしょう。以前、同じ小金井のライブラリで鉄道唱歌を扱ったものをご紹介していますが、その時に関西本線が取り上げられているのを覚えていますでしょうか。沿線風景は歌われるだけあって素晴らしいのですが、実はその分山岳路線なのです。

関西本線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E8%A5%BF%E6%9C%AC%E7%B7%9A

現在でも、アルバムにも収録された加茂〜亀山間は非電化路線です。それだけ人が乗らないんですね。けれども1両編成でかなり埋まるだけは乗るだけに、廃止と言う話が持ち上がることはないようです。実は奈良から名古屋へ抜けるには新幹線を使わないで鉄道を使うには現在でも最も早くもっとも安いルートなのです。

ですから、このアルバムが作られた当時は、まだまだ利用客も多く貨物輸送の主ルートだったため、蒸気機関車がまだまだ活躍するという状況だった、と言うわけなのです。しかも山岳路線で、特に収録されている加太〜柘植の間は今のDLでさえ厳しい勾配を登っていきます。その上で美しいカーブもあり、乗っていても魂が喜びを隠せない路線です。そのためにこのアルバムの他、多くのアマチュアの方々が記録を残されています。youtubeでもたくさん上がっていますので、是非そちらも検索したうえでだと、このアルバムがよりわかりやすいと思います。

まずは亀山機関区の朝の様子から始まり、機関区長のインタービュー。温かいメッセージが素晴らしい!

そして亀山〜柘植間。関西本線の中で一番タイトな区間です。そこをD51重連で登っていきます。亀山駅を発車したところは多少速いですが、段々遅くなっていくのが音で判ります。え、なんで判るのかって?それは音楽と全く変わりません。

SLは確かに機械ですが、ある一定のリズムを持っています。その繰り返しがどれくらいの間隔を持っているかで、判るのです。音楽に置いてワンフレーズがどの間隔で来るのかと全く同じなのです。ですから、そのリズムをクラシック音楽に落とし込んだ作曲家が幾人もいました。その代表的作曲家が、ドヴォルザークです。

クラシックファンには鉄道ファンも多いのですが、それは音楽とSLのドラフト音、或はレールのつなぎ目を拾う音などに共通項があることが理由なのです。ドヴォルザークもそういった作曲家だった、と言うわけです。そして私がドヴォルザークが好きなのも、恐らくその同じ「鉄」としての共感があるためなのです。

私が言っていることが良く分かるように編集されているのがこのアルバムの素晴らしいところで、もう一つが同じ関西本線天王寺〜月ヶ瀬口間なのです。機関車は恐らく奈良機関区所属。そのため、その前のトラックには奈良機関区のターンテーブルの様子が収録されています。え、奈良に機関区あったんですかって驚く鉄道ファンの方もいらっしゃると思いますが、私が大学時代最初に関西本線を使って奈良駅に降りた時、現在日航ホテルやバスターミナルがある南口のほうは機関区だったのです。当時はもうSLはおらずDLでしたが。

その奈良から天王寺まで回送して、臨時列車「柳生4号」を引く様子が収録されており、そのドラフト音の間隔の短さと言ったら!関西本線天王寺〜奈良までは直線的であり、今でも大和路快速が走るスピード区間なのです。それと加太越えを比較すれば、どちらがどれだけきついのかは一目瞭然なのです。元の音源は確かビクターなので、そのあたりはさすがだなあって思います。

また、亀山〜柘植間は貨物列車の261レ、そして天王寺〜月ヶ瀬口間は客車を引く臨時「柳生4号」(収録された昭和46年に放映されたNHK大河ドラマ春の坂道」にちなんだ臨時列車で、行き先がそのため伊賀上野)というコントラストになっているのも、さすがレコード会社の編集だって思います。なぜなら、レールのつなぎ目を拾う音が、客車と貨車とでは車輪の数が異なるため違うからなんです。当然その音やリズムと言ったものも違ってくるため、とても楽しいのです。こういう編集をクラシック音楽でもやってくれると、時代がデータになっているだけにコンテンツとして魅力あるものになるのになあって思います。

さらに、貨物列車261レは、緩急車(車掌が乗ってブレーキをかける車輌)にマイクをセットし、客車である「柳生4号」では先頭の機関車(本務機と言います)にマイクをセットしていると言う点も、同じSLでありながらも違う音が収録されていて、鉄道ファンとしては魅力あるものになっています。こういったことが国内レコードメーカーは出来るのですから、クラシック音楽に造詣が深ければ、輸入盤やDL専業に負けるなどと言うことがあろうはずがないんです。是非とももう一度素晴らしいコンテンツを世に出してほしいと思います。




聴いている音源
よみがえる昭和 迫力の蒸気機関車D51サウンド決定版1
レールウェイ・ダイナミックス 力闘 加太越え 関西本線D51
亀山〜柘植(関西本線
�@亀山機関区早朝のムード
�A亀山機関区長インタビュー
�B緩急車添乗亀山発車〜柘植着発車まで(261列車:本務機D51 882+後部補機D51 895)
 途中加太・中在家信号場間通過音
 加太トンネル附近通過音
天王寺〜月ヶ瀬口(関西本線
�C奈良機関区ターンテーブル、足まわり給油、仕業点検
�D天王寺駅ムード
�E本務機添乗天王寺発車〜月ヶ瀬口着発車まで(9336列車「柳生4号」:D51 178)
 途中奈良駅構内臨時停車、奈良駅にて機関士交代、大河原・月ヶ瀬口間通過音
�F奈良機関区入浴風景


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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