かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ブラームス ホルン&クラリネット三重奏曲

今月のお買いもの、9月に購入したものをご紹介していますが、今回はブラームスのホルン及びクラリネット三重奏曲を取り上げます。カメラータ・トウキョウから出いているもので、ソリストが集結しています。ディスクユニオン新宿クラシック館での購入です。

実は、このCDを買うときにはちょっとだけ迷いました。この手はまず間違いなく県立図書館にあるから、なのです・・・・・

ただ、私としてもまだまだブラームス室内楽を十分知っているわけではないとおもったため、思い切って買うことにしました。もしよければ、図書館で借りてきてもいいではないか、ということで。

ブラームス室内楽は、本当にどこに宝石箱があるかわからない作品が多いので、実は重複してもまったく損した気分にならないのが不思議で、またそこがブラームスの作品の魅力かと思います。

そう、ブラームスと言えば、交響曲をはじめとする管弦楽曲が注目されることが多いですが、むしろ室内楽のほうが作品数としては多いくらい、豊かなライブラリを持っています。

ヨハネス・ブラームス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9

このCDに収録されている二つの三重奏曲も、とても魅力的な作品です。

まず、ホルン三重奏曲です。1865年に作曲と、実に若い時代の作品です。そのせいか、第1楽章は壮大かつ甘美で、ブラームス室内楽が持つ人懐っこさをすでに十分持っていますし、また若いころの甘酸っぱい旋律も充分に聴き取ることが出来ます。

さて、その説明で一応ウィキを挙げますが・・・・・

ホルン三重奏曲 (ブラームス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%B3%E4%B8%89%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

CDのブックレットと比較しますと、視点が異なるのが面白いと思いますので、ブックレットの内容も踏まえて、述べたいと思います。ウィキでは楽章構成に注目し、ブックレットではホルンに注目しています。そして、そのどちらもこの作品の特色だと言えましょう。

まず、楽章構成は4楽章であり、さらに舞曲がないということで、バロック期の教会ソナタに準拠していることが一つ目の特徴です。

ソナタ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF

その上で、この曲で使われるホルンについては、楽譜で「ヴァルトホルン(森のホルン)」を使うよう指示があることなのです。これはぶっちゃけて言えばナチュラルホルンのことを指します。とは言え、ナチュラルホルンを使いこなすにはプロでも結構熟練の技が要ります。そのため、このCDではより近いウィンナホルンを使用しています。

ホルン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%B3

ホルンはまさしくヨーロッパ的な楽器の一つといえましょう。狩で使われる角笛が大元なのですから。それがまずナチュラルホルンとなり、さらにバルヴが付いたことで自由に音が出る現在のホルンへと発展していきますが、ブラームスは敢えて、ナチュラルホルンを選択したのです。彼自身がホルンを得意としていたことと、この作品ではナチュラルホルンでもレガートに演奏できるよう工夫して作曲がなされているのです。

その効果として、歌うようなホルンとアンサンブルしている各楽器が、混然一体となって遠い風景を私たちに提示しています。そう、まるで絵画です。

第3楽章はブラームスの母を偲ぶ部分となっていますが、それもまるで遠くに山を見るような、風景画のような効果を演出しています。その上で、亡き母を偲ぶべく、メストの指示を入れ、さらにここはフーガとなっている点も見逃せません。

つまり、この作品は多分に象徴主義新古典主義へとつながる部分をもった作品だと言えます。音楽が絵画的な意味合いを持つにつれ他の芸術との交流がなされていくのがロマン派音楽の特徴ですが、その点でいえばまさしくロマン派の音楽でありながら、先進性も持っていると言えるかと思います。

一方、クラリネット三重奏曲は、晩年の1891年に作曲された作品です。絶望の淵に立っていたブラームスがであった、クラリネット奏者という希望から作曲されたのがこの曲です。

クラリネット三重奏曲 (ブラームス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E4%B8%89%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

それだけに、調性もイ短調と暗めですし、勿論全体的に明るくはありません。ただ、ブラームス晩年の作品によくある、絶望の淵のような音楽はなく、まるで達観したような音楽がそこには存在します。

演奏は、その二つのコントラストを大事にしながら、けっして気負いすぎないのが印象的です。特にブラームスの若いころの作品で恋愛にまつわる作品はドグマを内包することが多いのですが、ホルン三重奏曲に関しては、恋愛とあまり関係ないためか、それほど気負わない演奏に新鮮味を感じながら、いつしか懐かしさや自然さを感じ始め、その世界にどっぷりと浸かっていくような効果があります。

確かに、そもそも指定でナチュラル・ホルンがあることを鑑みれば、アインザッツの強すぎる演奏はそぐわないような感じがします。ホルンの構造上、アインザッツをそれほど強くすることはできないでしょう。ですから、多少強め(ベートーヴェン弦楽四重奏曲の演奏例でいえば、スメタナ四重奏団の演奏のような)くらいでちょうどいいと思います。

一方、クラリネット三重奏曲ではもう少し強めになっています。特にピアノは激しさをもち、当時のブラームスの心の内を私たちに知らせてくれるかのようです。しかし、全体を貫いているのはあくまでも達観であり、冷静な音楽で彩られていることから、演奏者たちもそれほど徹底的にアインザッツを強めてはいません。

それは人によっては、今ひとつの印象も受けるかもしれません。しかしつまりそれだけ端正な演奏は、2度3度と聴くうちに味わい深いものとなって、私たち聴衆を包み込み始めます。私などは今書いているうちに泣きだしそうです・・・・・

そう、ブラームスの特に室内楽は、私の琴線に触れる曲ばかりで困るのですが、だからこそ聴きたい音楽でもあるのでやはり困りものです^^;

多分間違いなく、今度県立図書館へ行くときにはいくつか借りてくることでしょう、ブラームス室内楽を・・・・・



聴いているCD
ヨハネス・ブラームス作曲
ホルン三重奏曲変ホ長調作品40
クラリネット三重奏曲イ短調作品114
ラルス・ミヒャエル・ストランスキー(ホルン)
ペーター・シュミ―ドル(クラリネット
ペーター・ヴェヒター(ヴァイオリン)
タマーシュ・ヴァルガ(チェロ)
岡田博美(ピアノ)
(カメラータ・トウキョウ CMCD28075)



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