かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:パガニーニ 弦楽四重奏曲全集

今月のお買いもの、7月の2枚目はパガニーニ弦楽四重奏曲全集です。レーベルはブリリアント・クラシックス。アマーティ弦楽四重奏団の演奏です。銀座山野楽器での購入で、630円也。

いやあ、安いですね・・・・・ただし、輸入盤なので解説が英語である上、その解説は誠に簡単・・・・・

ということは、ある程度このブログが解説をしないといけないわけです!

このCDを購入した動機は、ヴァイオリンの名手であったパガニーニが作曲したサロン音楽である弦楽四重奏曲が聴いてみたいという衝動に駆られたからでした。ヴァイオリン協奏曲での超絶技巧を知る私としては、いったいどんな「超絶技巧」な作品に仕上がっているんだろうと思いきや・・・・・

これが、誠に素直な作品なんです。それほどヴァイオリンが超絶技巧というほどではありません。各楽器が楽しく会話するといった感じです。

以下は、第1番を紹介したサイトなんですが・・・・・

http://gengaku.jpn.org/c/d/database11.cgi?keys31=PaganiniNiccoloStringQuartetNo.1indMS20-11815%5B2Vln/Vla/Vc%5D

難易度はベートーヴェンの「ラズモフスキー第1番」程度ですから、けっして簡単ではありませんが、かといって超絶技巧というものでもないというものにカテゴライズされています。その理由は1stヴァイオリンがあまりにも忙しいためのようです。確かに、主旋律に動きがある作品が目白押しです。

それがパガニーニらしいといえばそうかもしれません。しかし、ヴァイオリン協奏曲のような派手さは在りません。ただし、それを彷彿とさせるような、各楽器のバランスなどは感じられます。

パガニーニ弦楽四重奏曲を3曲残していまして、そのすべてがどうやら1815年頃に作曲されたようです。CDのブックレットでは1815年から1818年にかけて作曲され、サルディニア王でジェノバ公であったヴィットリオ・エマヌエル1世に献呈されたとあります。現在ではMS20と番号が付けられていますが、このCDでは作品1aとされています。

そう言えば、パガニーニベートーヴェンの音楽を愛していました。いや、古典派の音楽をと言ったほうが正しいのかもしれません。第1番から第3番までの作品はどれも、ベートーヴェンというよりはむしろモーツァルト的です。そこにベートーヴェンの初期の作品のような、気高さが加わったような音楽に仕上がっています。

私たちはどうしても、時代区分でパガニーニをロマン派に入れてしまいますが、パガニーニが生きた時代は、半分は古典派の時代であったことを思い起こす必要があるように思います。

ニコロ・パガニーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8B

13歳で学ぶべきものがなく自作の練習曲で練習をしたとウィキにありますが、その13歳が何年かといいますと、1793年であるわけです。これはモーツァルトがなくなって2年あとで、ベートーヴェンはまだ交響曲を書いていないのです。

さらに、この3つの弦楽四重奏曲が書かれた1815年から18年という時期は、ベートーヴェンの中期、「傑作の森」の時代が終わり、大スランプの直前に当たります。ベートーヴェンが古典派を徹底的に磨き上げた時代に、この3曲は作曲されているのです。ですから、作品としてはとても古典的なにおいがします。

私はこの弦楽四重奏曲ほど、パガニーニが生きた時代というものを感じるものはないんじゃないかという気がしています。もちろん、もっと多くの曲を聴きませんとうかつなことは言えませんけれども、パガニーニが生きた時代、特に前半生がどんな時代であったのかを考える時に外せない作品ではないかという気がするのです。第1楽章が長く後の楽章に行くにしたがって演奏時間が逓減していくもの古典的ですし、過度にロマンティックでもないのも時代を感じさせます。

だからと言って決して習作ではないのです。すでにヴァイオリンはかなり動き回るようになっているのは確かですし。パガニーニが自信をもって世に問うたサロン音楽であることは間違いないでしょう。実際、ブックレットによりますと彼もこの作品群には愛着を持っていたようです。

初期ロマン派の作曲家たちは、その初期の作品があまりにも古典派に立脚しているせいか、日本ではあまり演奏もされずCDも話題になる箏がありませんが、もっと聴かれるべきであるように思います。古典派の知られざる作曲家の作品も掘り起こされるべきですし、私自身もその一翼を担うつもりですが、その前にすでに知られている作曲家の古典派の時代に作曲された作品を取り上げることも、使命の一つではないかと考えています。それは以前からたとえばウェーバーの作品などを取り上げていることでやってはいますが、それを自分の立ち位置にすべきなのではないかと、最近は思っていもいるのです。

それにしても、アマーティはけっして派手ではないですが、確実にいい演奏をしますね。リフレインの処理や、テンポ感覚、小節最後の音の処理など、本当にどれをとっても上品です。だからでしょう、作品の「素顔」が見えてくるのだと思います。



聴いているCD
ニコロ・パガニーニ作曲
弦楽四重奏曲第1番ニ短調作品1a-1
弦楽四重奏曲第2番変ホ長調作品1a-2
弦楽四重奏曲第3番イ長調作品1a-3
アマーティ弦楽四重奏団
(Brilliant Classics 94287)



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