かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヴィラ=ロボス ブラジル風バッハ2

今月のお買いもの、6月に購入したものをご紹介しています。今回はヴィラ=ロボスのブラジル風バッハの第2回目です。第4番から第6番までが収録されています。

ブラジル風バッハと言えば、第2番とここに収録されている第5番が圧倒的に人気で、その二つを取り出して収録される場合も多いのですが、全集好きの私としては、やはり全集でほしかったのですね。

ただ、その代償と言ってはなんですが、第5番ではちょっと困ったことが起きてしまっています・・・・・輸入盤ならではなんですが・・・・・・

第4番は管弦楽で4楽章、第5番は8本のチェロとソプラノのアリアで2楽章、そして第6番がフルートとオーボエの二重奏でこれも2楽章と、ヴァラエティに富んでいますが、その中でも目を惹くのが第5番です。

8本のチェロの伴奏に乗る、ソプラノの歌唱・・・・・とても美しいですし、また伸びやかでソリストのレヴェルの高さに驚かされます。ブラジルにだって素晴らしい歌手がいるんだ!と自分の視野の狭さを思い知らされる演奏です。

さて、その第5番はヴォーカリーズで始まりますが、しかし途中に歌詞が入っています。第1楽章、第2楽章共に歌が入っていますから、どんな歌詞であるかは気になるところ。

ところが、これは輸入盤ですから、当然訳詩は英語なんです・・・・・><

第1楽章のアリアは幸いながらネットで拾えたのですが・・・・・

エイトール・ヴィラ=ロボス作曲 
ブラジル風バッハ第5番
第一楽章アリア(カンティレーナ)
http://www6.ocn.ne.jp/~colosop/music-Villalobos-b5-1.html

第2楽章は拾えませんでしたToT

第1楽章は、確かに歌詞としては郷愁を誘うものだと思います。このサイトがアップされた当時はおそらく日本人には理解できないという文章でよかったでしょう。しかし、昨年の3月11日以後、私たちは国内に同じ国民でありながら難民を抱えています。その人たちには、直感的に理解できるのではないかと私は思います。

第2楽章は拙い私の英語力で読解してみるに、第1楽章を受けて鳥に焦点を当てています。しかもその鳥は内陸に住む鳥。激しい郷愁が今度は鳥を見て歌われるのです。

確かに、2楽章しかないのにこの第5番が特に有名というか、紹介されることが多いのかはわかるように思います。それは、ブラジルという国の成り立ちや社会に目を向けませんと、理解できないのではないかと思います。

ブラジル
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB

最近はサッカーで知るということが多いかと思いますが、私が小中学生の時は、ブラジルと言えばプランテーションというイメージなのです。ですので、実は私は比較的第1楽章の歌詞などはすっと心に入ってきます。なぜこの歌詞が生まれ、そしてブラジル風バッハで採用されたのかが、何となくですが理解できるからです。

その歌詞に、いかにもブラジル風というか、ラテン風の音楽がついています。それがまた郷愁を誘うのです。まるで、オーヴェルニュの歌のようです。

オーヴェルニュの歌
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%81%AE%E6%AD%8C

ヴィラ=ロボスはもともと民謡採集で注目された作曲家であったことを考え合わせると、それは不自然ではありません。彼が作曲を始めた時期こそ、そういった民謡採集が世界中で行なわれていたのですから。そしてその運動の担い手の一人にバルトークがいるわけで、彼も大きくは新古典主義の音楽家であるといわれています。

バルトーク・ベーラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%A9

そういった、当時の様々な潮流の影響を受けているのが、この2枚目であれば第5番と第6番ですし、また第5番と一緒に紹介されることが多い第2番なのです。

第6番は単にブラジル風の音楽が鳴り響くだけではなく、第2楽章では不協和音が鳴り響き、もはや新古典主義とだけではくくれない音楽に変わっています。そういえば、第4番と第5番・第6番との間には作曲年代として8年の開きがあり、第4番が1930年、第5番と第6番が1938年になるのです。それは同じ新古典主義であったプーランク室内楽を盛んに作曲していた時期にも重なります。

そういった世界潮流を頭に入れたうえで聴きますと、何とも面白い楽曲が順番とは言え並んでいるではありませんか!

第4番だって、魅力的な楽曲です。構成としては第3番までの延長線上でありながら、すでにバッハ風ではなく完全に「ブラジル風」になっています。バッハ風とかろうじて言えるのは楽章についている名前だけになっています。

演奏全体としては、まあまあと言ったところでしょうか。第4番では少し不安定さが見えますが(もちろん、それはアマチュアがやるようなものではないので聴くに堪えないという訳ではありませんが)、そのほかは本当に素晴らしい、安定感のある演奏を聴かせてくれます。それはまるでブラジルサッカーを見るような、個々の力はすごいけれど、組織となると多少弱さが見え隠れするという点が挙げられます。しかし、それはそれでまた味があるのです。

ただ、そのばらつき感が、恐らくこのCDが中古市場に出回った理由でもあるのだと思います。いずれにしても、新譜は今はなかなかない(ナクソスすらない)状態では、とてもありがたい演奏であることは確かです。ソプラノもビブラートが適切なレベルで、のびやかで力強い歌を聴かせてくれます。



聴いているCD
エイトル・ヴィラ=ロボス作曲
ブラジル風バッハ第4番・第5番・第6番
レイラ・ギィマラエス(ソプラノ)
ノートン・モロゾヴィッツ(フルート)
ノエル・L.デヴォス(バスーン
イザーク・カラブチェフスキ―指揮
ブラジル交響楽団
(imp JSL 143-3)



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