かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クリュイタンス ベートーヴェン交響曲全集3

神奈川県立図書館クリュイタンスベートーヴェン交響曲全集の第3回目は第3集を取り上げます。第5番、第7番、そして「フィデリオ」序曲です。

ここまで来ると、ある一定の法則で編集されていることが分かります。奇数の番号は奇数の番号を、偶数の番号は偶数の番号をというまとめ方です。

それもそれで分かり易いなあと思います。それ故、この全集では面白いカップリングが実現しています。普通、第5番、つまり「運命」とのカップリングと言えば、第6番「田園」が多いのです(ベートーヴェン交響曲同士にする場合。そうでない場合はシューベルトの「未完成」)。それが、ここでは第7番とのカップリングとなっています。

第5番と第6番は時間的にCDの収録時間ぎりぎりということもありますし、作品番号が並んでいるということも有ります(何しろ、この二つは初演が全く同じ年月日で、しかもその時は田園が第5番、運命が第6番になっていました)。ところが、この全集ではあえて第5番と第7番を並べたということになります。それにフィデリオ

交響曲第5番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

交響曲第6番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

その点から、とても面白い内容となっています。

演奏自体は端正さが前面に出されていますが、クリュイタンスらしい気品と豊潤な色彩を求める指揮が、ドイツ・オケのベルリン・フィルによって現出されています。それ故、第5番は勝利の音楽というものを超えて、希望の音楽となっています。それを受けての第7番は、かっちりとした中で形式美を徹底的に追及しています。

この第3集には、運命という曲から想像できるような暗いものがほとんど、いや、一切ありません。あるのは形式美から発する希望だけです。これほど豊潤な運命を聴いたことがありません。

それを考えますと、なぜ宮前フィルの定期で指揮者は希望が見えるような解釈で臨んだのか、その一端が垣間見えるような気がします。

コンサート雑感:宮前フィルハーモニー交響楽団第33回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/756

実はこの演奏は、運命に関しては初めあまりいい印象を受けなかったのです。音が豊潤すぎて、私がこの曲に本来的に持っている「勝利の音楽」という印象と少し離れるからです。しかし、いまなら素晴らしいと言えます。勝利ではなく、希望へのアプローチなのだ、と。

クリュイタンスとベルリン・フィルだからこそ実現できた演奏かもしれません。

第7番はむしろ本来第5番で実現されるべき重厚な雰囲気を持っていますが、上品な雰囲気がそこかしこに出ている素晴らしい演奏です。ただ、第7番が持つ舞踏的な雰囲気がかけているかなって印象は持っています。この曲が古典派交響曲の最高峰と言われることを重視し、形式美に特化しているせいもあるのかもしれません。テンポがやや重いせいもあるでしょう。もう少し室内楽的にしてもよかったように思います。第2番や第4番のような思い切った解釈をしてもよかったのになあと思います。

まあ、それでもクリュイタンスらしさはそこかしこに出ていますから、お聴きになりますと他の演奏と違うのにびっくりされることと思います。若干ピリオド演奏的な部分もあるのにも驚かされます。

最後のフィデリオも重厚ですが豊潤な音楽が現出しています。それによる上品さと気高さは、至高という言葉がぴったりだと思います。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
交響曲第7番イ長調作品92
歌劇「フィデリオ」序曲作品72b
アンドレ・クリュイタンス指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。