かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

音楽雑記帳:バロックと太陽黒点との関係性

音楽雑記帳、今回は音楽を自然科学の側面から見てみます。

バロック期というのは、音楽史においてはちょうど17世紀から18世紀にかけての時代を指しますが、実はこの時代は、太陽黒点が少ない時期、つまり太陽の活動が弱い時期でした。その中でも、1645年から1715年にかけては極端に太陽黒点が少なく、太陽活動がきわめて弱かった時期でして、それを「マウンダー極少期」と呼びます。

マウンダー極小期
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E6%A5%B5%E5%B0%8F%E6%9C%9F

こういった科学関係はウィキは正確ですね(まあ、どこかの本を丸写ししているという疑惑もあるので正しくないとおかしいのですが・・・・・それがいいのかはちょっと疑問ですが)。太陽黒点の数がどのように推移したかがデータで出てくれているのも嬉しいですね。

さて、音楽においてバロック期というのは1607年から大バッハが死んだ1750年の間とほぼ考えていいわけですが、

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF#.E9.9F.B3.E6.A5.BD

実はその間、太陽黒点は比較的少ない時期であることがグラフからわかります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Sunspot_Numbers.png

そう、バロックの時代の音楽というのは、太陽黒点が少ない時期、つまり、太陽活動があまり活発ではない、弱い時代の芸術なのです。

科学がいまより発達していないこの時代は、すべてのものが気候に左右されます。人間の生命活動に必須の産業である農業や漁業が影響を受けることもそうですし、また、気候の変化そのものが人間の生命に健康という点で直接影響を与えるわけでもありました。

ですから、気候を題材にした芸術はこの時代数多く生み出されています。レンブラントの風景画にあまり晴天が多くないのはそのせいですし、だからこそ逆に暗やみの中で明るさを求める絵画が多く描かれました。また、他の画家ではマウンダー極少期の凍ったテムズ河を描いたものもあります。

ただ、絵画や彫刻といった他の芸術まで含めた場合、バロック時代というのは太陽黒点が活発だった時期も含まれるので、このウィキの説明はまさしく正しいわけなのです。

「1960年代に至っても、ヤコポ・ペーリ、フランソワ・クープラン、J・S・バッハらの大きく異なる音楽を同じ一つの呼称でまともに扱うことが出来るかは学識者の間で大きな論争となっていた。」

当然なのです。太陽活動が活発であるが故に暖かい時期に生み出された芸術と、太陽活動が弱まり寒い時期に生み出された作品が性格的に全く同じであるはずがありません。

バッハは、ちょうどマウンダー極少期の一番終りの時期から作曲を始めています。一番最初のカンタータである第4番は1708年もしくはそれ以前に作曲されていますが、そのカンタータは本当にストイックな内容で、若いバッハの気負いすら感じる作品ですが、一方でどうしても哲学的にならざるを得なかった寒冷期という、人間の体にとってつらい時代を反映しているものでもあるのです。

マイ・コレクション:BCJ バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/669

実はこういった自然科学の知識がないと、リヒターのように重厚一辺倒になってしまうように思うのです。確かにリヒターの演奏は素晴らしく、非の打ちどころがありません。しかし、ものによっては重く感じてしまうものもあるのは、やはり自然科学的時代観というのがないからだと思います。

その点、いわゆるピリオド演奏をする人たちは、逆に軽いことが一見すると軽薄に見えるのでしょうが、たとえば先日取り上げましたモテットの場合、抜けるような青空をそこにみることが出来ます。それもそのはず、太陽活動はマウンダー極少期を抜け、太陽黒点数も正常に戻り、活動が活発になったことから地球が温かくなったのですから。

こういった知識がありますと、バロックの場合、軽めの演奏が実はとてもいい効果を生み出すことがあるのだということが分かります。寒いからこそ哲学的にもなりますが、一方でそれを吹き飛ばそうという作品だってあるわけです(レンブラントが典型)。音楽も一緒です。さらに作曲された時期が暖かい時代なのか寒い時代なのかによってもまた性格づけが違いますし、バロックの作品というのは実に豊かな性格を持っているのです。

私がリヒターを評価する一方で評価しないこともあるのはそのせいで、バロックという時代を一側面から見ていないのはあまり好きではありません。かといって演奏者すべてが自然科学の知識があるわけでもありません。芸術全般は勉強していますが、自然科学まではどうしても手が回りません。

バロック音楽に関しては、やはり聴衆が自然科学までの知識を持ったうえで、評論を行うことで、喚起するというのが、今後の音楽界の発展のためには大事だと思います。



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