かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:PMS合唱団第27回公演を聴いて

コンサート雑感、今回は9月17日におこなわれた、PMS合唱団第27回公演についてです。

PMS合唱団とは、横浜市青葉区にある、フィリアホールを「本拠」とする「アマチュア合唱団」です。そもそも、1991年にヘンデルの「メサイア」を歌ったことからその名(Philia Messiah Singers)がついています。

http://pms-choir.com/

この合唱団のすごい点は、オーディションがあることなのです。アマチュアであるにも関わらずです。だからこそですが、この合唱団のレヴェルは半端ではありません。

実はこの合唱団の公演を聴きに行くのはこれが初めてではありません。以前、第九を同じフィリア・ホールで演奏された時に聴きに行っています。

http://pms-choir.com/sub6a.html
http://pms-choir.com/sub9.html

1997年12月28日の第8回公演がそれです。フィリアは収容人数が500名ほどと小さいホールですが、響きは本当に素晴らしいホールで、かつて私も合唱団の団員時代、定期演奏会で戴冠ミサを歌っています。

フィリアホール
http://www.philiahall.com/j/facilities/concert.shtml

この小さいホールでの第九は本当に素晴らしかったのです。第九を聴いて回りに関係なく男泣きに泣いたのはこの時が初めてでした。アンサンブルが本当に溶け合うのです。まるで教会で演奏しているかのような、そんな気持ち良さが演奏者にも聴衆にもある、不思議で素晴らしいホールです。収容人数がもっと多ければ、オーケストラの演奏がもっと入るでしょう。

第九ではオケ付きだったのですが、今回はオルガンとピアノ2台のみ。普通であればつまらないと避けてしまいそうな編成ですが、合唱団がPMSだからこそ、私は足を運ぼうと思ったのです。

まず1曲目のメンデルスゾーンの3つのモテットは、歌詞が英語だったのですがそれをリエゾンせずに歌っているのが好感が持てました。ただ、実は開始時間に今回は間に合わず外のモニターで聴いていた限りで申し訳ないのですが。もう少し発音をはっきりしてもよかったと思います。その点が減点対象でしょうか。もしかするとそれは外で聴いていたせいかもしれませんが、もう少し発音を「立たせて」もよかったと思います。そうすれば、外であっても英語の発音がききとり易かったように思います。

いや、それは発声がよくアンサンブルが最高であるという証拠でもあるのでバランスを取るのは大変難しいとは思います。しかし聴衆の立場からしますと、この曲は英語の歌詞であるはずなのだけれど、なかなかそう聞こえないなあと感じたのです。三つのモテットはメンデルスゾーンの最後の宗教曲にして英語のモテットという珍しい曲でもあるわけなのですから、その点はしっかりと表現してほしかったと思います。この合唱団なら十分やれます。

一方でオルガンは本当に素晴らしい音色でした。このモテットをこのホールで演奏するのは適しているなと思いました。特に、フィリアではオルガンがあうだろうと思っていたこともあり、それが証明された瞬間でもありました。

以前から私は、フィリアはバッハのカンタータを演奏したら一番合うのではないかと、BCJを聴くたびに考えていたのです。BCJは神戸松蔭女子大のチャペルですが、このフィリアでも十分世界へ発信するだけの演奏が収録できるように思います。それは私が戴冠ミサを歌った経験からも言えることなのです。

次に、ブラームスドイツ・レクイエムです。本来はオーケストラが付くこの曲を、2台のピアノでやってしまうという、ある意味アマチュア合唱団ではよくあるパターンではあるんですが、それは普通合唱団の実力が伴わないことが多いのです。それが、この合唱団は単に入場料を安くしたいからという一心なのからか、その逆でプロですら見習ったほうがいいくらいのアンサンブルをしてくれます。

メンデルスゾーンもそうですが、とにかくこの合唱団は発声が軽いのです。それでいて強弱ははっきりとつけられますし、表情も豊かです。軽いという点ではまさしく中央大学音楽研究会混声合唱部もまったく引けを取らないくらいで、いや、このPMSはそれ以上と言えるでしょう。特に女声は安定していて、素晴らしかったです。最初ポジションが安定しなかったせいか、第1曲目ピアニッシモの高音で開始する部分で出だしが合わない点がありましたが、すぐそれを修正する点はさすがだと思いました。

そして、決してリエゾンをしない点です。宗教曲ではそれをしてはならないのです。ところが、バスのソリストはそれを冒頭でやってしまいます。これには眉をひそめました。アマチュアの合唱団がきちんとやっているのに、音大の教授でもあるソリストがそれをやらないのはおかしいと思います。

先日「『ミサ曲ではリエゾンしない』という約束事を守ってほしかったように思います。実はそういった点では、日本の、特にアマチュア合唱団は実に忠実であって、それが世界的に評価されている点はあまり国内では知られていません・・・・・」と述べましたが、まさしくこの演奏がそれなのです。恐らく、音大の方はそういった点をご存じないのでしょう。ただ、その約束事には気が付いたようで、その後はしっかりと修正していました。

ソプラノのソリストは少し力が入っていたでしょうか。確かにこの曲は力が入ってしまいがちでもあるように思います。実際、他の公演でもソリストに力が入ってしまったケースを見ていますし、CDでもそういった音源はあります。それをどれだけ押さえて演奏するかが難しいのだと思います。実際、ソプラノ・ソロの部分は高音部でピアノからフォルテまであり、それを自在に操るのは大変難しいのです。

音楽の最後をふわっと終わらせるのもいいですね。まるで自分が教会にいるようです。収容人数が多ければ、宮前フィルもフィリアでやりたいと思っていることでしょう(いや、普通のアマチュアオケであればやるでしょうが、宮前フィルは収容人数900名の宮前市民館で数々の大入り満員という伝説が作られるくらいの熱狂的なファンがいますので無理なのです。一方フィリアはアマチュアオケの青葉フィルhttp://aoba-philharmoniker.jp/が本拠にしています)。

最後の最後まで気持ち良い演奏を聴かせてくれました。演奏面に関してはソリストの一部を除けばほぼ完全なものでした。プロでもここまでの演奏が聴けるかどうかわからないくらいです(特に宗教曲において)。

ピアノを2台にしたのも正解だったと思います。たとえば冒頭部分、あそこはオケ好きにとってはたまらない開始で、同じ旋律が二か所、当然違うパートで出て来るわけなのですが、その音の高低が魅力なのです。それをきちんと表現されていたのには鳥肌が立ちました。

完璧です!



聴きに行った演奏会
PMS合唱団第27回公演
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
三つのモテット作品69
ヨハネス・ブラームス作曲
ドイツ・レクイエム 作品45
田中詩乃(ソプラノ)
柴山昌宣(バリトン
浅尾直子(オルガン、三つのモテット)
織田祥代、原田恭子(ピアノ、ドイツレクイエム)
松村務指揮
PMS合唱団
2011年9月17日、神奈川県横浜市青葉区青葉区民文化センターフィリアホール



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