かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲ほか

今月のお買いもの、珍しく5枚目となりました!その最後5枚目は、ヤッシャ・ハイフェッツのヴァイオリンで奏でられる、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を中心としたヴァイオリン曲集です。

というより、このCDはハイフェッツの名演集といったほうがいいでしょう。横浜関内、プレミア・ムジークで購入した輸入盤です。お値段は1100円でした。お得〜

小さくRCAレッドシールが張られていますが、今はBMGはソニーの傘下ですから、ソニーの名が小さく入っています。

さて、そのCDですが、実は購入した時にはハイフェッツの名前に気づかずに、単にコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲ということで購入しましたが、後でヴァイオリニストがハイフェッツとわかりびっくりしました。そして今、ウィキを見てみましたら、ハイフェッツコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲に名演を残しているのですね。

ヤッシャ・ハイフェッツ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%84

いやいや、これはとんでもないものを私は手に入れたのかもしれないです・・・・・

ハイフェッツといえば、クラシックファンなら一度は名前を耳にしたことのある名ヴァイオリニストです。私がCDを購入し始めた高校生くらいまではまだ生きていた、現代の巨匠です。

そのCDを手に入れるとは・・・・・しかも、コルンゴルトで。

なぜコルンゴルトなのかと言えば、そのきっかけはmixiです。ある方に交響曲はないかと言われて探していまして、それは県立図書館にありました(それはおいおいご紹介するつもりです)。しかし、私はそれを聴きまして、コルンゴルトがたまらなく好きになったのです。旋律線がしっかりとしつつ、合間に入ってくる不協和音。その絶妙なバランスに、私は心をわしづかみにされました。

そして、県立図書館で借りてきたのは実はその手では珍しく国内盤で、解説がついていました。もちろんそれはパソコン内に書き写しています。それを見ますと、彼はヴァイオリン協奏曲も書いているのです。そういったことがありまして、今回コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲に興味があって購入したのです。それがよりによって、ハイフェッツの名盤とは・・・・・

こういったことがありますから、輸入盤を買うのは楽しいですね。

さて、その内容ですが、まずコルンゴルトという作曲家からご紹介しましょう。これもネットではいくつか解説がありますが、一番図書館から借りてきたブックレット並みに充実しているは残念ながら(というのは、恐らくそのブックレットからの引用がほとんどだと思われるため)ウィキペディアです。

エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%88

もともとオーストリアで活躍していた作曲家でしたが、1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合により亡命を余儀なくされてしまいます。彼はユダヤ人だったので・・・・・そのため、彼はクラシックの作曲家でありながら、アメリカではむしろ映画音楽の作曲家として有名です。そして、このヴァイオリン協奏曲はその映画音楽が主題に採用されていまして、1930年代の映画の雰囲気が随所にちりばめられています。それでいて、気品をうしなわない作品は、作曲されたのが1945年とは思えないほど旋律がはっきりとした、後期ロマン派の薫りがする作品です。

ヴァイオリン協奏曲 (コルンゴルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%88)

ハイフェッツはその音楽を情熱的な超絶技巧で奏でながらも、いつくしむように弾いていきます。そして流れることのない一つ一つの音!なんと素晴らしいことでしょうか。完璧主義者ハイフェッツらしい点です。音の一つ一つにまるで霊感が宿っているような感覚を覚えます。単なる「技巧派」では決してありません。それがコルンゴルトの音楽を魅力あるものにしています。

次の曲はもう一つ収録されているヴァイオリン協奏曲である、ミクロ―シュ・ローザのヴァイオリン協奏曲です。

ロージャ・ミクローシュ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5

どうやらウィキのように記載するのが正しいようですね。というのも、彼はハンガリー人だからです。この方はコルンゴルトとはちがい映画音楽が主流だったようです。そしてコルンゴルト同様、ハリウッドで映画音楽に携わった作曲家でした。そのせいでしょうか、やはり彼のヴァイオリン協奏曲にもコルンゴルトのような映画音楽の雰囲気がちりばめられています。しかもそれはコルンゴルトよりも鮮明です(コルンゴルトはまだ後期ロマン派の気風を宿しています)。いまどきの何かの映画音楽?とさえ思ってしまいますが、しかしそれがきちんとした3楽章のヴァイオリン協奏曲になっているんですね。形式的にも急〜緩〜急という伝統的な協奏曲の楽章づけになっていますし、ソナタ形式も顕著です。そういった形式的な点では見るべきものはないですが、映画音楽そのものといった雰囲気をストレートに伝統的な協奏曲に仕立て上げるところ、ハイドンを彷彿とさせます。

第2番はハイフェッツのために作曲されたようですが、これは果たしてその第2番なのでしょうか?ネットでは資料不足でその点まではわかりかねますが、作品24が第2番であるならば、なぜこのアルバムにコルンゴルトと一緒に収録されているかが明白でしょう。単にアメリカ映画音楽つながりというだけではないと思います。

3曲目は同じロージャの協奏交響曲の第2楽章で、これは変奏曲になっています。これも伝統的な協奏交響曲にのっとっていまして、相手にチェロがいます。これはモーツァルトの時代と同じであって、ヴィルトォーソを楽しむという協奏交響曲の神髄をも聞かせてくれます。そういった意味では、このロージャ、現代音楽の作曲家としては非凡なものを感じます。現代音楽の作曲家が時代の流れで何でもありの路線へ走ってしまいがちのなか、しっかりと古典派の時代楽しまれたような協奏交響曲を作るのですから。それをもちろん頭に入れているでしょう、ハイフェッツのヴァイオリンは単に技巧だけに走るものではなく、ハリウッドの作曲家という特長を踏まえ、情熱的かつ優しい部分も兼ね備えます。相方のチェリスト、グレゴール・ピアティゴルスキもそれに答えるだけの素晴らしい演奏です。

最後はフランツ・ワックスマンの「カルメン幻想曲」です。主題はもちろんビゼーの「カルメン」なのですが、それが全く別な作品へと生まれ変わっています。しかもこの曲はまさしく、ハイフェッツのために作曲されたものなのです。

フランツ・ワックスマン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3

彼もアメリカ映画音楽の作曲者のひとりです。つまり、このアルバムは単にハイフェッツに関するという作品が並んでいるだけでなく、アメリカ映画音楽に対するリスペクトでもあると考えることが出来るでしょう。それはおそらく、ロシアから亡命したハイフェッツという人物の人生と大きく関わっていると思います。というのも、このアルバムに収録されている作曲家はすべて、アメリカ生まれではないのです。そういったまさしく20世紀のアメリカの文化を支えた「移民たち」に対する感謝の念に包まれているのです。ハイフェッツの演奏はどれも愛情がこもっており、ウィキの解説の通り、冷たいということなど全く感じさせません。高度な完成された技巧を前面に押し出しながら、そこには常に人間を感じることが出来るのです。喜怒哀楽をストレートに感じることができるヴィルトォーソというのも、そういるわけではありません。

これは単なるハイフェッツのアルバムと捉えるのも間違っていますし、アメリカの作曲家の音楽集というわけでもありません。ハイフェッツという稀代のヴァイオリ二ストを通じて親しむ、20世紀のアメリカの文化を反映しているアルバムなのです。



聴いているCD
エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト作曲
ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
ロージャ・ミクローシュ作曲
ヴァイオリン協奏曲作品24
協奏交響曲作品29より、第2楽章「変奏曲」
フランツ・ワックスマン作曲
ヴァイオリンと管弦楽のための「カルメン幻想曲」
ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
グレゴール・ピアティゴルスキ(チェロ、協奏交響曲
ルフレッド・ウォールスタイン指揮
ロサンゼルス・フィルハーモニック(コルンゴルト
ウォルター・ヘンディ指揮
ダラス交響楽団(ロージャヴァイオリン協奏曲)
室内管弦楽団(協奏交響曲
ドナルド・ヴォールヒーズ指揮
RCAヴィクター交響楽団(ワックスマン)
(Sony BMG Entertainment "esprit" 88697072772)



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