かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

音楽雑記帳:コア・アプラウスの2010年コンサートを聴いての雑感

今回もまたコンサート評と参りましょう。コア・アプラウスのコンサートへ行ってきました。

昨年もドイツレクイエムを聴きに行った団体ですが、今年はドヴォルザークのレイクエムを取り上げました。

この曲は長く、全曲で1時間30分くらいある曲なのですが、今回は都合があって前半だけ聴きに行きました。

まず、いつもながら合唱団が秀逸です。そもそも合唱団の演奏会であるわけですが、とにかくアンサンブルが素晴らしいですし、力んでいないんですね。ですから、フォルティシモでも美しいですし、ピアニシモも素晴らしい「弱さ」です。しっかりと弱くされていて、中途半端ではありません。

オケも、残響の使い方がまた素晴らしい!指揮者の砂川先生がそういう演奏が好きなわけなのですが、かといってその要求にオケが答えられないとそれは実現できないのです。

だからこそ、先日中大オケでは、わが母校ながら大絶賛したというわけなのです。それができるオケがいったいプロでもどれだけあるというのでしょう?

砂川先生はバサッと切るのがお好きな方なのですが、それがおや?と思う場面もありますが、決まればそれはちょうどいい残響となってホールを包み込みます。それを聴く幸せ・・・・・

特に、グラドゥアーレやリベルスクリプトゥスでだんだん高みへ登ってゆく場面で力まず、のびのびと朗々と歌い上げるのはまるで自分が天上の世界に足を踏み入れたような感覚です。まさしく、宗教曲!

実は、ドヴォルザークのレクイエムは作曲動機はイギリスの音楽祭からの委嘱で、現実に誰かの死をきっかけにしてというわけではありませんが、それ以前にかれは親族を亡くしていて、それが反映されたのは間違いないようです。一見しますとヴェルディのレクイエムの影響を受けていると錯覚しますが、この場面はやはり宗教曲だなあと感じました。

ソリストは、いつも力むソプラノはそれほど力まず、よかったと思います。が、途中自分がソロになる場面では、やっぱり力みますね。合唱団が素晴らしいせいもあるかもしれませんが、そこで冷静に歌うのがプロです。

とはいうものの、かつては私も指導を受けた先生。そこがとても好きなんですけどね。浪花節で・・・・・合唱団は自分が指導してきたわけなのです。素晴らしいということは、それだけ自分の指導通り歌ってくれているということで、本人はとてもうれしいのだと思います。だからこそ力みもするのだと思いますが、そこでホームランを狙っても打てるわけがないのと同じように、やはり単打を狙って一人ホームへ返すというような、気楽さと確実さがほしかったです。

演奏で残念だったのはそれくらい。つくづく、所用がなければ・・・・・と悔やまれる演奏会でした。

来年は同じドヴォルザークの「スターバト・マーテル」。こちらもとても楽しみです。



聴いてきたコンサート
コア・アプラウス 2010コンサート
アントニン・ドヴォルザーク作曲
レクイエム 作品89
稲見里恵(ソプラノ)
淀 和恵(アルト)
柾木和敬(テノール
久保田真澄(バス)
コア・アプラウ
砂川稔指揮
ザ・ポート・フィルハーモニック・オーケストラ