今回の友人提供音源は、チェコの宗教音楽を収録したものです。ドヴォルザークのレクイエムとスターバト・マーテル、ヤナーチェクのグラゴル・ミサが主たるものです。
実は、これは3枚組となっています。そりゃあ、これだけの曲を収録しましたら3枚組になるでしょう。それをまとめて聴くことができるお得な一枚で、ありがたく思っています。
こういう編集は素晴らしいですね。実際、東ヨーロッパの作曲家を聴き始めますと、その民族色の豊かさ(特に、グラゴル・ミサはグラゴル語という古代のチェコ語!)に驚かされます。もちろん、以前からそれが好きですからドヴォルザークなどは好きなわけですが、それでも例えばバルトークなどはいまだ苦手で、ようやく少しずつ室内楽から聴き始めたというあたりです。
ですが、一転シマノフスキのようなポーランドの作曲家を聴いてしまいますと、今度はチェコはどうなの?という関心に私はむかうのです。それは、チェコも実は親日国であるということと、ヤナーチェクやバルトーク、スメタナといった作曲家を輩出している国だからということもあります(以前、「今月のお買いもの」でご紹介したシュターミッツもチェコです)。実はチェコはドイツと国境を接しているということもあり、古くから優秀な音楽家を輩出している地域でもあります。
これはその実態を端的につかむには本当にいい教材です。実際のCDでもこんな組み合わせって面白いと思うんですけどねえ。
これからCDは売れない時代に入ってゆきます。その時でもクラシックCDを売り続けるためには、やはり企画力だと思います。メーカー、小売り、さまざまなシーンでの企画力が大事になってくると思います。この音源は本当にそれを考えさせてくれます。
この演奏も元はNHKFMなのですが、NHKは本当に素晴らしいプログラムを組みますね。専門家をどのように使えば、いい番組が作れるのかをよく知っていると思います。少なくとも、クラシックに関しては民放はほとんどが駄目ですね〜。衛星放送ではまだいいものがありますが(特に、関西の放送局など)。
演奏の特徴としましては、とても発音が聞き取りやすいのです。たとえば、ドヴォルザークのレクイエム。ラテン語がとても聞き取りやすく、レイクエムの歌詞に慣れていさえすれば、今どこを歌っているかが手に取るようにわかります。ホールの響きがちょうどいいのでしょう。ドヴォルザーク・ホールとなっていて、納得です。
いずれにしても、この3曲はあまり日本でも演奏機会がない曲です。有名ではないということはないですが、じゃあメジャーかといえば、それは合唱をやられている人だけという狭さ・・・・・それは決してメジャーとは言えません。
ただ、言葉というものはその国の文化を知るもっとも手っ取り早いもので、だからこそグラゴル・ミサがはいっているというのが魅力で私はいただいたのです。もちろん、ドヴォルザークのレクイエムも興味ありましたし、さらにはドヴォスタ・バトもシューベルトのものを買ったということもあって興味がわいてきた時期でした。
恐らく、この音源がなかったら、私はシマノフスキなどの後期ロマン派から現代ポーランドの作曲家に興味がむいたかどうかはわかりません。トラックがわられていないのが残念ですが、それは自分でほかの音源をCDなりを購入することで解決しようとしていますので、全く問題ない話です。
東欧の音楽の豊かさを知る一枚だったことは、間違いないと思っています。特に、グラゴル・ミサはチェコという国がどんな国なのかを端的に表している名曲です。西欧の一部という意識であるボヘミアと、スラヴ民族という意識の強いモラヴィア・・・・・それを対比したこの音源は、私たちが知らないチェコを教えてくれます。
聴いている音源
チェコ宗教音楽集(ドヴォレク・スタバト、ヤナーチェクグラゴル・ミサ、ほか)