かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベートーヴェン ピアノソナタ全集9

県立図書館の所蔵CDをご紹介するこのコーナー、ようやくベートーヴェンピアノソナタ全集の最後となりました。今回は第9集です。ピアニストは山根弥生子さん。

実際に、番号つきのはこの第9集で終わりです。収録曲は第30番から第32番。でも、つくづく思うのは、この3曲って第九より前なのね、ってことです。

もちろん、第九はもっと前からスケッチもありますし、構想段階からしますとずっと第九のほうが前なのかもしれませんが、出来上がりは間違いなくこれらのピアノソナタのほうが前になったわけです。

こういうことが全く著作等を読まないのに理解できるこの全集は、改めてすばらしいなと思います。まさしく図書館らしいラインナップです。

もちろん、演奏がすばらしいに越したことはないのですが、私はやはり全集を聴くのであれば、できるだけ番号順あるいはそれが作曲された順番等で聴きたいなと思います。

実は、それは以前から全集に関しては思っていたことでもあります。以前入っていた合唱団の姉妹団体のアマオケに、かなり薀蓄をもった団員がいました。その彼が、定演のプログラムのうち、ドヴォルザーク交響曲第8番で書いた文章が今でも頭から離れません。

「ある作曲家の作品は、順番に聴いてゆくとその変遷がわかって面白い」

もちろんこのときはドヴォルザーク交響曲だったわけですが、実はそれが私もベートーヴェンのチクルスを集めて同じように思っていたので、ものすごく共感し、何かの機会でそれを話したことがあったと思います。それが時空を超えて、今私が全集を借りる、あるいは買う場合の一つの判断基準になっています。

この全集でそれを達成したわけですから、これで心置きなくグルダやグールドが借りられるというものです。後は思いっきり演奏のすばらしさを楽しむことが出来ますから。

実際、私はそういう形から入ってゆくほうがいいのでは?と思います。ある演奏だってそれは一つの解釈ですし、一つの切り口に過ぎないのですから。なるべくフラットなものから入るほうが、聴くうちにいろんな発見があるはずだと思うのです。

この全集は、改めてそれを感じさせてくれます。

特に、番号順の時にも述べましたが、最後の第32番。第2楽章にジャズのような旋律が出てきますが、だからといってジャズではないその音楽をしっかりと聞かせてくれるのは、素晴らしいです。この最後の連作をしっかりと一枚で聴けるというのは、編集としては大変素晴らしいと思います。

やっぱり、また番号順でやりましょうかねえ。え、くどいって?

でも、もしグルダかグールドを聴いてしまったら、その衝動を果たして抑えることが出来るのかと思っています。特に、グルダは第32番を聴いてしまっているだけに・・・・・もっと前の、音楽が流れている作品を聴いたときに、がまんできるか、私はわかりません。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノソナタ第30番ホ長調作品109
ピアノソナタ第31番イ長調作品110
ピアノソナタ第32番ハ短調作品111
山根弥生子(ピアノ)
(元CD:ADAM ACD0041)