今日は金曜日。これから毎週金曜日は「友人提供音源」のコーナーになります。
というわけで、金曜日に固定になって初めて取上げますのは、アマチュア合唱団、宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔(はばたき)」の第4回定期演奏会のCDです。
これは、私がかつて入っていた合唱団の演奏記録になります。私はこの前から私が歌ったものはなるべく買うなりいただくなりしてその記録を持つようにしていました。それは、たんなる懐かしがりでもナルシストだからでもありません。それにはれっきとした目的があります。
それは、「上達度のチェック」なのです。
自分がどれだけ上手に歌えているか(小さい合唱団だったので、それは意外と聴いていると目立ってしまうのです)、あるいは団はどれだけ上手になったかを判断する上で、その演奏がCDとして記録に残っていることは非常に大事なのです。
当時、私はライブラリやレファレンスという役職を任されていましたので、特に次の定期演奏会の演目は何にすればいいのかという分野で、その判断材料として非常に大事なものだったのです。
今、団の実力はいかほどなのか。自分でまず判断してみて、それを指導者にさらなる判断を求める。そういったときに、定期演奏会の演奏を聴いているかいないかは、専門家と話をするうえでまず最低限抑えておかなくてはいけないものだったのです。
特に、当時の指導者(音楽監督)は理屈家だったので、いい加減なことは絶対にいえませんでした。
この合唱団の演奏の全記録をやめて随分たちますが、未だに残しています。いろんなことがあってやめることになりましたが、それでも、この団体でやったことは決して無駄ではなかったと思っていますので。
第4回の定期演奏会の演目は、以下の通りです。
1.モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調K.136 第1楽章(オープニング)
2.モーツァルト:ミサ・ブレヴィス ニ長調K.194
3.名曲を混声合唱で:イタリア歌曲より、「カーロ・ミオ・ベン」「愛の喜び」、モーツァルト:歌劇「魔笛」K.620より「パパゲーノとパパゲーナのアリア」
4.交響カンタータ「北のシンフォニー」作品54
5.アンコール
メインは、「北のシンフォニー」です。これは、当時の音楽監督が作曲したもので、室蘭フロイデ合唱団の方が音楽監督へ委嘱されたものです。もともと、室蘭をテーマにした曲だけの予定でしたが、当時の北海道の様子を見て、音楽監督が作詞者と委嘱者に了解を取った上で北海道全体を描いた組曲へと作り上げたものです。
このメインの曲が本当に曲者でした。そのほかは、和声学の法則に基本的にのっとっていますから比較的歌いやすいのです。ところが、「北のシンフォニー」は構造的にはモーツァルトにのっとっていますが(ゆるいテンポに速いパッセージを組み合わすなど)、和声的にはそれほどモーツァルトを意識しているわけではなく、むしろ古今のあらゆるジャンルの名曲を意識して作曲されていますので、例えば、曲によっては現代音楽的な和音があり、それをあわすのが至難でした。
最後の曲などは、当時私たちは「宇宙戦艦ヤマト」と呼んでいました。勿論、そのものであろう筈がありませんが、曲の様子がとても似ていました。そんな「ごった煮」です。
それでも、私はこの演目の中で一番すきなのが「北のシンフォニー」です。人懐っこいメロディとしっかりとした構造。そして、決して後ろ向きではない、ポジティヴな詩。それを引き立てる音楽。
クラシックと比べてしまうと異論もありますが、それでも、私はこの曲が今でも気に入っています。特に、「室蘭」は一番初めに練習した曲(つまり、本来はその曲だけになる予定でした)で、そのメロディアスな感じに思わず本心から「いいですね、この曲!」と音楽監督に言っていました。
このときの演奏が恐らく頂点ではないかという感じがします。発声、アンサンブル、その全体のバランスがとてもいいです。その後の第5回のCDも持っていますが、人数も減ってしまい、メインが完全に歌い切れていない感じがしました。それについては、また後に語りましょう。
その第5回の定期演奏会では、すでに私は他団体へと移り、客席で聴いていることになろうとは、このときは夢にも思っていませんでした・・・・・
その後、このヴァージョンを基にして、音楽監督は全曲を完成させ、さらには出版も果たし、昨年札幌・キタラホールで再演を果たすことができたそうです。
聴いているCD
宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」第4回定期演奏会
遠藤正之・守谷弘指揮
川崎21世紀アンサンブル、他
※完全に友人の製作で、一般には販売されていません。