かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:ベートーヴェン弦楽四重奏曲第1番、第2番、第3番

さて、今回はその月に私が買ってきたCDのご紹介です。以前より紹介していますスメタナ四重奏団のベートーヴェン弦四全曲演奏シリーズです。

ようやく全てそろえることができました。集め初めて3年。途中いろんなこともありましたが、ようやくたどり着きました。

途中、スメタナからアルバン・ベルクに乗り換えましたが、今回のCDでスメタナもそろえ、二つの偉大なカルテットの演奏を持つことになり、私はとてもうれしいです。

やはり、ベートーヴェンの弦四はすばらしいなあと感じます。スメタナの演奏はいつもどおりタッチがやさしく、それゆえに温かい音楽になっています。アルバン・ベルクの高い精神性を重視した厳しいタッチとはまた違います。

どちらも、私は好きです。まあ、あえてどちらかといわれればアルバン・ベルクですが、それでも私はスメタナも捨てがたく思っています。それは、決して彼らもベートーヴェンの高い精神性をまったく考慮していないわけではないからです。

特に、第1番の第1楽章、コーダにそれを聴くことができます。アインザッツを厳しくし、アンサンブルを完全にあわせることで、それまでの温かい感じと区別をして、メリハリをつけています。

確かに、この演奏もアルバン・ベルクと比べるとという部分はありますが、それでも弦楽四重奏曲というジャンルを充分に意識した演奏になっています。私としてはむしろアルバン・ベルクのアプローチのほうが当たり前すぎるようにも思うのです。確かに、彼らの演奏は抜群に優れていると思いますが・・・・・

しかし、それは交響曲を聴くのと、さほど変わりありません。確かに、それは後期の作品群ではすばらしくなりますが、この初期の作品群ですと、本当にどちらのアプローチもありだなあと感じます。それほど、ベートーヴェンのこの3曲にはいろんな表情があると思います。それが作品18という初期の作品で表れているのにはただただ驚きしかありません。

以前より述べていますが、私は最初にこのカルテットでベートーヴェンの弦四に出会ってしあわせであったと思っています。もし、アルバン・ベルクで出会っていたならば、おそらく死ぬまで他の演奏を聴くことはなかったでしょう。それほどアルバン・ベルクの演奏はすばらしすぎるのです。しかし、それは私は他のアプローチを退ける結果となり、他の作曲家の弦楽四重奏曲や、あるいはベートーヴェンのほかの室内楽を聴く姿勢へと私を導いてくれたかどうかわかりません。その演奏のすばらしさゆえに、他の作品でもそれを求めてしまうからです。

スメタナはそのあたり、まったく問題ありません。聴けば聴くほど、他の作品も聴いてみたいと思ってきます。例えば、三重奏曲や七重奏曲、ピアノ三重奏曲などです。ベートーヴェンはそういった室内楽曲にも名曲をたくさん残しています。

それに触れない私は、果たしてしあわせなのだろうか、それを知らないまま死んでも良いのだろうか、と。そう考えますと、私はスメタナで触れて本当によかったなあと思います。そのおかげで、他のジャンルも聴きたいと思っていますし、またアルバン・ベルクの本当のすばらしさにも出会えたのですから。

確かに演奏としては足らない部分もあるかもしれません。しかし、ベートーヴェンの音楽のすばらしさは私は充分伝えていると思っています。是非とも一度聴いていただきたい一枚です。その上でできれば、やはり名盤の誉れ高いアルバン・ベルクを聴かれることをお勧めします。


聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
弦楽四重奏曲第1番・第2番・第3番
スメタナ四重奏団
(COCO-70676)