かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

ベートーヴェン ピアノソナタ第21番ハ長調作品53「ヴァルトシュタイン」

今日はいよいよ、ヴァルトシュタインです。

ウィキペディアでは三楽章形式で述べられていますが、私のCDでは、二楽章形式になっていますね。これは、最初第2楽章としてかかれた「アンダンテ・ファヴォリ」WoO.57から、現在の形へ変更されたということが大きく関係しているようですね。私は「アンダンテ・ファヴォリ」を聴いたことがないので定かなことはいえないのですが、私としましてはこの形式のほうが好きです。第2楽章部分は序奏になっているので、それが楽章とは思えませんが、確かに違いはあります。しかし、聴いていて違和感がないのですね。ですので、私としましては、この方が好きです。

ただ、いつかは最初の形式を聞いてみたいですねー。できれば、これは弦四の第13番のように、アンダンテ・ファヴォリも入れて欲しかったです。選帝侯ソナタはあるのに〜

特に、第1楽章が魅力なのですが、申しましたように最終楽章もすばらしく、もう「何も言えねえ」状態なのですが、曲調としては、これまでの「サロン風」を踏襲しているとは思いますが、しかしだんだん変わってきていますね。明らかに、初期とは別のものになっています。もっと高みといいますか、そこへ登っていくような気がします。

だんだん、曲に「遊び」も出つつ、しかし高みへ登ってゆく。そんな曲に仕上がっています。そういえば、この2番次は、「英雄」なのですね。さらに、その4番次は弦四の「ラズモフスキー」ですから、だんだん中期の「傑作の森」へと入ってゆきます。

第1楽章のソナタ形式は圧巻です。循環手法が確立する途上である、とウィキペディアでは書かれていますが、確かに、そう感じる部分もありますが、それよりも、まずはその圧巻のソナタ形式を存分に楽しみましょう。

主調が「ハ長調」というのがまたこの曲を際立たせています。ハ長調といえば、主にミサ曲で使われる調性です。ベートーヴェンがその調性をかなり器楽曲で使うということは、彼にとってはその曲はミサ曲に相当する曲だったのかもしれません。ちなみにウィキペディアでは、

「作曲者にとってハ長調は祭典儀礼的な彫琢を指向しているといわれ、初期のピアノソナタ、第1交響曲、ピアノ協奏曲ハ長調にも採用されている。」

とあり、ミサ曲に関しましては触れられていませんが、おおむねそういうことなのではないかと思います。実際、彼はミサ曲でハ長調を書いていますから。

その楽章が終わると一変し、幻想的な序奏から、はつらつとした楽章へゆっくりと入っていきます。だんだん盛り上がってゆく様は、またこれも圧巻です。本当に高みへ登ってゆくようで、第1楽章以上にこれまでの曲からの脱却が見て取れます。まるで、鐘が鳴り響くような、そんな感じです。

しかし、この楽章に「カルミナ・ブラーナ」を聴き取ってしまうのは私だけでしょうか。気になって夜も眠れません・・・・・もちろん、眠れないとは冗談ですが(笑)でも、確かに聴こえるんですよねー。

技巧的な難しさというのは、これはピアノを弾いてみないとなんともいえない問題なので私は割愛させていただきますが、山根弥生子さんは実に正確に弾いています。おそらくここが当時はグリッサンドだったんだろうなあというところでも、きちんと弾いておられるので、他の演奏家を聴く時にとても参考になると思います。4

この曲から、変化は始まったと言ってもいいくらい、ピアノソナタが別次元に入ったような気がします。