かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:プーランク カンタータ「人間の顔」

今日聴いているのは、プーランク作曲、カンタータ「人間の顔」という曲です。

この曲は、昨年のザ・タロー・シンガーズのコンサートを聴いて、ずっと欲しかった曲なのです。

そのコンサートで強く心に残った曲がふたつあります。ひとつは、ブルックナーのモテット集、もうひとつがこの「人間の顔」です。

この曲は、1943年の作曲で、第二次大戦中です。題材はもちろん戦争です。戦争によって、人間性が失われていくことに対する怒りを表現していています。

そして、最も重要な言葉が「自由」。最後の歌詞は、「自由」なのです。明るく、かつ和音的に平明に終わるこの部分は、私の胸を串刺しにしました。射抜かれた、というべきでしょうか。

それまで不安な和音だったのが、最後で落ち着いて「自由を!」と歌うのです。そして、その歌の中には、叫びも含まれています。その魂の叫びが、私の心にぐさ!っと突き刺さったのです。

この演奏はもう少しおとなしく、そのあたりの「訴えかけ」が少し足らないかなとも思いますが、でも、作品が内包する悲しみや自由への渇望というものは、十分表現されていると思います。

でも、やはりこの曲は、ザ・タロー・シンガーズで聴きたいですね〜あのときの精神的なすさまじさは、今思い出しても身震いします。

ちなみに、ザ・タロー・シンガーズは日本の団体です。


プーランク カンタータ「人間の顔」
ダニエル・ロイズ指揮
ベルリン放送室内合唱団
(ドイツ・ハルモニア・ムンディ HMC901872)
※このCD自体は、プーランクのアカペラ合唱曲集になっていて、「人間の顔」の他にも名曲が入っています。是非とも、そちらのほうも耳を傾けてみてくださいね。