かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:ボヘミアン・フィルハーモニック第11回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和7(2025)年10月12日に聴きに行きました、ボヘミアン・フィルハーモニックの第11回定期演奏会のレビューです。

ボヘミアン・フィルハーモニックさんは東京のアマチュアオーケストラです。首都圏の学生たちが集まって、ボヘミアの作曲家の作品を中心に演奏したいとの志をもって結成されました。

https://bohemian-phil.jimdofree.com/

過去4回私はボヘミアン・フィルハーモニックの演奏会には足を運んでおり、前回第10回の記念演奏会にも足を運んでいます。その時はスメタナの「わが祖国」全曲で、大きな大田区民ホールアプリコですばらしい演奏をしてくださいました。

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今回は杉並公会堂大ホール。アプリコに比べれば小さなホールですが、今回さらに2階は閉鎖という形での演奏でした。となると、響きのいい杉並公会堂大ホールの残響を思い切り味わう演奏会ということになりますし、またオーケストラ側も思い切った演奏ができるというメリットがあります。

今回のプログラムは以下の通りです。

オール・ドヴォルザーク・プログラム
交響曲第4番
交響曲第7番(1885年ロンドン初演版)

今回もまた交響曲が二つとなっています。今回もと言っても、その前回は実は当日でしたが・・・第10回のレビューで最後私はこう述べています。

「次回は10月に杉並公会堂ドヴォルザーク交響曲第2番と第7番とのこと。しかも夜公演。これはコンサートはしご確定の様です。」

はい、はしごになりました。しかもその昼の公演こそ、19日のエントリで取り上げた府中市交響楽団さんだったのです。2日3公演連続して交響曲が2つというプログラムだったことになります。

しかも、第7番は通常の版ではなく1885年の初演版を選択。実はドヴォルザークも校訂を行っていることはあまり知られていません。その校訂前の版を選択するなんざあ、まさにボヘミアンミュージックヲタと言っていいでしょう!しかも2曲とも鉄分、つまり鉄道風味たっぷり。鉄ヲタである私にとっても魅力的なプログラムです。そりゃあ行くのは確定と言うものです。

しかも、今回も演奏レベルは相当高かったですし。

ドヴォルザーク 交響曲第4番
ドヴォルザーク交響曲第4番は、1874年に作曲された作品です。オーストリア奨学金を得る材料になった作品でもあります。

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この第4番は審査員にかなり好評で、その一人がブラームスだったわけですが、作品は実はワーグナーの影響が強いものです。ですがリズムに特徴があり、特に鉄道の音が巧妙に仕込まれているのですが、個人的にはその鉄道の音をうまく取り込んでリズムとして使い芸術の域に引き上げていることが評価につながったのではと考えます。そのためどんな演奏もどこか鉄道らしいリズムが聴こえてくるものです。

今回も指揮は山上紘生さんでしたが、そのリズムはもう少し上品に刻ませていました。それがまた生命力となっていて絶品!単に鉄道を描いたものではないわけなのでそのアプローチは決して間違っていませんし素晴らしいことなのですが、ちょっと面喰いました。それは私が鉄ヲタだからですが、一方で多少異なる解釈なのにしっかりとした説得力を持っているのです。それが絶品なのです。

力強さも演奏にしっかりと存在していますし、特にティンパニは硬くぶっ叩いてくれます!やせた弦の音など一切なくそれは前回10回から引き続いています。第4番は第2回でも演奏された曲で私も足を運んでいます。その演奏からは見違えるように素晴らしくなっています。第2回でもいい演奏だったのですがやせた弦の音はあったので。それがないということがいかに成長したかを物語ります。そういえばこの時、母校日大三高西東京大会決勝に進出した年でした。なんと今年も同様で西東京代表として甲子園で準優勝。奇遇です・・・

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この第2回の生きの良さはそのままに、さらに磨きをかけ表現力も豊かになって帰ってきたという印象です。まさに母校日大三高と同じなのが・・・2018年の第100回大会はまだ小倉監督で西東京代表として甲子園に出場しましたが準決勝で負けました。ですが今年は新しい三木監督の下西東京代表は勿論甲子園で準優勝まで駆け上がりました。第2回の指揮者は今をときめく松本宗利音さんでしたが、今回は第4回から関係を作ってきている山上さんであるわけで、その時間と練習と関係性の積み重ねが、すばらしい演奏という結果につながっていると感じます。まさに日大三高の三木監督にオーバーラップしてしまいます。

ドヴォルザーク 交響曲第7番
ドヴォルザーク交響曲第7番は、1884~1885年にかけて作曲された作品です。ロンドン・フィルハーモニック協会より委嘱された作品で、この第7番からドヴォルザーク交響曲は本格的だと言われています。個人的には第6番も素晴らしいと思っていますが。

ja.wikipedia.org

この作品はいろんな側面がある作品で、まずは鉄ヲタである私としては鉄道のリズムや音が入れ込んであることを指摘します。特に第1楽章と第4楽章はSLけん引の列車が到着、そして出発していく風景が入れ込まれています。そのうえで第1楽章は「フス教徒」の旋律も入っており愛国的です。

第2楽章と第3楽章は愛国的な雰囲気と牧歌的な雰囲気を持っていると言えます。その意味では一つの物語になっており、その物語性を如何に表現するかも重要です。

その一つの材料として、今回ボヘミアン・フィルハーモニックさんは改訂前の1885年ロンドン初演版を選択されました。原点版とも言われます。

ドヴォルザーク:交響曲 第7番 ニ短調 Op.70/原典版/デル・マー編: 指揮者用大型スコア 【輸入:オーケストラ(スコア)】sheetmusic.jp.yamaha.com

ネット上では上記ヤマハのウェブサイトでベーレンライターの楽譜しかヒットしませんが、今回のパンフレットによれば、ヘ長調で開始その後シャープ調に転調、主題が様々な楽器で受け継がれて魔法のような雰囲気を持っていると記載されています。確かにその第2楽章、通常と違っており、幻想的な甘い空気を醸し出しています。第1楽章の愛国的な雰囲気を受けて、むしろしっかりと物語になっていると感じますし、私は原典版も好みです。

ただおそらく、その後オーストリアやドイツで初演する時にそれが都合悪かったのでしょう。ウィキペディアでは第1楽章にこうあります。まさにSLが到着する部分です。

「ニ音の持続音と遠雷を思わせるティンパニの響きに乗り、ヴィオラとチェロによって暗い第1主題が提示されるが、これは反ハプスブルクの祭典に参加するために、ハンガリー[3]からの愛国者達が乗った列車がプラハ駅に到着する情景からイメージを得たと言われている。この後に序曲『フス教徒』(作品67, B. 132)の主題に由来する動機が表れる。第2主題は変ロ長調、フルートとクラリネットが提示する穏やかなもので、弦楽器の小結尾主題が続く。」

ハプスブルクという部分に注目です。オーストリアが特にハプスブルク家の王朝ですし、大陸の王家はハプスブルク家と婚姻関係にあります。そこで反ハプスブルクが明白になるような旋律がありさらにそれを強調するかのような第2楽章を聴いたら、下手すればつかまる可能性もあります。またこの時期は第4番の時とはことなりブラームスの影響を強く受けている時期です。ドイツからオーストリアに鞍替えしたとも言えるわけで・・・

ですから改訂して贅肉を削ぎ落してそつないものに変えたと言えるでしょう。それでも十分素晴らしい音楽なのですが、私は原典版のほうが好きになりました。通常版が嫌というわけではないですしそれも好きですが、原典版のほうがさらに素晴らしいと思います。私もパンフレットの解説をかかれた団員の方同様に、余分な音はあるかもしれませんが、余分な音楽はないと思います。

また今回、ソナタ形式ではくりかえしが徹底されていたのも印象的。ドヴォルザーク交響曲の演奏で繰返しを聴くことはあまりないので新鮮でしたが、くりかえしを演奏するほうがいいですね~。作品の魂がそこに現われているように思えます。

また第3楽章はフリアントですが、第4番ではそのフリアントは第4楽章で下手すれば鉄道のリズムとしても使われていることとは対照的です。まさにボヘミア民族音楽を前面に出し、これも反ハプスブルクの色を持っています。

そうなると、最後蒸気機関車けん引の列車が発車していく描写をどのようにするかです。今回はまず第3楽章と第4楽章はアタッカで演奏されました。第10回の「わが祖国」の第5曲と第6曲をアタッカで演奏したのと同じです。また演奏も、鉄道が走っていることを単に表現するのではなくその走行も含めて一つの物語として捉え、最後はその列車が好き去っていくのをカメラが引いて撮影しているかのような演奏なんです。いやあ、しびれました!蒸気機関車がまさに走っていくように最後まで演奏する録音が多い中で、過ぎ去っていくようにするとは!考えてみれば第1楽章も遠くから近づいてきて到着なので対応しているのですね。いやあ、山上さんのスコアリーディングの力は本当に素晴らしい!

そしてその山上さんの指示を的確に表現して応えるオーケストラのレベルの高さ。もうこんな演奏を聴いてしまうと、プロオケを聴く意味を本当に考えてしまいます。鉄道のリズムをそのまま演奏にぶつけるのではなくもう一段上げて表現するのも粋です。これも第4番同様私に対して説得力のある演奏で、アマチュアのレベルを超えています。最後ブラヴォウ!を書けざるを得ませんでした。

アンコールは「伝説」の第4曲。図らずも第2回で聴けなかった「伝説」が今回1曲だけですが聴けたことになりますが、しなやかで饒舌な演奏。

次回の定期演奏会の予定は告知されませんでしたが、来年1月の室内楽演奏会は告知されました。ですがその日は実は某アマチュアオーケストラの定期演奏家の予定が・・・ですので次回の定期演奏会に是非とも足を運びたく存じます。次回もとても楽しみです!

 


聴いて来たコンサート
ボヘミアン・フィルハーモニック第11回定期演奏会
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第4番ニ短調作品13 B41
交響曲第7番ニ短調作品70 B141(1885年ロンドン初演版)
「伝説」第4曲
山上紘生指揮
ボヘミアン・フィルハーモニック

令和7(2025)年10月12日、東京、杉並、杉並公会堂大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。