かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団によるメンデルスゾーン交響曲全集2

東京の図書館から、3回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、ネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団によるメンデルスゾーン交響曲全集、今回はその第2回目です。第2集を取り上げます。収録曲は交響曲第2番「讃歌」です。ちなにに、このアルバムのレーベルはドイツ・グラモフォンです。

交響曲第2番「讃歌」は、1840年に作曲された作品です。グーテンベルクの印刷技術400年を記念してライプツィヒ市より委嘱されました。合唱を伴い、その歌詞はマルティン・ルターが1534年に完成させた旧約聖書より採られています。

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前にも説明したかと思いますがもう一度述べておきましょう。なぜ印刷技術400年を祝うのに旧約聖書なのかということです。それはグーテンベルク活版印刷が欧州にもたらしたのが、聖書の普及だったから、です。

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ゆえに、この交響曲第2番は、その業績をたたえるために、旧約聖書から歌詞を採った、と言うわけです。ただ、ライプツィヒ市からというのも、聖書から採用するきっかけだったと言えるでしょう。なぜならメンデルスゾーンから遡ること100年前に、ライプツィヒ市に奉職しトーマス・カントルだったのが、ヨハン・セバスティアン・バッハだったからで、聖トーマス教会のためにカンタータを作曲し発表することが仕事の一つだったわけです。そこに因んでということはあったはずです。なぜなら、バッハの「ヨハネ受難曲」の蘇演に貢献し再評価したのが他でもないメンデルスゾーンだからです。ゆえに仕事が依頼されたとみて間違いないでしょう。しかも初演はまさに、聖トーマス教会ですし。

またこの曲は合唱を伴っていますが、合唱が出てくる前に3楽章が備わっています。これは明らかにベートーヴェン交響曲第9番も念頭に置いていると考えられます。ベートーヴェンの第九を再評価したのはワーグナーですが、メンデルスゾーンが「讃歌」を作曲した1840年というのは、ベートーヴェンの第九が初演された1824年からわずか16年しか経っていません。まだ忘れられたとはいいがたいタイミングです。

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つまり、「讃歌」という作品は、バッハとベートーヴェンの影を持った作品だと言えます。そのうえで、メンデルスゾーンらしさが或る作品です。

この作品を、ネゼ=セガンは基本的にはロマン派の作品として、第3番同様、どっしりとしたテンポを採用しつつ、リズム感を際立たせた演奏にしています。そのことで演奏には生命力がみなぎり、単なる讃美を超えて人間の喜びが歌いあげられています。

この「讃歌」に於いて好きな部分は私はたくさんあるのですが、特に好きなのが、合唱が入る第2部、つまり第4楽章ということになりますがその第6曲「死の絆は我らを囲み」と第7曲「夜は過ぎ去れり」です。このコントラストはもう感動で涙を禁じ得ません。私は基本的に仏教徒キリスト教徒ではないですが、夜が終り昼が来るのだというのは、まさに苦しみはいつまでも続かないのだと希望を感じさせるのです。もしかすると戦国時代、浄土真宗門徒たちも同じように考えたのかもと思いますと、湖北の仏像をサークルで研究した記憶と共に、その人たちの気持ちを考えてしまい、それがまた自分とオーヴァーラップして、泣いてしまいます。この部分の表現も喜びに満ちていて感動です。

ソリストも素晴らしいですが、合唱団もRIAS室内合唱団であるのもいいですね~。この合唱団、以前プーランクの「人間の顔」を紹介した時にも取り上げている、実力のある合唱団です。

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ヨーロッパ室内管弦楽団とのバランスもいいです。第1部第1楽章では室内管弦楽団であるがゆえに多少音の厚さが物足りない部分もありますが、次第にそれは全く感じなくなります。ゆえに全体的には全くそん色なく、むしろ私の中ではかなり評価が高い演奏です。初演が聖トーマス教会だったので、むしろ初演の編成もこのヨーロッパ室内管弦楽団とRIAS室内管弦楽団程度だったのではと思います。その後メンデルスゾーンはゲヴァントハウスで演奏する際に書き換えていますが、恐らく現在はその版が採用されているため最初の部分は物足りないのかもと思います。その意味では、このヨーロッパ室内管弦楽団とRIAS室内合唱団とのコンビで初演版を演奏したらどんな感じなのだろうと思います。書き換えているのは声楽部分だと言いますが・・・

この「讃歌」でこれだけのパフォーマンスをたたき出すのですから、ベートーヴェンの第九だとどんな演奏になるのだろうという期待も持たせます。その機会が訪れるといいのですが・・・

 


聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
交響曲第2番変ロ長調作品52「讃歌」(交響カンタータ
カリーナ・コーヴァン(ソプラノⅠ)
レグラ・ミューレマン(ソプラノⅡ)
ダニエル・ぺーレ(テノール
RIAS室内合唱団
ヤニック・ネゼ=セガン指揮
ヨーロッパ室内管弦楽団

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